連載
» 2012年12月21日 00時00分 公開

ITエンジニアの市場価値を高める「営業力」(5):「話し上手なエンジニア」といわれるための8つのコツ (1/2)

エンジニアが市場価値を上げるには、営業力が必要だ。元SEで営業経験もある著者が、「エンジニアが身に付けておきたい営業力」を語る。

[森川滋之,ITブレークスルー]

ITエンジニアはコミュニケーションが苦手か?

 一般的に、「ITエンジニアはコミュニケーションが苦手」といわれているようです。私はこれは俗説だと思っています。

 私は17年半、ITの提供側でSE、企画、営業の3つの職種を経験し、その後もコンサルタントや講師として8年間IT企業と関わり続けています。一方で、IT以外の多くの業界とも関わってきました。

 その経験からいえるのは、どの業界であろうとコミュニケーションの上手な人は上手、下手な人は下手ということです。その割合は大きく変わりません。会社によって多少の差があるような気がする程度です。

 だからといって安心しないでください。これは私の実感にすぎませんが、どの業界でも6対4から7対3ぐらいの割合で、コミュニケーションが円滑でないと思われる人の方が多いのです。さらに、業種・業界ごとにコミュニケーションの問題点は違っているようです。

 そこで今回は、ITエンジニアが身に付けるべきコミュニケーションのテクニックをお伝えしたいと思います。どちらかといえば一般論も含めた基本的な話です。ITエンジニアの営業力向上に関する具体的な話は、次回以降で紹介します。

説明は上手なITエンジニア

 コミュニケーションの要素は、聞く・話すの2つです。このうち「聞く」の方が難しい。さらにいえば、「話す」がうまくできない人は、実は「聞く」ができていないことが多いのです。

 このように重要な「聞く」については、後ほど詳細にお話しするとして、先に「話す」について取り上げます。「話す」は「説明する」といい換えてもいいでしょう。

 私はITコンサルタントとして、ユーザー企業側の立場でITエンジニアの話を聞いてきた経験があります。そのときに感じたのは、一般にITエンジニアは説明がうまいということです。特にリーダークラスの人たちの説明は論理的かつ分かりやすいと思います。説明は流ちょうである必要はありません。論理的で分かりやすければいいのです。

 これは、若いころに「訳の分からない専門用語は使うな」などと顧客から面と向かって言われたり、先輩から注意されたりしてきたからでしょう。長年にわたって自己改善してきているわけです。

ユーザー企業の評価が高くない理由

 それなのにユーザー企業の担当者からの評判は芳しくない。これには、大きく2つの理由があるように思います。

 1つは、聞いていないことも長々と説明してしまうこと。自分の出番だと感じると、言いたいことを全て言ってしまうというのはITエンジニアに限りません。ただ、その傾向の強いITエンジニアが多いように感じます。聞かれたことだけに対して簡潔に話すことが重要です。

 もう1つは、説明の順番が良くないこと。最初に前提条件や制約条件を長々と説明してしまうのです。私も長年SEをしていたので、気持ちはよく分かります。予防線を張りたいということなのでしょう。

 しかしこれは、大体が逆効果になります。ほとんどの場合、顧客はいらいらしてきます。自分が知りたいことになかなか到達しないからです。さらに、ITエンジニアが予防線を張れば、顧客も予防線を張るようになります。そうなると話がどんどんこじれてきます。

 よく「結論を先に言え」といわれますが、私のアドバイスは微妙に違います。「まずは、相手の聞きたいことについて話す意思を伝えよ」と言いたい。

話し方の2つのコツ

 すでにこの時点で、「聞く」の領域に一部入ってしまいました。「聞きたいことについて話す意思を伝える」ことは、後ほど解説する「聞く」テクニックの一つ、「オウム返し」にも該当するからです。

 前提条件や制約条件を説明するのが良くないわけではありません。ただ、いきなり条件から入ると相手の感情を害する場合があるということです。

 たった一言添えるだけで、相手の受ける印象はかなり違ってきます。例えば次のようにです。

 「××様が聞きたいことは、○○だと認識しています。そのことについてお答えしますが、その前に、前提条件を確認した方がよいと思いますので、まずその話をさせてください」

 これは、相手の質問に対して答える場面を想定していますが、こちらから口火を切って説明を始める場合も同様です。例えばプレゼンテーションなどでも、最初に「本日、皆さまがお聞きになりたい話は、○○の件だと認識しています。それでよろしいでしょうか」と切り出して、合意を得る。これだけで、聞く側の態度は変わってくるものなのです。このことを意識しているITエンジニアは、残念ながらほとんどいないように思います。

 会話(プレゼンも一種の会話です)においては、最初に相手の意思の確認をする。流ちょうに話せなくても、これを実践するだけで、相手はあなたのことを話し上手だと思ってくれます。

 話し方については以上です。できるだけ短く、また話す前には相手の意思を確認し、それに添う旨を伝える。これが基本です(図1)。

図1 顧客から評価される話し方のコツ 図1 顧客から評価される話し方のコツ
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。