Android 1.6のジェスチャーとテキスト読み上げを使うAndroidで動く携帯Javaアプリ作成入門(11)(2/3 ページ)

» 2009年11月04日 00時00分 公開
[緒方聡,株式会社イーフロー]

ジェスチャー機能の詳細をスコア比較サンプルで確認

 それでは、実際にソースコードを見ながらジェスチャー機能を確認していきましょう。

レイアウトXML

 このサンプルアプリは、初回に入力されたジェスチャーを保存し、以降は入力されたジェスチャーを初回のジェスチャーと比較して“スコア”(得点)を表示します。

 最初に数字の「2」というジェスチャーをしてみます。

図4 「2」というジェスチャー 図4 「2」というジェスチャー

 これを保存して、同じように「2」をジェスチャーさせてみます。

図5 「2」のジェスチャーを再び 図5 「2」のジェスチャーを再び

 すると、前回のジェスチャーと比較して、スコアを表示します。

図6 図4・5のジェスチャーの比較 図6 図4・5のジェスチャーの比較

 このスコアが1.0以上であれば似ている、と判断できるようです。ただし、全然似ていなくても1.0を超えることはよくありますので、このスコア判定の調整は最終的に設定項目を設けてエンドユーザーに設定してもらうのがよいような気がします。

 試しに、似ていないジェスチャーを入力してみましょう。

図7 「9」というジェスチャー 図7 「9」というジェスチャー

 このジェスチャーのスコアは、以下のとおり1.0未満です。

図8 図7のスコア 図8 図7のスコア

 ここからは、コードを見ながら解説していきます。

レイアウトXML

 まずは、レイアウトXMLです。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<android.gesture.GestureOverlayView
        xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android"
        android:id="@+id/GestureOverlayView01"
        android:layout_width="fill_parent"
        android:layout_height="fill_parent"
        android:gestureStrokeType="multiple">
    <ListView
        android:id="@+id/ListView01" 
        android:layout_width="fill_parent"
        android:layout_height="fill_parent" />
</android.gesture.GestureOverlayView>

 GestureOverlayViewは、レイアウトやビューなどほかの機能とは異なり、フルパスで記載しなければなりません。また、GestureOverlayViewはFrameLayoutを継承しているので、レイアウトやビューを入れ子で格納可能です。

 属性で大事なのはandroid:gestureStrokeTypeで、これはジェスチャーをシングルストロークにするかマルチストロークにするかを選択するものです。

定義 意味
single シングルストローク
multiple マルチストローク
表5 ストロークの種類

 マルチストロークだと、以下のようなジェスチャーも可能で、かつ、これぐらい複雑なジェスチャーだと、スコアもかなり高くなります。

図9 スコアがとても高いケース
図9 スコアがとても高いケース 図9 スコアがとても高いケース

ソースコード

 ジェスチャーを使用するためには、GestureLibraryを作成して、そこにGestureを登録したり読み出したりしなければなりません。GestureLibraryの作成方法は、大きく3つあります。

  • ファイルから読み出して作成
  • プライベートファイルから読み出して作成
  • リソースから読み出して作成(読み込み専用)

 今回は、プライベートファイルを使用しています。

final GestureLibrary gl = GestureLibraries.fromPrivateFile(this, "gestures");

 上記で「/data/data/com.example.android.gesture/files/gestures」というファイルが作成されます。

 サンプルコードは、後は動作確認用のリスナーを追加しているだけですが、その中でも最も重要なコールバックメソッドの中身を説明します。

@Override
public void onGesturePerformed(GestureOverlayView overlay, Gesture gesture) {
    Log.v("Gesture", "onGesturePerformed");
    Log.v("Gesture", "\tid:" + gesture.getID());
    Log.v("Gesture", "\tlength:" + gesture.getLength());
    Log.v("Gesture", "\tdescribeContents:" + gesture.describeContents());
    
    if (gl.getGestureEntries().size() == 0) {
        gl.addGesture("First", gesture);
        gl.save();
    } else {
        ArrayList predictions = gl.recognize(gesture);
        Log.v("Gesture", "\tpredictions.size:" + predictions.size());
        for (Prediction p : predictions) {
            Log.v("Gesture", "\tPrediction name:" + p.name + " score:" + p.score);
            Toast.makeText(Main.this, "score:" + p.score, Toast.LENGTH_SHORT).show();
        }
    }
}

 onGesturePerformedメソッドは、ジェスチャー入力後、入力したジェスチャーが渡されてくる唯一のメソッドです。処理としては、GestureLibraryが空なら追加し、空ではないならGestureLibrary#recognize(Gesture)メソッドでPredictionのリストを取得しています。取得したPredictionから名前とスコアが取り出せるので、それに応じてアプリ固有のビジネスロジックを実行します。

 次ページでは、ジェスチャーを作成する「Gesture Builder」アプリとテキスト読み上げのTextToSpeechd機能を解説します。

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