フリーエンジニア座談会「ぶっちゃけた話、スマホ業界ってオイシイ?」エンジニアなう(1)(2/2 ページ)

» 2012年03月26日 00時00分 公開
[Engineer factory]
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アイデア1つで大ヒット! スマホ業界を背負って立つ熱意が大事!

――スマホ業界のエンジニアは具体的に、どんな仕事をするのでしょうか。 

S野氏 アプリ開発はシンプルで、アプリ1つでいくら、みたいな請け方が多いかな。ただし、サービスの開発になると、ネットワークも必要だし全体像が理解できてないと請けられない。

M畑氏 スマホエンジニアを大別すると、「アプリを作る人」「サーバサイドを作る人」2種類いると思います。アプリの場合、iOSならObjective-Cだし、AndroidだったらJava。基幹系に近いサーバサイドの場合はHTML、JavaScript、SQLなどのデータベースをやれる人も必要。アプローチによって必要なスキルもずいぶん違いますよね。サーバサイドの場合は、スマホで使えるようにするだけで、枯れた技術が多いから入りやすい人も多いかもしれませんね。

S野氏 スマホ向けアプリの開発で一番対峙しなければならないのはUIなんです。これをきちんと考えられる人はすぐに来られる。

N岡氏 iOS向けなんかはObjective-Cなどをがっつり知らなくても、UIは作れるんです。でも、操作系が今までにないものだから、作ってはみたものの「なんか駄目」ってことが多い(笑)。例えば、いろいろな人に触ってもらって「これはいい」ってなっても、女性が触ったら指が届かなかったとかもありました。女の子でも扱いやすいようUIを改良したり、そもそも両手持ち前提で作り直すとかそんな感じです。

T林氏 それはもうセンスだよね。自分で作らないと、そういったことも分からない。

N岡氏 センスがあれば納期を短くしたり、リテイクも少なくてすむはずですね。

S野氏 わたしもここ1年半ぐらいスマホを勉強してきたけど、スマホのUIは最低10回は作れ、なんてことも言われます。それに、プロトタイプは2週間で上げろなんてことも……。iOSのX-CODEなんて誰でも使えるわけで、要は開発の時間を短縮するだけのものなんですよ。あまった時間は全部クリエイティブな要素を作る時間に充てようというのが、Appleの考え方。

T林氏 スマホ向けのアプリを考えたとき、AndroidとiOSはまったく別物ですね。だからアプリを作ろうと考えた時は、それぞれ専用なのか、両方で動かすのか、その3つの考え方しかないし、そこをきっちり見定めるのが大切。

――最も難しいのは両対応のアプリですか?

T林氏 そう作ればいいだけなので、難易度はそれほどではないです。ただし、それぞれのOSの特性を見極めてきっちりしたものを作り込んでいくか、特性はともかく両方で動くというアプリを作るか、の違いですね。そこがプラットフォームを決める側のビジネスモデルにもつながるんです。

スマホ業界エンジニアに聞く、この業界の将来とは?

――スマホ業界の盛り上がりって、まだまだ続きますかね?

S野氏 アプリ開発という面では、iOSはまだまだ伸びると思ってます。Androidは正直、ピークが過ぎた感じもありますね。Androidの方はバージョンアップの繰り返しで、アプリを開発しづらいというデメリットがあります。まだ分かりませんが、Androidはカーナビや家電の中に入って、クラウドとの連携の中で何かをするものに変化していくようにします。

M畑氏 サーバサイドから見ると、Androidにはまだまだ無限の可能性があると思いますよ。データベースとの同期や通信環境などはまだまだ良くなっていくし、ユーザーから見れば、ブラウザ経由でならクラウドに近い考え方で情報を受け取れる。ミドルウェアを工夫すればいろいろやれると思います。結局、どんなデータをどれだけ蓄積して、ユーザーにリコメンドできるか、これにかかっていると考えてます。

S野氏 「2015〜2020年の間にクラウド革命が起こる」なんて話もあるじゃないですか。それまでにデータを蓄積して、車や家電とどんな情報を共有させ、入出力させられるか。これがAndroidの将来像ですかね。

N岡氏 iOSアプリが一番盛り上がったのは去年ぐらいだったと思います。Androidも日本はまだ盛り上がってますが、みんな慣れてきているというのが印象です。

T林氏 でも、わたしたちのような仕事でスマホと関わっている人は別として、一般の人たちにとっては、そろそろガラケーからスマホに移ろうかな、ぐらいの時期なんですよね。

S野氏 さすがに「スマホを触ったことがない」というユーザーは少ないでしょうけどね。時代の流れと、スマホの進化は次第にリンクし始めているとは思います。

袖山 アメリカに行った人の話だと、カフェのレジがiPhoneだったり、サインはiPadでするなんてことになっている地域もあるみたいですよ。

M畑氏 日本も、5〜10年でそこに追いつくでしょうね。スマホだからといって喜んでいるうちはまだ駄目で、それを使うのが当たり前になってからが問題。

T林氏 確かに技術が劇的に変わることはないでしょうね。何か変わるかというとデータですよ。蓄え方、やりとりの仕方も変化して……昔は手紙だったのに、今はスマホ片手にTwitterで知らない人とおしゃべりしている時代です(笑)。

袖山 データの器としてのスマホですか…… 時代もどんどん変わりますね。

M畑氏 車をiPhoneで操作するようになるんじゃないですか? こう指でディスプレイを触りながら……(自分のiPhoneの画面を指でなぞる)

全員 それは危ない!!!!(爆笑)

M畑氏 いやいや、車に組み込んだコンピュータが自動制御で操縦してくれて、ユーザーは行く先をiPhoneで指示するだけってことですよ(笑)。

S野氏 iOSやAndroidに入っているアプリって、実際にはまだ、人間の生活の役に立ってませんよね。Suicaみたいな技術がスマホで実現できれば爆発すると思います。

T林氏 昔は切符だったのに、今はほとんど買いませんからね。

S野氏 最近ではSuicaのカードを買うのも面倒で、今はケータイをかざすだけですよ?

M畑氏 Suicaも10年かかったし、スマホも同じでしょうね。

――スマホ業界は、これから転職したい人にお勧めできますか?

N岡氏 今はスマホ業界のエンジニアは不足気味なのでJavaができれば入れますけど、今後はしっかりした技術がないと難しくなると思います。いろいろな意味で、時期は早い方がいいでしょうね。

T林氏 アリかナシかでいうとアリだと思います。けれど、開発という分野では一業種に過ぎませんから、スマホ業界に転職したからといってオンリーワンになれません。しっかりした技術、コミュニケーション能力など総合力を試したい人なら、入りやすい今がお勧めですね。

S野氏 ビジョン次第でしょうね。技術だけでなく、ビジネスを知っていて、その展開まで視野に入れるのであれば面白いと思います。技術なんて数カ月もやれば身に付きますから、最終的にはアイデアが絶対必要です。

M畑氏 何かしらの基礎となる技術があれば十分、応用していける世界なので入りやすいと思います。単価や将来性を考えても面白い業界ですしね。同じようなことをやるなら、新しいチャレンジもできるし、リスクをとらないとリターンもないので、スマホ業界への転職は十分お勧めできます。

T林氏 作りたいものを作ろうとした瞬間に作れるのも魅力ですね!

M畑氏 ビジネスモデルとも直結させられるし、今は成長できそうな分野はここしかないもんね。世界を目指すにはスマホ業界しかない!

S野氏 今までのアプリビジネスとちがって、少人数でも作れるし、アイデア次第ですよね。

N岡氏 好きなことをやって、世界中に認めてもらえたらうれしいだろうなあ。

全員 それが一番だよね!!

編集後記

 夢があるエンジニア談義を、久しぶりに聞きました。やっぱりスマホ業界は面白そうなので、チャレンジしたいと考える人にはお勧めできるジャンルですね。この後も座談会は続きましたが、誌面の都合上お話はここまで。また機会を作ってスマ転座談会を開催しますので、そのときは皆様もぜひ参加してください!


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