DB2はインメモリ/カラムストアDBの実装で「ハイブリッド・データベース」になる

日本IBMは独自の「BLUアクセラレーション」技術を盛り込んだデータベースソフトウェアの最新版を発表した。

» 2013年04月04日 16時50分 公開
[原田美穂,@IT]

 2013年4月4日、日本IBMは同社データベース製品の最新バージョンとなるDB2 V10.5を発表した。2013年6月14日から、日本IBMおよびパートナー経由で提供を開始する予定。新バージョンの目玉は、BLUアクセラレーションテクノロジの実装だ。

DB2 V10.5の機能イメージ(出典:日本IBM)

 従来の列指向データベースとしての機能をそのままに、同一のストレージ上でカラム型のデータを保持でき、OLTP処理とOLAP処理を単一のストレージインスタンス上で受け持てる。

 加えて、データベースエンジンでは、SIMD拡張命令セットを活用した並列処理を実現しており、データ順序を保持しながらデータ圧縮を行う独自のアルゴリズム(アクショナルブコンプレッション)や、効率的なデータスキャンを実現するデータスキッピングと併せて、高速なデータ分析処理が可能になっているという。

BLUアクセラレーションの処理フロー BLUアクセラレーションは同社Informix製品にも搭載されている技術(出典:日本IBM)

 実際のデータ分析では、通常のSQLクエリに対して、下記資料のように「ORGANIZE BY COLUMN」句を追記してCREATE TABLEを実行、通常のテーブルとは別にカラムデータを用意して利用する。データ分析モデルの生成は既存のSPSSなどのアプリケーションで作成できる。デモではSPSSを使って分析モデルを構築、実行段階で通常の行データと列データでの実行速度の比較が行われた。

列テーブルを作成するクエリの例(出典:日本IBM)

 「パフォーマンスチューニングなしの状態でも社内検証で約30倍高速な分析が可能になった」(日本IBM 理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長 塚本眞一氏)

 SIMD拡張命令セットを持つアーキテクチャ全てを対象とし、シングルインスタンスで利用できることから「まずは中堅規模の企業でのデータ活用を支援する」(塚本氏)としている。対象OSはLinux、Windows、UNIX。

 このほか、DB2 PureScaleのテクノロジも継承しており、可用性、保守容易性なども維持している。

 今後の展開として、クラスタ構成でのBLUアクセラレーション処理や、アプリケーション開発向けにNoSQL系データベースとの連携、JSON形式のデータへの対応などが予定されている。

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