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» 2012年05月23日 00時00分 公開

IT業界 転職市場最前線(37):スマホ、未経験者採用が激減。独学・自作アプリは必須か

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

[ワークポート]

4月のIT業界求人市場まとめ

 4月は全体的に3月より求人数が増加し、企業と求職者、どちらの活動も活発だった。4月からスタートする採用計画に基づく求人が続々と集まってきており、求職者にとってはチャンスが広がっている。

Web業界

 4月に新年度を迎えた企業が、好業績や事業拡大に伴って増員を計画している。複数名枠の求人もあり、求職者にとってはチャンスの季節が到来している。

エンジニア:キーワードは「若手」「ポテンシャル重視」

 若手・ポテンシャル層の求人増加が顕著だ。エンジニアでは「言語不問、何らかの開発経験があれば可」とする求人も増えた。ただし、書類通過のハードルが下がったわけではないため、しっかりと書類を作り、面接準備を怠らないことが大切だ。

その他職種:幅広い職種に募集かかる

 インフラ運用、デザイナー、営業など幅広い職種で、ポテンシャル重視の採用方針を採る企業が多い。また、マーケティング・バックオフィス・企画職といった非制作系ポジションの求人も増加が顕著である。


モバイル・スマホ業界

 4月の就業決定者全体の約40%が、ソーシャルゲーム関連企業だった。さらなる増員を決めている企業も多く「ゲーム・エンターテインメント業界」「自社開発」などをキーワードに転職活動をしている人は、今がチャンスと言える。

エンジニア:採用ハードルが上がってきている

 人材不足に悩むモバイル・スマホ業界は、SI出身者など他業界からの転職者を積極的に採用している。一方、採用ハードルは上がってきている印象を受ける。「独学でJavaやPHPの知識を得た人」「ソーシャルアプリを自作した経験がある人」などの実務経験がないエンジニアが採用に至るケースは、非常に少なくなっている。転職市場に、経験者が多く流入しているフェイズに入ったためと考えられる。

デザイナー:求める人材像が多様化

 デザイナー職・クリエイティブ職の求人は、引き続き好調だ。幅広いスキルを持ったジェネラリストタイプを求める企業、細分化した職種ごとに募集する企業、求職者のスキルを見て適切なポジションを当てはめていく企業など、企業によって採用手段はさまざまだ。説明会を兼ねた1次面接会を行う企業も増えている。


システム業界

 Web系システム・インテグレータ(SIer)が活況だ。スマートフォン向けアプリケーション開発の案件が増えている。また、大阪などの地方の求人も1割ほど増えた。

 ネットワーク・インテグレータ(NIer)の求人も回復してきた。某大手NIerは年間80名以上もの採用計画を立て、積極的に人材を採用していく方針を打ち出している。

SIer:Web系SIerの求人が好調

 Web系SIerにおける、エンジニアの採用ニーズが高い。採用の内訳としては、エンジニア:6割、ネットワーク:2割、営業:1割、その他:1割といったところだ。JavaやPHPでの開発経験を求める求人が5割、VB、C#、.NET、C++でも応募可能な求人が3割、その他何らかの開発経験があれば応募可能な求人が2割と、採用の枠組みは広がっている。

NIer:求人数はプラスに転じる

 年間で数十名規模の採用を目指す大手NIerなどの動きもあり、減少していた採用人数はプラスに転じた。ネットワークやサーバの構築経験がある人はもちろん、運用・保守の経験があり「これから上流フェイズに携わっていきたい」というなら、今がチャンスだ。ネットワーク、サーバ、データベースエンジニアは、他職種に比べて競争率が低く、内定を得られる確率が高い。多少ハードルが高い求人であっても、トライしてみる価値はあるだろう。


ゲーム業界

 ソーシャルゲーム業界では、大手ゲーム会社やスポーツ業界とのタイアップ作品、有名アニメやキャラクターを使った版権関連のゲームが急増している。そのため、ライセンス管理や法務職といった求人も増えている。

ソーシャルゲーム:コンシューマ、オンラインなどを抑えて好調

 ソーシャルゲームの求人数は、コンシューマゲームの約2.4倍と、圧倒的に数が多い。ディレクター関連も2倍以上の水準で、ソーシャルゲームの独走が続いている。Web関連での経験だけでなく、コンシューマゲーム経験のみでも可とする求人が増加するなど、求人の間口は広がっている。

 一方、人材獲得競争は激化の一途をたどっており、企業は採用スピードを加速させている。1回だけの面接で結果を出す企業、会社説明会と同時に面接会を実施する企業、夜間まで面接を実施する企業など、手段が多様化してきている。


営業・その他

 20代〜30代前半の若手層をメインターゲットとして、求人数は3月に比べて飛躍的に増加した。

 将来的に会社の中核を担っていけるような「マネージャ候補」のポジションも多い。ポテンシャルを重視した採用のため、応募時の必須スキルや通過のポイントでも「自身のキャリアビジョンをしっかり語れること」「自ら考えて行動できること」「意欲があること」といった人物面を重視する傾向にある。

営業:求人数は横ばい→増加へ

 横ばいが続いていた営業関連職が、前月比1.5倍と増加に転じた。3月と比較すると、海外関連営業職と関西エリアでの営業職が増加している。海外関連営業職に関しては、今後のサービス拡大に先立ち、立ち上げポジションを求めるものが多い。また、関西エリアでの営業職は、業績好調を募集背景とする求人が多い。


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