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» 2012年11月26日 00時00分 公開

IT業界 転職市場最前線(43):プロジェクト活発化で求人増。好条件で転職のチャンス?

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

[ワークポート]

10月のIT業界転職市場まとめ

 官公庁など公共関連のプロジェクトの活発化に伴って、10月も多くの求人があった。今後しばらくはこの勢いが続くだろう。特に受託開発の求人はプロジェクトの動向に左右されることが多いため、転職のタイミングとしては狙い目だ。

インターネット/Web業界

 インターネットサービス業界の求人は、システム開発、パッケージベンダ、ハードウェアメーカーなどと比較して高水準を維持しており、求人数も増加し続けている。募集職種も多岐にわたり、いずれの職種も前月の求人数を上回った。

ソーシャル業界:好調が際立つ

 インターネット業界全体で求人数が増加しているが、扱っているサービス別では多少の差も感じられる。最も好調なのはソーシャル業界で、求人枠も大きく採用も積極的だ。職種もクリエイターからWebアプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、Webサイト運営、カスタマーサポート、バックオフィスまで幅広い。

その他サービス(Eコマース、コンテンツ、口コミ、検索サイトなど):前月の状態を維持

 Eコマース、コンテンツ、口コミ、検索サイトなどの分野では、求人数は前月の状態を維持するに留まり、目立った増加は見られない。しかしEコマースに関しては、ネット企業だけではなく小売業界やメーカーからもEコマース事業に関する求人が出始めており、今後の増加に期待が持てそうだ。


モバイル業界

 スマートフォンの普及に伴い、ECサイト、電子書籍、SNS連動アプリやテレビ番組のコンテンツ、販促用アプリなど、各企業がさまざまなアプリの開発を進めている。スマートフォン市場は今後も拡大していくことが予想され、移行を急ぐ企業がさらに増加するだろう。企画段階から新サービスに携わりたいというエンジニアにはチャンスとなりそうだ。

ソーシャルゲーム企業/これまで同様、市場をけん引

 モバイル・スマホ業界の転職市場は、これまで同様ソーシャルゲーム企業がけん引している。Java、PHP、Perl、Ruby、Python、.NETなどでの開発経験があれば、異業界からの転身も検討する企業が増えた。職種別に見ても、ディレクター、マーケティング、運営・カスタマーサポート職、および管理部門強化に伴う人事、経理職など、幅広い職種で積極的な採用活動が行われている。


システム業界

 前月に続き、マネジメント経験を求める企業が多い。職種として最もニーズが高いのはプロジェクトマネージャである。現状では開発や構築といった現場に近い作業をこなしつつマネジメントもできる「プレイングマネージャ」を求める案件と、よりマネジメントに特化した経験が生かせる案件がバランス良く存在しており、経験に合わせた転職が可能な状況だ。

システムインテグレータ(SIer):プロジェクトが活発化し、求人数も増加

 受託系およびWeb系のプロジェクトマネージャとシステムエンジニアの求人が好調を維持している。来年3月までの採用計画のスタートとして、積極的に採用活動を進める企業も多かった。依然としてJavaやPHP・Perlといった言語での開発プロジェクトが多いが、C++、C#などの経験を求める求人も増加している。なお、C#などの.NET系やC・C++などWindows環境での開発経験を求める求人では、例えばプロジェクトで使用するツールの開発など、プロジェクト周辺の開発にアサインされるケースも多い。

ネットワークインテグレータ(NIer):サーバ・ネットワークエンジニアが堅調

 Linux環境での経験を持つサーバ・ネットワークエンジニアの求人は、9月に続き堅調に増加している。官公庁など公共関連のプロジェクトが活発化しているため、こうした事業に関連した経験があるプロジェクトマネージャやエンジニアには追い風となるだろう。エンタープライズ業界での経験を歓迎する傾向が高まっている点にも注目したい。


ゲーム業界

 エンジニアやクリエイターの採用は引き続き好調だが、9月に比べると落ち着いた印象だ。目立ったのは語学力を重視する求人の増加で、エンジニアやクリエイターだけでなく、営業やバックオフィスでも採用条件に語学力を挙げる企業が増えている。

プロデューサー・プロジェクトマネージャ:ニーズ拡大中

 プロデューサー・プロジェクトマネージャなど、プロジェクトを担える存在の需要が高まっている。応募の要件として「事業を立ち上げた経験」「企画段階からプロジェクトに携わった経験」などが挙げられており、戦略的な思考ができるか否かもポイントだ。こうした点を重視する傾向はエンジニアやクリエイターの求人でも顕著で、単に手を動かすだけではなく「ゆくゆくはプロジェクトを背負っていきたい」という思いのある人材が求められていることが分かる。

クリエイター:ポテンシャル層の募集も多い

 ゲーム内でのアニメーションの演出から作成まで対応できるアニメーション制作経験者が求められている。加えて、リアルな絵が描けるイラストレーターのニーズも高く、ポートフォリオにデッサンを入れることを必須とする企業も増加した。ポテンシャル層をターゲットとした求人ではPhotoshop、Illustratorの使用経験のみで応募できるものも多く、幅広い層にチャンスがある。


営業・その他

 年齢層や求められる経験別に求人を見ると、マネージャやマネージャ候補の求人に比べ、圧倒的に若手を募集するものが多い。マネージャやマネージャ候補の求人は、数は少ないながら「業界未経験可/経験は2年未満でも可」などハードルの低い求人が大部分を占めており、門戸は広い印象だ。

営業関連職/関西・福岡を中心にニーズ増

 9月に続き、全国に営業所を展開する企業からの営業職募集が目立った。特に多いのが大阪・愛知・福岡で、システム提案営業とWeb広告関連の営業が多くを占めている。また、人材サービス企業の営業職求人も増加した。

バックオフィス/経理職のニーズ増

 バックオフィス関連職のうち、最も増加したのは経理職だった。スタッフからマネージャクラスまで幅広い求人が展開されている。また、業績の好調なソーシャルゲーム企業やその他インターネットサービス関連企業がエンジニアやクリエイターの採用を急ピッチで進めていることから、人事職で採用を行うポジションの求人が増加した。実務経験不問の求人、異業種からの転身を歓迎する求人、意欲を重視し第二新卒をターゲットとする求人などが多く、幅広い人にとってチャンスがある。


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