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» 2010年02月15日 00時00分 公開

心の健康を保つために(18):合コン恐るるに足らず!「話すのが苦手」を克服する (1/2)

ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。

[石川賀奈美,ピースマインド]

上司とうまく話せない……

 もの静かなKさんが、相談にいらっしゃいました。「人と話すのが苦手なんです」とKさん。仕事の相談をするために上司に話し掛けるとき、顔は知っているけれどあまり話したことがない会社の人と一緒にいるとき、女性とプライベートで話すとき――Kさんはこんな場面が苦手なようでした。

Kさん 上司と話そうとすると、頭が真っ白になってしまうんです。

カウンセラー そのとき、どんなことが頭に浮かんでいますか。

Kさん すっきりスマートに話したいと思っています。

カウンセラー うまくいかなそうだと思っているとき、体に何か変化がありますか。

Kさん 声が震えてきたり、手に冷や汗をかいたりします。

カウンセラー それからどうなりますか。

Kさん 震えや動揺を隠そうと、笑いでごまかしてしまいます。そうするとよけい変なふうに見えたのではないか……と後々までひきずってしまいます。“他人からどう思われるか”が気になるんです

 「誰かに相談をしたくても、会話への苦手意識のためにうまく話せない。結果として仕事が進まなくなってしまうので困っている」とのことでした。

愛想笑いは、不安を隠そうとする「安全確保行動」

 上司と話すときに「すっきりと話したい」と思う気持ちの陰には、「てきぱきとしている、仕事ができるやつだと思われたい」という思惑がありそうです。裏返せば「仕事ができないと思われるのではないか」という不安があるのかもしれません。

 さて、上司はKさんの声が震えていることに気が付いているでしょうか。同じグループで仲の良いCさんに、Kさんの声が震えていることに気が付いたかどうか聞いてみました。Cさんは「いや、別に気が付かなかったよ。でも、愛想笑いしていて落ち着かない感じがしたかなあ」といいました。

 Kさんは、「自分が思うほど、周囲は気にしていないものなんですね」と意外そうな表情です。むしろ周囲からすれば、ごまかそうとする行動の方が不自然に見えたようです。

 自分の不安を隠そうとしたり、不安場面を回避したりするような行動を「安全確保行動」と呼びます。安全確保行動をすればするほど、不自然さが自分でも気になってよけいに緊張してしまいます。緊張すると、冷や汗が出るなどの症状が表れます。

 そこで、まずは「人と話すときの愛想笑いをしないでいる」ことを課題として実践してもらいました。

●ポイント:人は他人のことはあまり気にしていないものと心得る


 その結果、同僚から「なんか最近落ち着いた感じだね」といわれるようになったそうです。Kさん自身も「愛想笑いをしないでいる方が、頭が真っ白になりにくい」と感じたそうです。

頭の中が真っ白になる原因

 Kさんの頭の中が「真っ白になる」とき、脳内ではどんなことが起きているのでしょうか。

 的確に話そうとするなら、注意は話の内容に向けなければなりません。しかし、Kさんは「相手にどう見えているか」が気になっています。つまり、自分の映像イメージを追いかけているのです。

 脳の言語をつかさどる部分とイメージをつかさどる部分は異なっています。そのため、真っ白になってしまうわけです。

 そこでKさんには、話す内容を書き出したメモを作り、そのメモを見ながら話してもらうようにしました。内容に注意が向いたため、「だいぶ話しやすくなりました」とKさん。この方法は、大勢に話す場合にも応用できます。話しやすそうな人を見つけて、その人に向けて話すつもりで発言すればよいのです。

●ポイント:話す内容や相手に注目し、自己注目を避ける


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