IPv6の基本設定とルーティングプロトコルCCNP対策講座 ROUTE編(10)(2/2 ページ)

» 2012年11月19日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ ネットワーク]
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CiscoルータにおけるIPv6の基本設定

 Ciscoルータにおいては、ルータ上でIPv6ユニキャストルーティングを有効にします。デフォルトでは無効です。

(config)#ipv6 unicast-routing

 インターフェイス上でIPv6ルーティングを有効にすることもできます。有効にするとリンクローカルユニキャストアドレスが自動設定されます。

(config-if)#ipv6 enable

 インターフェイスにIPv6アドレスを設定します。eui-64キーワードを付けることにより、インターフェイスIDがEUI-64フォーマットにより自動生成されます。

(config-if)#ipv6 address {IPv6プレフィックス} / {プレフィックス長} [eui-64]

 それでは、図2において、RouterAにIPv6ユニキャストルーティングを有効にし、インターフェイスにIPv6アドレスを設定してみましょう。

図2 CiscoルータにおけるIPv6の基本設定 図2 CiscoルータにおけるIPv6の基本設定
  • RouterA(config)#ipv6 unicast-routing……IPv6ユニキャストルーティングの有効化
  • RouterA (config)#interface fa0/0
    RouterA (config-if)#ipv6 address 2001:db8:1:1::1/64……インターフェイスにIPv6アドレスを設定
  • RouterA (config)#interface fa0/1
    RouterA (config-if)#ipv6 address 2001:db8:1:2::1/64……インターフェイスにIPv6アドレスを設定

確認問題2

  • 問題

 CiscoルータでIPv6を有効にすることについて正しい説明を、次の選択肢の中から2つ選択しなさい。

a.CiscoルータではIPv6はデフォルトで有効になっている
b.(config-if)#ipv6 address {IPv6プレフィックス} / {プレフィックス長} [eui-64]コマンドの[eui-64]キーワードは必ず付加しなければならない
c.(config)#ipv6 unicast-routingコマンドを入れなければ、CiscoルータでIPv6を有効にすることはできない
d.(config-if)#ipv6 address 2001:db8:1:2::1/64コマンドの/64はプレフィックス長を表している

  • 正解

 c、d

  • 解説

 正解はc、dです。選択肢aは誤りです。Ciscoルータにおいては、IPv6ユニキャストルーティングはデフォルトでは無効です。選択肢bの[eui-64]キーワードはオプションです。IPv6アドレスのインターフェイスIDをEUI-64フォーマットによって作成したい場合に付加します。

CiscoルータにおけるIPv6ルーティングプロトコル(RIPng、OSPFv3)の有効化

 IPv6対応のルーティングプロトコルで代表的なものとして、RIPng、OSPFv3などがあります。

●RIPngの特徴と設定コマンド

  • <RIPv2との共通点>
    • ディスタンスベクタールーティングプロトコル
    • ホップ数の有効値は15
    • スプリットホライズン・ポイズンリバースなどのループを回避する仕組みをサポート
    • トランスポート層のプロトコルはUDP、ポート番号は521を使用
  • <RIPv2との相違点>
    • ルーティングアップデートにFF02::9のマルチキャストアドレスを使用
    • インターフェイス単位での設定
    • ルーティングテーブル上のネクストホップアドレスはリンクローカルアドレスを使用

 Ciscoルータにおいて、インターフェイス単位でRIPngを有効にします。タグには文字列を指定します。タグの文字列は他のルータとそろえる必要はありません。タグはルータ内部で使用される識別子です。networkコマンドは使用しません。

(config-if)#ipv6 rip {タグ} enable
図3 CiscoルータにおけるIPv6ルーティングプロトコルの設定 図3 CiscoルータにおけるIPv6ルーティングプロトコルの設定

 それでは、図3において、RouterAにRIPngを設定してみましょう。

  • RouterA(config)#interface fa0/0
    RouterA(config-if)#ipv6 rip TEST enable……タグはTESTとしてRIPngを有効化
  • RouterA(config)#interface fa0/1
    RouterA(config-if)#ipv6 rip TEST enable……タグはTESTとしてRIPngを有効化

●OSPFv3の特徴と設定コマンド

  • <OSPFv2との共通点>
    • リンクステートルーティングプロトコル
    • エリア分けによる階層構造
    • ABR、ASBRでの経路集約
    • スタブエリアやNSSAをサポート
  • <OSPFv2との相違点>
    • FF02::5(AllSPFRouters)、FF02::6(AllDRRouters)のマルチキャストアドレスを使用
    • ルーティングテーブル上のネクストホップアドレスはリンクローカルアドレスを使用
    • ルータID、エリア番号は32ビット

 Ciscoルータにおいて、インターフェイス単位でOSPFv3を有効にする基本の設定コマンドです。

(config-if)#ipv6 ospf {プロセス番号} area {エリア番号}

 OSPFv3ではルータIDを指定する必要があります。ルータIDは32ビットの数字であり、128ビットではありません。

 OSPFv2では、ルータIDはループバックインターフェイスや物理インターフェイスに設定されているIPアドレスを利用することもできましたが、OSPFv3の場合は明示的に32ビットの値を指定します。

 ルータ上にIPv4アドレスが設定されていない場合は、ルータIDを必ず設定する必要があります。

 ルータコンフィギュレーションモードに移行します。

(config)#ipv6 router ospf {プロセス番号}
(config-rtr)#router-id {ルータID}

 それでは、図3において、RouterAにOSPFv3を設定してみましょう。

  • RouterA(config)#interface fa0/1
    RouterA(config-if)#ipv6 ospf 1 area 0……プロセス番号は1、エリア番号は0としてOSPF3を有効化
  • (config)#ipv6 router ospf 1
    (config-rtr)#router-id 10.10.10.10……プロセス番号は1、ルータIDは10.10.10.10と設定

確認問題3

  • 問題

 CiscoルータにおけるIPv6ルーティングプロトコルについて正しい説明を、次の選択肢の中から2つ選択しなさい。

a.OSPFv3はIPv6対応のルーティングプロトコルで、OSPFv2はIPv6に対応していない
b.RIPngの設定ではnetworkコマンドは使用しない
c.OSPFv3のルータIDは128ビットである
d.OSPFv3のプロセス番号は他のルータとそろえる必要がある

  • 正解

 a、b

  • 解説

 正解はa、bです。選択肢cについて、OSPFv3のルータIDは32ビットです。選択肢dについて、OSPFv3のプロセス番号は他のルータとそろえる必要はありません。

筆者紹介

内藤佳弥子(ないとうかやこ)

IT業界でヘルプデスク、ユーザーサポートを経てトレーナーになる。現在は、Cisco認定トレーナーとして、CCNA、CCNPのコースなどのCisco認定トレーニングコース、ネットワーク系オリジナルコースを担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら


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