YouTubeに投稿された心打たれるバーチャル合唱太田智美のビビビ「TEDTalks」ピックアップ!

「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、不定期に紹介する企画。今回取り上げる動画は、「A virtual choir 2,000 voices strong」だ。

» 2013年04月05日 17時46分 公開
[太田智美,ITmedia]

本連載では、TED(「Technology Entertainment Design」の略)が主催するカンファレンスの講演動画「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、紹介していきます。


「A virtual choir 2,000 voices strong」

 エリック・ウィテカー(Eric Whitacre)氏は、大学の合唱団に入部したことがきっかけで、クラシックの作曲家兼指揮者として活躍している。そんな彼に、友人からあるYouTubeのリンクがメールで送られてきた。エリック氏宛てに作られた、ファンビデオだった。ビデオには、彼の作った合唱曲のソプラノの声部を歌っている若い女性が映っていた。エリック氏はこのビデオを見て、ひらめいた。――「バーチャルな合唱を作れるかもしれない」――

 方法はこうだ。まず、個人がソプラノ、アルト、テノール、バスのそれぞれのパートを歌いYouTubeに投稿してもらう。それをまとめ、編集すればバーチャルな合唱のできあがりだ。彼は、自分の作曲した曲の楽譜を自由にダウンロードできるようにし、音楽愛好家たちに呼びかけた。同時に、自分が指揮をしているピアノの伴奏付きの動画を投稿した。すると、多くの人がビデオをアップロードし始めたのだ。そして、バーチャル合唱が完成した。YouTubeに投稿したバーチャル合唱の動画は口コミで広まり、1カ月で100万回再生された。

 バーチャル合唱に参加した人々は、「昔はよく、妹と一緒に歌っていました。今は、空軍のパイロットになっていつも世界各地を移動していてなかなか一緒に歌えません。だから、バーチャルでまた一緒に歌えてすごくよかったです!」「美しい音楽というだけではなく、会ったことはなくてもつながっている、世界に広がるコミュニティの一員に加われたことが素晴らしいです」「私がバーチャル合唱に参加すると夫に言ったら お前の声じゃ無理だと言われました。とても傷ついて泣きました。でも、私の中にどうしてもやりたいという気持ちがありました。今まで叶わなかった『合唱に加わる夢』が叶うんです。Google Earthにマーカーを付けたら、私の住んでいる場所から一番近い町まで600キロ離れていました。世界との絆です」などの声をFacebookページに寄せている。

 エリック氏は言う。「このバーチャル合唱から感じたことは、2つ。1つは、互いに人がつながり合うために努力をいとわなかったということです。もう1つは、人々が本当のつながりを持っているということ。重要なのはテクノロジではありません。この合唱は、決してバーチャルなものではなかったのです。会ったことはなくても、みんな友だちになっています。家族のように」(同氏)。


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