Play 2.1にアップグレードしてコントローラを使いこなすScala+Play 2.0でWebアプリ開発入門(5)(3/3 ページ)

» 2013年04月11日 18時00分 公開
[中村修太,クラスメソッド]
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「セッション」「フラッシュスコープ」、Java EEでいう「HTTPセッション」の違い

 Playでは「セッション」「フラッシュスコープ」という、データを一定期間保持するための機能があります。

 セッションはユーザーの1セッション、フラッシュスコープは1つのリクエストが終了するまで、それぞれ保持されます。

 注意してほしいのは、「セッションやフラッシュのデータが保存される場所はサーバではなく、クッキーを利用してクライアント側に保持される」という点です。クッキーを利用すると、データを保持できるサイズは4kbytesまでに制限されますし、文字列型しか保存できません。

 Playにおけるセッションは、Java EE(J2EE)でいうところの「HTTPセッション」とは別物です。Java EEのセッションはWebブラウザを閉じればタイムアウトしますが、Playのセッションはタイムアウトがありません。Playのセッションでタイムアウトを実現したい場合、セッションにタイムスタンプを保持するなどの工夫が必要です。

 なお、Java EEでいう「HTTPセッション」のような機能は、PlayのCache APIを使用することで実現できます。このCache APIについては、次回以降に紹介します。

セッションの使い方

 セッションを使って特定のページにアクセスしたことがあるかどうかチェックしてみましょう。SessionController.scalaファイルを作成します。そのファイルに新しいコントローラを定義しましょう。

package controllers
import play.api._
import play.api.mvc._
import play.api.libs.iteratee.Enumerator
object SessionController extends Controller {
    def setSession = Action { implicit request =>
        Ok("save session.").withSession(
            session + ("date" -> new java.util.Date().toString()))
    }
    def getSession = Action { implicit request =>
        session.get("date").map { date =>
            Ok("save session page access time:" + date)
        }.getOrElse {
            Ok("you have never access in save session page.")
        }
    }
}

 PlainResultトレイトのwithSessionメソッドを使えばセッションを保存できます。setSessionメソッドは、「date」という名前で、タイムスタンプを文字列にして保存しています。session変数はセッションを示すオブジェクトで、Mapのように使用できます。

 もし、「withSession」の中で「”foo” -> "bar"」のように「session」変数に追加する形式にしないと、セッションを全て入れ替えてしまうので、気を付けましょう。

 conf/routesファイルにセッションを保存/取得するためのURIを定義します。

GET     /saveSession          controllers.SessionController.setSession
GET     /readSession          controllers.SessionController.getSession

 Playコンソールからアプリケーションを再起動してアクセスしてみてください。「/saveSession」にアクセスしてから「/readSessio」にアクセスすると、タイムスタンプが表示されます。

 また、Webブラウザをいったん閉じてから「/readSession」にアクセスしても、同じように動作します(クッキーを削除すればセッション保存前の状態になります)。

 なお、セッションを全て削除するには、「withNewSession」メソッドを使用します。

Ok("remove session.").withNewSession

フラッシュスコープの使い方

 「フラッシュスコープ」は1リクエストの間のみ保持されるデータです。公式サイトによると、フラッシュスコープは「非Ajaxアプリケーションの成功/失敗メッセージにのみ使用することを推奨」としています。

 早速使ってみましょう。SessionControllerにメソッドを2つ追加します。

    def getFlash = Action { implicit request =>
        Ok {
            flash.get("msg").getOrElse("no msg!")
        }
    }
    def setFlash = Action {
        Redirect("/readFlash").flashing(
            "msg" -> "save Flash!")
    }

 フラッシュスコープへ値を保存するには、「flashing」メソッドを使用します。「flash」変数が「request」の持つフラッシュスコープ用変数です。この変数もセッションと同じく、Mapのように使用できます。

 「conf/routes」ファイルにルート情報を追加してアプリケーションにアクセスしてみましょう。

GET     /saveFlash          controllers.SessionController.setFlash
GET     /readFlash          controllers.SessionController.getFlash

 「/saveFlash」にアクセスすると、そのまま「/readFlash」にリダイレクトされ、「save Flash!」が表示されます。その後、直接「/readFlash」にアクセスしても、「no msg!」と表示され、メッセージ有効期限が1リクエスト内であることが確認できます。

 この章ではセッションとフラッシュスコープの使い方を簡単に紹介しました。セッションとフラッシュスコープに関する詳細は「Documentation: ScalaSessionFlash ― Playframework」で確認してください。

次回はScalaテンプレートエンジンとビュー

 今回はPlay 2.1への移行方法やコントローラのさまざまな使い方、さらにはセッションとフラッシュスコープの使用方法を紹介しました。コントローラにはまだ解説していない重要な機能がありますが、それについては必要になった時点で、逐次解説していきます。

 次回は、Scalaテンプレートエンジンとビューに関する機能を紹介する予定です。

著者プロフィール

中村修太

中村修太(なかむら しゅうた)

クラスメソッド勤務の新しもの好きプログラマです。昨年、東京から山口県に引っ越し、現在はノマドワーカーとして働いています。好きなJazzを聴きながらプログラミングするのが大好きです。


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