リカバリする可能性を考えて、データベースを構成する独学! ORACLE MASTER Gold 11g講座(2)(2/2 ページ)

» 2010年12月02日 00時00分 公開
[岩沢百合子システム・テクノロジー・アイ]
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ARCHIVELOGモードの構成

 ARCHIVELOGモードを構成する場合には、アーカイブ先の検討が必要です。アーカイブ先は、LOG_ARCHIVE_DEST_n初期化パラメータで設定します。nには1〜10の値が入るため、最大10カ所のアーカイブ先を作成できます。

LOG_ARCHIVE_DEST_n="{LOCATION | SERVICE}=ディレクトリ [MANDATORY]" 

 LOCATIONはローカルディレクトリ、SERVICEはリモートディレクトリを指定します。SERVICEは通常、Data Guard構成時にスタンバイデータベースにログを送る場合に使います。よって、通常アーカイブ先として指定する場合には、LOCATIONを指定します。

 また、MANDATORYを指定した場合、指定したディレクトリに対してアーカイブが必須となります。指定しない場合は任意です。必須のディレクトリに対しては、正常にアーカイブできなければARCnが待機し、次いでLGWRおよびサーバプロセスが待機することになりますから、注意が必要です。


 場所ではなく数が重要な場合、すなわち「とにかくnカ所へのアーカイブを必須としたい」場合には、LOG_ARCHIVE_MIN_SUCCEED_DESTを使います。LOG_ARCHIVE_MIN_SUCCEED_DESTで指定した分だけ、アーカイブが必須となります。

フラッシュリカバリ領域

 10g以降はデフォルトで、LOG_ARCHIVE_DEST_10に「フラッシュリカバリ領域」がアーカイブ先として指定されています。

 USE_DB_RECOVERY_FILE_DESTはフラッシュリカバリ領域を意味します。フラッシュリカバリ領域は、次の初期化パラメータでセットします。

  • DB_RECOVERY_FILE_DEST:フラッシュリカバリ領域の場所
  • DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE:フラッシュリカバリ領域のサイズ

 デフォルトのサイズは2Gbytesあるため、必要に応じてサイズを増やしてください。もちろん、定期的にアーカイブログファイルの削除やバックアップをすることも検討しなくてはなりませんが、その方法についてはまた後の回でお話しします。

確認問題

※アーカイブ先は次のとおり設定しています。

LOG_ARCHIVE_DEST_1="LOCATION=/u02/archive1"
LOG_ARCHIVE_DEST_2="LOCATION=/u02/archive2  MANDATORY"
LOG_ARCHIVE_DEST_3="LOCATION=/u03/archive3"
LOG_ARCHIVE_MIN_SUCCEED_DEST=2

問題1

正しい説明をすべて選択しなさい。

a./u02/archive1および/u03/archive3に対するアーカイブは必須である

b./u02/archive2に対するアーカイブは必須である

c.いずれか2カ所のアーカイブができればよい

d./u02/archive2以外のいずれか1カ所に対するアーカイブが必須である

正解:b、d

●解説

 MANDATORYが指定されているアーカイブ先に対しては、アーカイブは必須です。よって、「b./u02/archive2に対するアーカイブは必須である」は正しいです。 また、LOG_ARCHIVE_MIN_SUCCEED_DESTが2となっているため、/u02/archive2以外のいずれか1カ所に対してアーカイブが必須となります。よって「d./u02/archive2以外のいずれか1カ所に対するアーカイブが必須である」は正しいです。


問題2

フラッシュリカバリ領域の構成をすることになりました。正しいものを2つ選択しなさい。

a.DB_RECOVERY_FILE_DESTでフラッシュリカバリ領域を設定する。この変更はデータベースの再起動が必要である

b.DB_RECOVERY_FILE_DESTでフラッシュリカバリ領域を設定する。この変更はデータベースの再起動は必要ない

c.DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEでフラッシュリカバリのサイズを設定する。この変更はデータベースの再起動が必要である

d.DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEでフラッシュリカバリのサイズを設定する。この変更はデータベースの再起動は必要ない

正解:b、d

●解説

 DB_RECOVERY_FILE_DESTはフラッシュリカバリ領域の場所、DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEはフラッシュリカバリ領域のサイズを指定します。この2つのパラメータは動的パラメータであるため、いずれの設定もデータベースの再起動は必要ありません。

 もし、停止に時間がかかるのであれば、NORMALやTRANSACTIONALによる停止が原因であると予想できます。なるべく早く再起動を行いたい場合は、IMMEDIATEを選択すべきでしょう。ただし、終了していないトランザクションは強制的にロールバックされるため、処理途中の変更は取り消されます。


著者紹介

岩沢 百合子

Oracle認定講師。データベース管理コース全般を担当し、主にパフォーマンスチューニング系のコースを受け持っている。日本オラクルより、Oracle University Excellent Instructor(2007年)、Oracle University Excellent Instructor(2006年)を受賞。また、『オラクルマスター教科書Gold Oracle Database11g編』を執筆。



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