連載
» 2011年12月12日 00時00分 公開

開発チームを改善するためのスクラムTips(3):バックログで、動的に計画変更できる仕組みを作る (1/2)

「スクラム」は、アジャイル開発の手法群の中でも、「チームとしての仕事の進め方」に特化したフレームワークだ。スクラムの知識を応用して、開発チームの日常をちょっとリファクタリングしてみよう。

[かわぐちやすのぶ(@kawaguti),@IT]

今回の内容

課題

  • 予定外の仕事が入ってタスクをこなし切れず、残業ばかりである
  • 年末は忙しくて余裕がないのに、期限の短い仕事が増えてしま

スクラムのプラクティス

  • 急な仕事に「スプリントバックログ」を使って上司と相談をする
  • ポイントは「状況を共有し、“問題vs.私たち”の状態を作る」」

年末になると、なぜか期限が短い仕事が増える……

 年末になると、なぜか期限が短い仕事が増えます。なぜでしょうか?

 原因はいくつかあると思われます。

  • 役所への申請や正月休みの影響で、年内に「完了が必須」の仕事が増える
  • 棚ざらしにしていた仕事を、年内に片付けたくなる。他者に見つかる前に帳尻を合わせたいというニーズが発生する
  • 忘年会や挨拶まわりなど、他の月には発生しないタスクが発生する
  • 上司や関係者が忙しくて時間が取れないために、予想外に待たされてしまう

 しかし、これらは「師走」発生のきっかけにすぎません。

師走発生の最大の原因は、リスクバッファ

 実は、最大の問題は「事態を予想し、あらかじめ対策をとろうとする」人間のまじめな防衛本能にあります。

 12月の忙しさは、もはや年中行事。これは予想された事態です。人は、遅延するリスクを考え、あらかじめ防御策として「バッファ」を考えます。

 例えば、年内に会議を通さなければいけない案件があるとき、「“念のため”早めに資料を出してほしいと」担当者が関係者にお願いすることは、容易に想像できます。


 “いつもより早め”に作業するため、まだ準備が整っていないうちに作業することになると、やり直しや手戻りの発生リスクが上がります。依頼された人も、いつもと違うタイミングで仕事をするため、あまり効率的ではないでしょう。

 結果的に、いつも以上に遅れや問題が発生しやすくなり、催促や追加のお願いが必要になり、ドミノ倒しのように他の人へも影響が伝播していきます。

 こうやって、誰にとっても年末は「なる早」タスクのオンパレードになってしまうのです。こんなときこそ優先順位付けとサイズを見積もった「スプリントバックログ」が威力を発揮します。

用語解説:スプリントバックログ

スクラムでは、 あなたが取り掛かる予定の仕事を「取り掛かる順」に並べたリストと定義しています。バックログの作り方は、は記事「“なる早”タスクにスケジュールを乱されないための『バックログ』」をどうぞ。


スプリントバックログを使って、上司とコミュニケーションを取る

 「緊急」の仕事が発生したら、上司とスプリントバックログを眺めながら、ベストな優先順位の組み替え方法について、相談してみましょう。

上司:「○○さん。悪いけど、急ぎでこの仕事をお願いできるかな」

部下:「今、レポート作成の仕事をしているので、その後なら対応できます。その代わり、こちらの仕事は来週に持ち越しになりますが」

上司:「この仕事はまだ期限まで1週間あるから、来週の対応で構わない。今頼んだ仕事はいつくらいに終わるかな?」

部下:「この予定を見る限りでは、水曜日いっぱいですね」

上司:「分かった。やってみて、問題があるようなら教えてほしい」

部下:「了解です。朝会で進ちょくを報告します」

 「この」「その」という具体的なものを指す言葉を多用していることにお気付きでしょうか。バックログを見ながらだと、このように「Aの仕事はこれぐらいに終わる」「Bの仕事はこれぐらいかかる」といったように、仕事の見積もりや工数を共有しながら相談することが可能です。

 調整すべきことは、「あなたの頑張り具合」や「上司の気持ち」ではなく、「具体的な作業とその影響」です。

 依頼している人は、部下の仕事をすべて把握しているわけではありません。そのため、現在の状況を共有し、「問題vs.私たち」の状態を作ることが重要なのです。

 スムーズな解決ばかりではないと思いますが、問題をその場で発見し、落ち着いて対応策を相談することで、最悪の事態を避けられる可能性がアップします。□

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