連載
» 2010年02月15日 00時00分 公開

ゼロからのデータモデリング入門(12):データモデリングは「できるところ」から始めよう (1/3)

全12回の連載もいよいよ今回で最終回です。最終回では、データモデリングを始めるにあたってのポイントをお話しします。

[沖冠吾,株式会社アシスト]

どこから始める? データモデリング作業

 プロジェクトを発足して「さぁ、やるぞ!」と、気合いを入れてデータモデリングを開始することも必要ですが、なかなかそういうタイミングに巡り会う機会がないこともあります。機会がないからといって、そのまま放置され、データモデリング自体が意識の彼方へ置き去りになってはいけません。

 データモデリングは大上段に構えることなく「できるところから始める」という姿勢で取り組むこともできるのです。大切なのはデータの視点でモノを考えるという意識付けです。

 日々システム業務を行われている方であれば、「過去5年間の設置場所別の売上実績リストが欲しい」といった、システムに関する改善要望が複数のユーザー部門から数多く寄せられていることと思います。このように改善要求があがるのは、何かしらの理由があるからです。例えば「過去5年の設置場所別売上実績リストが必要になった」背景には「いままではパートナー販売が中心だったが、直接販売を強化しなければならないので、情報が必要になった」といった理由があります。

 「ビジネスが変化しそうなので、情報を収集しなければならない」、「ビジネスの変化に合わせて、情報の取得方法を変えなければならない」といった現場からの要求は、すべてデータモデリング実施のきっかけとなります。

 さて、ここからは「できるところから始める!」というスタンスで「直接販売を強化するために、情報が必要になった」例をもとにデータモデリングを実施してみましょう。

現状データモデルによる可視化

 現状のユーザー課題から、必要となる情報ソースを確認します。ユーザー部門からの要望から、必要となる情報ソースは受注関連と想定できます。ここで注意が必要なのは、「パートナー販売」(以下、「間接販売」)と「直接販売」との違いです。この点を考慮し、できる限り以下の情報を入手します。

  1. 受注関連業務フロー
  2. 受注関連システム画面
  3. 受注関連既提出レポート

 「間接販売」か「直接販売」かという販売方式の違いにより、業務フローや入出力画面の違いなどがあるかなどを確認します。そして、システム画面やレポートからは現状のデータソースを、業務フローからはビジネスルールを確認します。業務フローが入手できない場合はシステム利用手順書、プログラム仕様書などを参考にします。この状態で「現状の論理データモデリング」を実施します。

ユーザー部門とのコミュニケーション

 仮に現状の論理データモデルが、図1の通りであったとします。

●図1 見積‐契約ER図(クリックで拡大します) ●図1 見積‐契約ER図(クリックで拡大します)

 まず、販売方式の違いによる差異として、見積の有無があります。「直接販売」の場合は見積先と受注先が同じになっており受注のタイミングで設置先も確定します。一方、「間接販売」の場合は、見積を必要とせず注文処理と契約処理のみが必要で、契約のタイミングで設置場所が確定されます。設置場所に関しては、「直接販売」の場合は必ず登録されていますが、「間接販売」の場合は登録されていない場合もあります。

 現状の論理データモデルを利用して、「どのような場合は登録されないのか」などを確認することにより、今後の業務形態に合わせた内容へ変更が可能となります。「過去5年間の設置場所別の売上実績リストが欲しい」というユーザー要求に対して、対象となる範囲をデータモデリングすることで、「直接販売」と「間接販売」の違いや設置場所情報の入力有無などさまざまな観点でユーザー部門に確認ができます。確認した内容を基にデータモデルの検証を行い、将来的な変更要素の検証も可能となります。

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