Oracleデータベースアーキテクチャを復習する独学! ORACLE MASTER Gold 11g講座(1)(1/2 ページ)

ORACLE MASTER資格の上級に位置付けられる「ORACLE MASTER Gold Oracle Database 11g」。本連載では、Gold試験の頻出ポイントを解説する。確認問題付き。

» 2010年10月29日 00時00分 公開
[岩沢百合子システム・テクノロジー・アイ]

「ORACLE MASTER Gold Oracle Database 11g」の概要

 「ORACLE MASTER Gold Oracle Database 11g」(以下、Gold)資格を取得するには、「ORACLE MASTER Silver」(以下、Silver)資格の取得が前提となります(参考:「5分で絶対に分かるORACLE MASTER」)。

 Silver資格では、データベースを利用するための環境構築から、通常の運用を実現するまでの管理技術が問われます。それに対し、Gold資格では、安定した運用を継続できるだけの管理技術はもちろん、データベース運用の際に発生するさまざまな問題に対する診断能力、トラブルから迅速に復旧させるための対応能力など、どのような状況にも対応できるレベルの管理能力が問われます。

 詳しくは日本オラクルの詳細ページをご確認ください。


出題範囲と出題数

 試験の問題数、合格点と出題範囲は下記のとおりです。★の数は出題数を5段階で表したものです。ただし、出題数は問題パターンによって異なりますので、目安としてください。日本オラクルが公開してるチェックリストと併せて、出題範囲を把握しましょう。

問題数 78問
合格点 66%
試験時間 120分

データベース構造および自動ストレージ管理 ★★
リカバリ可能性の設定 ★★
RMANリカバリ・カタログの使用 ★★
バックアップ仕様の設定 ★★
バックアップ作成のためのRMANの使用 ★★★★
ユーザー管理およびリカバリの実行 ★★★★★
リカバリ実行のためのRMANの使用 ★★★
データベース複製のためのRMANの使用 ★★
表領域Point-in-Timeリカバリ(TSPITR)の使用 ★★
RMANの監視とチューニング ★★
フラッシュバック・テクノロジの使用 ★★★
追加のフラッシュバック操作 ★★★★
データベースの診断 ★★
メモリの管理 ★★★★
データベース・パフォーマンスの管理 ★★
領域管理 ★★★
リソース管理
スケジューラを使用したタスクの自動化 ★★
スケジューラの管理 ★★
グローバリゼーション ★★

 Gold認定には、要履修コースを受講する必要があります(詳細)。要履修コースに参加してから試験にパスし、Gold資格を手にしましょう!

まずはOracleアーキテクチャの復習から

 まずは、Silverの復習として「データベースアーキテクチャ」から始めましょう。問題数は少ないものの、データベースアーキテクチャはGoldでも引き続き出題されます。適切にデータベースを管理するうえで、正しいデータベースアーキテクチャを理解することはとても重要です。データベースアーキテクチャを忘れてしまった方は、しっかり復習しておきましょう。

Oracleアーキテクチャ

 Oracleサーバは、OracleインスタンスとOracleデータベースから構成されています。OracleインスタンスとOracleデータベースは、それぞれ下記のような構成となっています。

  • Oracleインスタンス
    • メモリ構造:SGA(システムグローバル領域)
    • プロセス構造:バックグラウンドプロセス
  • Oracleデータベース
    • ファイル構造のデータファイル
    • 制御ファイル
    • REDOログファイル

 ここから、各コンポーネントの概要をドリルダウンしながら説明します。

メモリ構造

SGA(システムグローバル領域)

 SGAは、Oracleインスタンスの構成要素の1つです。複数のサーバプロセスやバックグラウンドプロセスが共有するメモリ領域です。サーバプロセスは必ずインスタンスにアクセスし、さまざまな処理を行います。SGAは、役割に応じて領域が分かれています。

PGA(プログラムグローバル領域)

 PGAは、各サーバプロセスおよびバックグラウンドプロセス専用のメモリ領域です。ソート処理やハッシュ結合などで使われる領域です。

SGAの役割

 SGAは役割に応じていくつかの領域に分かれています。ここでは必須の領域である「共有プール」「データベース・バッファ・キャッシュ」「REDOログバッファ」を説明します。

共有プール

 SQLキャッシュとしての役割があります。実行するSQLと同じSQLが共有プール上にある場合は、解析をスキップできます。これにより、処理効率が向上します。再利用を目的としているため、パフォーマンスへの影響度が高い領域だといえます。

データベース・バッファ・キャッシュ

 データキャッシュとしての役割があります。SQL文の実行に必要なデータがデータベース・バッファ・キャッシュにあれば、これへのメモリアクセスで処理できます。なければ、ディスクアクセスとなります。データベース・バッファ・キャッシュに必要なデータがあることで、処理効率は向上します。再利用を目的としているため、共有プールと同様にパフォーマンスへの影響度が高い領域だといえます。

REDOログバッファ

 データベースに対して行われたあらゆる更新履歴を持ちます。これを「REDOログエントリ」(あるいは変更履歴)と呼びます。REDOログエントリは、正常にシステムが稼働しているときには必要ありませんが、障害発生時にリカバリとして使われるデータです。再利用は目的としていません。

プロセス構造

ユーザープロセス

 SQL文を発行するツール、あるいはユーティリティです。例えば、SQL*PlusやEM(Oracle Enterprise Manager)はユーザープロセスの1つです。クライアント側で動作します。

サーバプロセス

 ユーザープロセスから受け取ったSQL文を、実際にOracleインスタンスと対話させ実行するプロセスです。サーバ側で動作します。

バックグラウンドプロセス

 SGAとデータベースファイルとの同期や、整合性の保持などの役割があります。サーバ側で動作します。DBWn(データベース・ライター)とLGWR(ログ・ライター)はSGA上の変更をOracleデータベースへ書き込み、メモリとディスクの同期を取ります。多数のバックグラウンドプロセスが存在しますが、ここでは特にバックアップリカバリに関係が深いバックグラウンドプロセスを紹介します。

  • DBWn:データベース・バッファ・キャッシュ上の変更をデータファイルに書き込む
  • LGWR:REDOログバッファ上のREDOログエントリをREDOログファイルに書き込む
  • CKPT:チェックポイントの指示と、チェックポイント終了時の記録をする
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