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» 2011年04月26日 00時00分 公開

文章コミュニケーション・リファクタリング!(2):「何でもメールで済ませる」とはまってしまうワナ (2/2)

[谷口功,@IT]
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至急の連絡や通知はメールに頼らない

 至急の連絡や急な通知は、メールではなく電話で直接相手に伝えた方がよいでしょう。例えば、約束の前日になって予定していた打ち合わせの時間を変更したり、約束のキャンセルを知らせたい場合などは、必ず電話で伝えるべきです。

 そして、急いでいて緊急に(例えば今日中に/今日の午前中に/1時間以内に)情報を伝えたい場合なども電話で相手に伝えるべきです。

 このような場合にメールで連絡しただけでは、相手がそのメールをすぐに読んでくれるかどうか分かりません。例えば、相手がメールを読めない環境にいるかもしれませんし、メールを読む時間も取れないほど忙しく仕事をしているかもしれません。サーバの不具合でメールが届かないという可能性も考えなければなりません。

 連絡や通知は、相手がその内容を知ってはじめて完了したことになります。相手に確実に伝わったことが把握できるように、相手をつかまえて電話で確実に伝えるようにしましょう。

込み入った情報はメールではなく口頭で伝える

 そして、込み入った情報を複数の人に伝える場合も、メールではなく、関係者を集めて直接(または1人1人に直接)、口頭で伝えるようにすべきです。

 例えば、作業の遂行に関わる複雑な指示をプロジェクトのメンバーに伝えたい場合や、複雑な内容の情報を多数の関係者に伝えたい場合などは、伝えたい相手に口頭で伝えるべきです。

 このような場合、全員を集めて情報や指示を詳しく記述した文書を配布し、口頭でデリケートな点までフォローします。また、質疑応答も時間を作り、詳細な点まで確認させ、間違って理解しているところがあれば訂正し、全員の認識、把握のレベルを一致させておくものです。

 メールでは自分の考えていること、伝えたいことが、そのまま正確に伝わるとは限りません。不完全にしか伝わらない可能性があります。複雑な内容であれば、余計に伝わりにくくなります。伝えたいことが正確に伝わらないと、指示や情報のメールを受け取った各人が内容を勝手に解釈してしまう危険があります。それを避けるためにメールに頼らないようにするのです。

メールを使ってはいけない相手

 コミュニケーションの手段として、多くの人がメールを使うようになったとはいえ、年配の方を中心にメールが不得手な人もいますメールを嫌う人さえいます

 例えば、エンドユーザーである個人商店や小規模な会社の経営者や担当者に、協力を依頼しなければならないときはどうしますか? こうした人たちの中には、メールを嫌う人や、メールを扱うのが不得手な人がいます。このような人たちとのコミュニケーションにはメールは使えません。メールで済ませようとすると、相手は不快感を抱き、快く協力してくれなくなってしまうでしょう。

 相手の状況を考えて、メールで依頼するのは不適切だと判断したときは、電話をするか、必要であれば訪問して話をするようにしましょう。

最善のコミュニケーション手段を選択する判断力

 不適切な場面でメールを使ってしまうことを避けるには、いったんメールを書こうとする手を止めて、「本当にメールでいいのかどうか」を考えることが重要です。社内でのいつも通りのコミュニケーションや、ルーティンワークに関係するコミュニケーションなら、その必要はないとは思いますが。

 コミュニケーションの手段には、メールだけでなく、電話、対面しての会話(対話)、手紙などいろいろな手段があります。そのときの状況、ビジネスマナー(誠意の伝わり方、相手を不快にさせない心遣いなど)、コミュニケーションの相手(中にはメールが嫌いな人もいる)などを考えて、どのコミュニケーション手段を使うのが最善なのかを判断する必要があります。自分で判断を付けられないのならば、上司や先輩など経験者に尋ねたり判断を仰いだりすべきでしょう。メールは、それが最善の手段だと確信してから使うようにしたいものです。

メール依存は職場をタコつぼ化する危険がある

 グループ内(プロジェクト内)での連絡、通知や情報の交換は、内容がそれほど複雑でないのなら、メールを使うのが効率的、効果的でしょう。

 しかし、不都合でないからといって、グループ内でのコミュニケーションがメールばかりになってしまうのも考えものです。メンバー間で行き来する情報の量は多く、支障なく情報が行き交っているけど、本当の意味でのコミュニケーションがなくなってしまいます。そして、各メンバーが、自分のタコつぼに閉じこもって仕事をするようになるのです。そのような不都合な状態は、通常は露見しませんが、グループ内に何らかの問題が生じたときに一気に表面化します。

 例えば、グループ内にビジネスマナーに疎い若手のエンジニアがいるとします。そのメンバーが深刻なミスをおかして顧客に謝罪しなければならなくなりました。組織として機能しているグループであれば、このエンジニアは、上司や先輩に相談して適切な謝罪方法を教えてもらえるでしょう。

 しかし、メンバーが自分のタコつぼに閉じこもって仕事をしているようなグループでは、上司や先輩、同僚などに相談することもなく、それどころか、上司や先輩に知られたくないと考えて、慌てて先方に謝罪のメールを送るだけで済ませてしまいます。

 しかも、このようなグループではビジネス文書のレベルを向上させるためにお互いに教え合ったり学習の機会を設けたりすることもないため、何やら意味不明で、顧客に不快感を与える誠実さを欠いた文面のメールになってしまいます。その結果、問題が拡大、深刻化してしまいます。

 グループがこのような状態になることを避けるためにも、本当の意味でのコミュニケーションができるグループにする必要があります。そのためには、メールだけに頼らず、グループ内での対話(会話)も重視しなければなりません。

 例えば、定期的に、あるいは特定の機会にミーティングを開催するというのは、多くの人が取り組んでいることです。ミーティングを開催することによって、メンバーが問題を抱えていれば報告し、グループとして問題を早期に発見して深刻になってしまうのを防ぐという効果があります。

 また、対話によるコミュニケーションを促進できるという利点もあります。エンジニアの中には「ミーティングなど余計な時間をとるものだ、その時間でサブルーチンの1つでも書けるのに」と考える人もいますが、ミーティングの場できちんとコミュニケーションを取ることで、メンバーのタコつぼ化を防ぎ、後々の問題の発生を防ぎ、結果的に効率的、効果的に仕事を進めることができるようになるのです。

 現在ではメールでコミュニケーションを取るのが簡単になったので、ついメールを使ってしまいます。メールを使おうとするときにちょっと手を止めて、これで適切なのか、他のコミュニケーション手段を使う方が適切なのではないかと考え、判断することが大切です。

著者プロフィール

谷口 功 (たにぐち いさお)

フリーランスのライター、翻訳家。企業にて、ファクシミリ通信網を使ったデータ通信システム、人工知能、日本語処理関連のソフトウェア開発、マニュアルの執筆などに関わる。退職後、コンピュータ、情報処理、通信関連の書籍の執筆、翻訳、各種マニュアルや各種教材の執筆に携わる。また、通信、コンピュータ関連のメールマガジンの記事、各種雑誌においてインターネット、パソコン関連の記事やコラムなども執筆。コンピュータや通信に関連する漫画の原作を執筆することもある。

主な著作は、『SEのための 図解の技術、文章の技術』(技術評論社)、『ソフト契約と見積りの基本がよ〜くわかる本』『よくわかる最新 通信の基本と仕組み』(秀和システム)、『図解 通信プロトコルのことがわかる本』『入門ビジュアルテクノロジー 通信プロトコルのしくみ』(日本実業出版社)、『図解 ネットワークセキュリティ』『マスタリングTCP/IP IPsec編』[共著](オーム社)など。



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