連載
» 2010年10月12日 00時00分 公開

次世代の無線技術、LTEの仕組みが分かる(5):LTEのネットワーク技術 (2/2)

[小島浩,ノキア シーメンス ネットワークス]
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基地局を構成する要素とは——まとめ

 前回からここまで、LTEを支える要素技術として、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)や64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、MIMO(Multi Input Multi Output)といった無線技術と、基地局設備の構築・運用管理の省力化とコスト削減などを支援するSONについて解説してきました。

 基地局のまとめとして、これまで説明してきた無線技術が基地局(eNodeB)でどのように使われているのかを説明します。

制御・ベースバンド部と無線部などで構成される基地局

 基地局は、主に以下の機能部から構成されます。

  • 制御部
  • ベースバンド部
  • タイミング制御部
  • 伝送路インターフェイス部
  • 無線機能部(変復調部、送信部、受信部)

 基地局の構成ブロック図例を以下に示します(3セクタ、2×2MIMOの例)。

図2 基地局の構成 図2 基地局の構成

 続いて、図2に示した基地局の機能の概要を紹介します。

制御・ベースバンド部

  • 制御部:基地局全体の制御および呼制御のプロトコルや制御監視を行います。:基地局全体の制御および呼制御のプロトコルや制御監視を行います。
  • 伝送路インターフェイス部:イーサネットなどの伝送路を接続し、IPsec、IPv6などのプロトコルを処理してIPパケットの授受を行います。:イーサネットなどの伝送路を接続し、IPsec、IPv6などのプロトコルを処理してIPパケットの授受を行います。
  • タイミング制御部:伝送路またはGPSから抽出した基準クロックを基に、基地局内部で使用する各種クロックを生成します。:伝送路またはGPSから抽出した基準クロックを基に、基地局内部で使用する各種クロックを生成します。
  • ベースバンド部:伝送路インターフェイスを通して授受するIPパケットと無線上に乗せるOFDM信号(ベースバンド信号)の変換(変復調)を行います。また、ベースバンド信号は無線部との間で授受されます。変調方式であるQPSK、16QAM、64QAMの信号もここで処理されます。:伝送路インターフェイスを通して授受するIPパケットと無線上に乗せるOFDM信号(ベースバンド信号)の変換(変復調)を行います。また、ベースバンド信号は無線部との間で授受されます。変調方式であるQPSK、16QAM、64QAMの信号もここで処理されます。
  • 電源部:DC-48Vなどの電源を内部で使用する電圧に変換します。:DC-48Vなどの電源を内部で使用する電圧に変換します。

無線部

  • 直交変復調部:ベースバンド部で処理されるOFDM信号を直交変復調し、アナログ信号(RF信号)と変換します。構成によっては、送信部と受信部が一体になっている場合もあります。
  • 送信部:直交変復調部で生成されたRF信号を電波として送出する周波数に変換します。
  • 受信部:受信した電波を直交変調部で処理する周波数に変換します。:受信した電波を直交変調部で処理する周波数に変換します。
  • PA(Power Amplifier):送信部で生成したRF信号をアンテナから送信するために電力増幅します。
  • LNA(Low Noise Amplifier):アンテナで受信した微弱電波を増幅し、受信部に渡します。

基地局の構成例

 説明した基地局構成を実際の基地局装置で実現する際には、さまざまな方法があります。下の図は、ノキア シーメンス ネットワークスの屋外設置対応の超小型基地局で、3セクタ、2×2 MIMOを実現しています。以前は大型キャビネットに各機能部を収容していましたが、現在はコンパクトな基地局が実現され、設置作業の簡素化や設置場所の省スペース化が可能になっています。

図3 実際の基地局構成例 図3 実際の基地局構成例

無線部分の張り出し設置も可能

 無線部と制御・ベースバンド部(BBU:Base Band Unit)は、1カ所にまとめて設置するだけでなく、分離して設置することもできます。

 無線部をセクタごとに分離して設置する構成の場合、無線部分はRRH(Remote Radio Head)と呼ばれることもあります。BBUとRRHとの接続には光ケーブルが使用され、OBSAI(Open Base Station Architecture Initiative)やCPRI(Common Public Radio Interface)といった汎用インターフェイスを介して、10km程度離れた場所に設置することもできます。

図4 BBUとRRHの接続図

 ちなみに、2010年12月からLTE商用サービスを開始する予定のNTTドコモでは、既存のW-CWMA無線基地局においてLTE対応基地局の導入を進めているとの報道発表もされています(2010年6月8日)。そして、LTEサービス時のネットワーク構成として、基地局装置と無線装置の一体型タイプのほか、無線装置を分離した光張り出しタイプを想定しています。同社ではW-CDMAと無線装置を共用し、LTE対応基地局装置のみ追加導入することで、LTEに対応できると、同リリースで述べています。


 今回はLTEのネットワーク技術の一部として、基地局を中心としてSONや基地局の動作について説明しました。次回は、コアネットワークを含めたネットワークの動作、QoS制御を紹介します。

著者紹介

ノキア シーメンス ネットワークス株式会社 ソリューションビジネス事業本部 ネットワーク技術部長

小島浩

1987年 総合電機メーカ入社。以降、移動体通信ネットワーク機器、移動体通信システムの開発に従事。

2007年 ノキア シーメンス ネットワークス株式会社に入社。以降、移動体通信機器、システムの業務に従事。

現在、同社ネットワーク技術部長。



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