特集
» 2012年12月25日 00時00分 公開

ITで日本を元気に:学生よ、ITで日本を元気にしてくれ! (1/2)

アクセンチュアが大学生・大学院生を対象に開催した「和魂偉才塾」は、もともと社内のリーダー育成プログラムとして作成されたものだ。社外への公開に踏み切った背景と、そこに込められた「日本のITの活性化を目指す」という思いを聞いた。

[加山恵美,@IT]

 アクセンチュアは2012年10月から12月にかけて、人材育成プログラム「和魂偉才塾」を開催した。受講対象者は大学生・大学院生だ。

 塾は、アクセンチュア社内の次世代リーダー育成プログラム(主に管理職昇格時に参加)を学生向けにアレンジしたものだ。社外への提供は今回が初めてである。開催の様子をレポートするとともに、学生への提供を行った背景と狙い、ITエンジニアへ向けた「リーダーシップの磨き方」などのメッセージを紹介する。

ITに関心を持つ学生向けの「テクノロジー塾」

 「和魂偉才塾」の名称は、「さまざまなスピリッツ(魂)を一つに和したハイパフォーマー(偉才)の集団」を表すアクセンチュアの造語から来ている。今回は「戦略コンサル塾」「グローバル塾」「ビジネス・インテグレーション塾」「テクノロジー塾」の4ジャンルに分けて開催した。

 このうち「テクノロジー塾」は、ITに強い関心を持つ学生を対象に、ITが経営・ビジネスにいかに価値をもたらすかを紹介。IT業界における将来のリーダーの育成を目的としたもので、アクセンチュアにおける「テクノロジー コンサルタント」入門編という位置付けだ。ITエンジニア、特に今後ITコンサルタントを目指す人には興味深い内容だろう。

 講義の内容は「経営とITの潮流」「Technology vision」「実践Technology Consulting」。講師はアクセンチュアの現役テクノロジー コンサルタントが務め、ITがどのように経営に寄与するか、テクノロジー コンサルタントが実際にどのような仕事をするかについて語った。例えば「実践Technology Consulting」の講義では、システムの分類や構成要素、システム開発の流れ、事例を基にした企業ITに求められる役割などを解説した。

 講義の後はグループワーク。受講生6人1組でチームを作り、課題に取り組んだ。1チームに1人のアクセンチュア社員がサポーターとして入り、グループワークを支えた。

 テクノロジー塾が受講生に与えた課題は「テクノロジー×ビジネスを考える」として、ITを活用してビジネスを変革する企画を作成すること。企画には背景・課題、ターゲット市場なども盛り込むようにと指示があった。特定のビジネスシーンを対象としないため自由な発想で取り組めるものの、具体性が要求され、簡単ではなさそうだ。当然ながら強いチームワークも求められる。

 受講生からは、IT業界について熱心に情報収集している様子がうかがえた。質疑応答の時間には「“リアルタイム”というが、実際にどの程度の即時性を持つものをリアルタイムと呼べるのか」「企業のM&Aが起きたとき、どのようにシステムを統合するのか」など、踏み込んだ質問も寄せられた。

 全4回の最終日には、各チームが作成した企画のプレゼンテーションを行った。「健康データプラットフォーム構築によるトータルヘルスケアサービスの提案」「スマートレイン」など4企画の発表後、それぞれの提供価値などについて盛んな議論が行われ、活気のある最終回となった。

テクノロジー塾「実践Technology Consulting」開催の様子 テクノロジー塾「実践Technology Consulting」開催の様子

日本のITの活性化を目指し、社内プログラムを外部に提供

 なぜ今回、アクセンチュアは和魂偉才塾の外部提供に踏み切ったのだろうか。テクノロジー塾の塾長である、アクセンチュア 執行役員 テクノロジー コンサルティング本部 副統括本部長・事業推進担当の仙波孝康氏に背景を聞いた。

 外部提供の理由は大きく2つ、「日本企業および日本のITの活性化」と「社会貢献」だ。仙波氏は「アクセンチュアはグローバル企業であり、世界各地に顧客を持っていますが、日本のアクセンチュアの顧客の多くは日本企業です。日本企業が発展し、活性化することが私たちにとって大切なことです」と語る。

 日本企業の活性化を長期的に考えたとき、何をすべきか。この問いが人材育成という答えにつながったのだという。

 人材育成は経済の活性化に即効性があるとはいえないものの、将来長きにわたる効果が見込めるし、優れた人材が周囲に影響を与えれば、効果が波及していくことも期待できる。

<strong>アクセンチュア 執行役員テクノロジー コンサルティング本部副統括本部長・事業推進担当仙波孝康氏</strong> アクセンチュア 執行役員
テクノロジー コンサルティング本部副統括本部長・事業推進担当仙波孝康氏

 仙波氏はこうも話す。「今、『ITに元気がない』と言われますが、それはまず日本の企業の元気がないということ。そして日本の企業を元気にするもの、企業が生き残るために不可欠なものもITなのです。まさにテクノロジー塾のテーマは、『ITを使っていかに日本の企業を元気にするか』を考えることでした」

 今回の取り組みを通じて、学生が「ITへの興味を深めてくれるといい」という。「アクセンチュアにも興味を持ってくれればうれしいですが、もしかしたら競合になってしまうかもしれない。でも、いろいろな意味で日本が盛り上がるかなと思っています」

 また、アクセンチュアの企業市民としての社会貢献を考えたときも、社会に還元できる独自の強みとして人材育成が挙がったという。

 「アクセンチュアは人材輩出企業です」と仙波氏は説明する。「われわれは『卒業』という言い方をしています。アクセンチュアを卒業して他の企業で活躍するケースが多いのです」。事実、アクセンチュア出身の経営者は多く、IT業界でリーダーシップを発揮している人もよく見かける。

 得意分野である人材育成、リーダー育成で、社会に還元しながら将来のリーダーを育てていきたい。それがアクセンチュアの狙いであり、「われわれにとってそれ自身が大きなメリットになります」と仙波氏は強調する。「学生の時点でしっかりしたリーダーシップを身に付けた人たちと関わりがある、それ自体が非常に大事だと思っています」

 日本のアクセンチュアが今年で50周年を迎えたため、記念の意味で社会貢献に取り組んでおり、その一環でもあるそうだ。

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