グレープシティ、Webアプリ開発基盤「Visual WebGui」を6月に発売Windowsフォームの開発手法でWebアプリを開発

グレープシティのVisual WebGuiは、Windowsフォームアプリケーションを開発するのと同じ手法でHTML5対応のWebアプリを開発することができる。

» 2013年05月15日 08時00分 公開
[藤本和彦,@IT]

 グレープシティは5月15日、新たなWebアプリ開発基盤「Visual WebGui Pro Studio Web&Mobile 7.0J(Visual WebGui)」を6月26日に発売すると発表した。マイクロソフトの統合開発環境(IDE)である「Visual Studio」でWindowsフォームアプリケーションを開発するのと同じ手法でHTML5対応のWebアプリを開発することができる。

 イスラエルのGizmoxが独自開発したVisual WebGuiは、従来のクライアントサーバ型のアプリケーション開発者が培ってきたこれまでの技術だけで、社内外のPCやモバイル端末でも閲覧可能なWebアプリケーションを開発できるフレームワーク。HTMLやCSS、JavaScriptについて学習する必要がなく、これまでの.NET Frameworkベースの開発手法でHTML5対応のインターネット/イントラネットシステムを開発できる。開発したアプリケーションは、Internet Explorer 8/9/10、Chrome、FirefoxといったPCブラウザや、iOSのSafari、Androidの標準ブラウザといったモバイルブラウザなどで動作する。

 開発ツールはVisual Studioのプラグインとして統合される。Windowsフォームの開発コントロールとAPIレベルでほぼ同じ構造を持つチャート、データグリッド、コンボボックスやリスト、各種コンテナ類など70種類以上のコントロールを収録する。.NET Frameworkの標準コントロールと同様のプロパティやメソッドを備え、標準コントロールを使ったことのある開発者にはなじみ深い操作性を提供する。

Visual WebGuiの設計画面(発表資料より)

 画面設計はコントロールをフォーム上に配置し、プロパティ設定で行い、処理はオブジェクトのイベントハンドラにVisual BasicあるいはC#で記述するイベント駆動型となっている。ASP.NET Webフォームのように、クライアント側での動作をJavaScriptで記述する必要がない。

 開発されたWebアプリケーションは、実行時にASP.NETアプリケーションとして動作する。Webサーバ(IIS)上で、.NET Frameworkのランタイム(CLR)によって実行されるため、Server、Session、Application、Request & ResponseといったASP.NETのオブジェクトが利用される仕組み。JSPサーブレットのようなサーバ側の専用モジュールは必要ない。アプリケーションとASP.NETオブジェクトをつなぐパイプラインプロトコルはASP.NETのものと互換があり、シームレスにASP.NETオブジェクトを利用することができるという。

 Visual WebGuiでは、サーバとクライアントで役割を分割している。サーバはアプリケーションの状態管理とビジネスロジックの実行を担当。処理したデータはXML形式でブラウザに返す。クライアントブラウザは、サーバへのイベント送信および処理結果として送られてきたXMLデータを受け取ってデータ更新とUIの生成を担当する。サーバ側からHTMLデータを受け取る必要がなく、Webブラウザとサーバの通信をコマンドとデータのみの最小限に抑えている。ASP.NET Webフォームのようなポストバックも生じない。

 クライアント側でUIを生成する仕組みは、初回レスポンス時にブラウザに送られる「Visual WebGuiカーネル」と呼ばれる仮想化エンジンにより実現している。Visual WebGuiカーネルはJavaScriptで作られているため、SilverlightやFlashのようなプラグインは不要である。

Visual WebGuiのアーキテクチャ(発表資料より)

 1開発ライセンスの価格は14万7000円(税込)。開発したアプリケーションを運用する配布ライセンスは15万7500円から。

 Visual WebGuiのロードマップとしては、6月26日の製品版リリース後、2013年9〜10月にモバイル機能を強化したサービスパックの提供を予定している。サービスパックは製品利用者には無償提供される。

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