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» 2011年10月24日 00時00分 公開

Windows Insider用語解説:Ultrabook

薄型で、長いバッテリ駆動時間、1000ドル以下の価格を目指すノートPCの新カテゴリ「Ultrabook」とは? Ultrabook登場の背景などについて解説する。

[小林章彦,デジタルアドバンテージ]
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 Intelが2011年5月に構想を発表した、薄型で、長いバッテリ駆動時間を実現するノートPCの新カテゴリ。厚さ21mm以下の薄型のボディで、5〜8時間のバッテリ駆動を実現し、1000ドル以下のボリューム価格帯を目指す。Intelは、ノートPCが持つ性能や機能と、タブレット端末の特長を兼ね備えた新しい機器と位置付けている。

 Ultrabookの第1弾として、東芝の「dynabook R631」やLenovoの「IdeaPad U300s」などが発表されている(ほかにも、ASUSTeKやAcerなどのメーカーからもUltrabookが発表されている)。東芝の「dynabook R631」は、厚さ8.3〜15.9mm、重さ約1.12kgでバッテリ動作時間は約9時間。Lenovoの「IdeaPad U300s」は、最薄部の厚さ14.9mm(最厚部のサイズは公表されていない)、重さ1.32kgでバッテリ動作時間は約7時間である。実売価格は、どちらも15万円前後になるという。両ノートPCとも、Ultrabookの1000ドル以下というコンセプトの2倍近い価格設定となってしまっている(為替が1ドル76円という円高であるため、コンセプトに対して大幅に高い価格設定になっている面もあるだろう)。

東芝のUltrabook「dynabook R631」
第2世代Core i5-2467Mプロセッサを搭載し、128GbytesのSSDを採用する。約9時間のバッテリ駆動を実現するとしている。

LenovoのUltrabook「IdeaPad U300s」
第2世代Core i7-2677Mプロセッサを搭載し、256GbytesのSSDを採用する。約7時間のバッテリ駆動を実現するとしている。

Ultrabook登場の背景

 これまでもIntelは、CentrinoやNetbookなど、新しいブランドやカテゴリの普及を図ってきた。Centrinoは、Intelの特定のプロセッサとチップセット(無線LANチップを含む)の組み合わせをブランド化したことで、ノートPCに対して無線LANを標準化することに成功している。またIntelが規格化したものではないが、Netbookの普及をAtomプロセッサで後押ししたことで、結果的にノートPCの低価格化を実現し、普及を図ることに成功した。

 Ultrabookでは、薄型、軽量、長時間のバッテリ駆動を実現することで、これまで以上に持ち運んで外出先で利用しやすいノートPCの普及を目指している。すでにこの領域では、iPadやAndroid(+ARMプロセッサ)端末に代表されるタブレット端末が急速に普及し始めている。一部のAndroidタブレットでは、キーボードを取り付けることでノートPCと同様の形態を実現したりするものもある(iPadに接続可能なキーボードも販売されている)。つまりタブレット端末が、徐々にノートPCと同様の使い勝手を持ち、ノートPCの領域を侵食し始めているわけだ。当然ながら、その流れを手をこまねいて見ているIntelではない。タブレット端末が領域を拡大する前に、ノートPCとタブレット端末の間となる市場(Ultrabookがターゲットとする市場)を押さえようというのが「Ultrabook」の登場の背景にある。

 ただx86/x64搭載のPCをベースにして、タブレット端末の特長でもある「薄型、軽量、長時間のバッテリ駆動」を実現し、リーズナブルな価格とするのは容易ではない。これまでも、さまざまなメーカーから薄型・軽量を実現したノートPCは販売されてきたが、専用のデバイスを利用したり、特殊なプロセッサやチップを実装したりするなどしたため、同程度の性能を持つノートPCに比べて価格が非常に高くなってしまった(もしくは性能が大幅に見劣りするものとなってしまった)。そこでIntelは、Ultrabookの本体サイズなどの要件を規定することで、デバイス・メーカーに対してUltrabook向けのデバイスの開発を促し、デバイスの標準化を図り、安価で提供可能にしようというわけだ。

 Ultrabookのコンセプトを実現するには、液晶ディスプレイやキーボード、バッテリ技術、筐体など、さらなる革新的なコンポーネント技術が必要となる。さらに長時間のバッテリ駆動を実現するためには、プロセッサを含むさまざまなデバイスの省電力化も求められる。Intelの投資部門のIntel Capitalは、3億ドルの「Ultrabook基金」を創設し、Ultrabookを実現するための技術・製品開発を行う企業に対して投資を行うことを発表している。具体的には、24時間の利用を可能にする長時間バッテリ、革新的なデザイン、ストレージ容量の拡張などのハードウェア、およびソフトウェアの開発企業を対象に投資する計画であるという。

Ultrabookのロードマップ

 Intelが公表しているUltrabookのロードマップによれば、第1弾は第2世代Coreプロセッサを搭載し、2011年末に販売開始となっている。第2弾は2012年前半の22nmプロセス製造による3次元トライゲート・トランジスタを採用する第3世代Coreプロセッサ「Ivy Bridge(開発コード名:アイビー・ブリッジ)」の製品化とともに販売され、IntelとMcAfeeが共同で開発しているUltrabookを対象にしたマカフィー盗難防止サービス(Intel独自のチップ技術を活用し、デバイス・ロックやデータの消去、追跡システムなどのサービス)が利用可能になるなど、セキュリティ機能も強化される予定だ。

 第3弾は次世代プロセッサ「Haswell(開発コード名:ハズウェル)」を搭載し、これによりUltrabookのコンセプトがほぼ実現する。第3弾のHaswell搭載版では、インターネットに接続された「待機状態」で10日間を超えるバッテリ動作が可能になる予定だ。Intelは、2012年末までにコンシューマ向けノートPC市場の40%をUltrabookに移行するとしている。

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