連載
» 2011年01月18日 00時00分 公開

STPとRSTPの動作を学習するCCNP対策講座 SWITCH編(3)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、2010年12月に日本語版が改訂された新試験【642-813 SWITCH】を解説します。

[齋藤理恵,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、ループによる問題を回避するためのプロトコルであるSTPとRSTPの必要性、動作について解説します。

スパニングツリープロトコル(STP)概要

 スパニングツリープロトコル(STP)は、冗長構成になっているスイッチドネットワークにおいて、ブロードキャストストームなどのループによる問題を回避するためのプロトコルです。IEEE802.1Dで標準化されています。

 スイッチはブロードキャストフレームを受信すると受信ポート以外の全ポート宛てにフラッディングをします。冗長構成になっている場合、スイッチ間でブロードキャストフレームが転送され続け、「ブロードキャストストーム」が発生します。このような場合、STPによって物理的には冗長構成を維持し、論理的にどこかのポートをブロック状態にしてブロードキャストフレームがループしないようにします。メインの経路がダウンすれば、ブロック状態にしていたポートを転送状態に戻して通信を継続させることが可能です。

 STPは、まずルートブリッジを選定します。ルートブリッジとは、複数のスイッチの中で代表になるスイッチです。STPによって、ルートブリッジを中心としたループのないネットワークに再構成します。このルートブリッジ選定後、ルートポート、指定ポート、非指定ポート(ブロック状態)を決定していきます。計算により、ルートブリッジから最も遠いと判断されたポートが非指定(ブロック状態)ポートとなります。それ以外のポートは転送状態です。

 なお、IEEE802.1D標準では、VLAN数を考慮せずスイッチドネットワーク全体でスパニングツリーインスタンスが1つだけ存在するCST(Common Spanning Tree)が定義されています。それに対してVLANごとに1つのSTPインスタンスをサポートするPVST+(Per VLAN Spanning Tree Plus)がシスコデフォルトの実装となっています。

 特徴は次のとおりです。

CST ・負荷分散はできず、1つのアップリンクですべてのVLANブロックを行う
・CPUは共有され、1つのスパニングツリーインスタンスのみを計算する
PVST+ ・最適な負荷分散を実現できる
・VLANごとにルートブリッジが存在し、非指定ポートを分散できる。VLANごとにBPDUを送信するため、ネットワーク内のすべてのスイッチでCPUサイクルが大きく無駄になる
表1 CSTとPVST+の特徴
図1 CSTとPVST+※NDP:非指定ポート≫ 図1 CSTとPVST+※NDP:非指定ポート

 PVST+が実装されていることにより、VLANごとにリンクを使い分けることができ、負荷分散を実現できます。

確認問題1

  • 問題

 PVST+の特徴を2つ選択しなさい。

a.負荷分散を実現できる
b.VLANごとにルートブリッジを定義できる
c.負荷分散は実現できない
d.非指定ポートは1つ選出される

  • 正解

 a、b

  • 解説

 PVST+はVLANごとにルートブリッジが存在し、非指定ポートを分散できます。それにより、負荷分散が可能です。従って正解は選択肢a、bです。選択肢c、dはCSTの特徴です。

ルートブリッジの設定

 PVST+はVLANごとにSTPの計算を行いますので、計算の情報源となるBPDU内のブリッジIDフィールドにVLAN情報が含まれています。

図2 BPDU内のブリッジIDフィールド 図2 BPDU内のブリッジIDフィールド

 ブリッジプライオリティの設定には、上位4ビットのみが使用されます。従ってプライオリティは4096単位でのみ加算でき、これにVLAN番号が加算されます。例えば、VLAN10の場合、プライオリティが4096であれば4096+10=4106になります。このプライオリティを調整することにより、ルートブリッジを定義することができます。設定方法は以下のとおりです。

強制的にルートブリッジに設定

Switch(config)#spanning-tree vlan [vlan-id] root primary
※ほかのスイッチがデフォルトのプライオリティに設定されている場合、プライオリティ値が24576に変更されます

強制的にセカンダリルートブリッジに設定

Switch(config)#spanning-tree vlan [vlan-id] root secondary
※ほかのスイッチがデフォルトのプライオリティに設定されている場合、プライオリティ値が28672に変更されます

 しかし、上記の設定はコマンドを実行した段階で一度行われるだけであり、終始ルートブリッジになることを保証しているわけではありません。そこで、静的にプライオリティ値を変更するには以下のコマンドが必要です。

静的にプライオリティを設定

Switch(config)#spanning-tree vlan [vlan-id] priority [priority値]

確認問題2

  • 問題

 PVST+のブリッジIDフィールドについて正しい説明を2つ選択しなさい。

a.プライオリティに4ビット、VLAN-IDに12ビットフィールドが用意されている
b.プライオリティに16ビットフィールドが用意されている
c.4096単位でプライオリティ値を設定できる
d.4096+VLAN-ID単位でプライオリティを設定できる

  • 正解

 a、c

  • 解説

 PVST+のブリッジプライオリティは、上位4ビットのみが使用され、12ビットはVLAN-IDに使用されます。従ってプライオリティは4096単位でのみ加算でき、これにVLAN番号が加算されます。よって正解は選択肢a、cです。

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