日本IBM、モバイル端末向けアプリケーション開発・運用環境の機能向上大量の情報を安全確実に送受信するアプライアンス製品も用意

日本IBMは、モバイル端末に向けたアプリケーションの開発や管理、運用を支援する製品群「IBM MobileFirst」の新製品「Worklight V6.0」と「Business Process Manager V8.5」、「MessageSight」の3製品を発売すると発表した。

» 2013年06月13日 19時47分 公開
[山口哲弘,@IT]

 日本IBMは6月13日、スマートフォンやタブレット端末など、モバイル端末に向けたアプリケーションの開発や管理、運用を支援する製品群「IBM MobileFirst」の新製品3種を発売すると発表した。アプリケーション開発ツールの「Worklight V6.0」と、ビジネスプロセスの管理ツール「Business Process Manager V8.5」、そしてモバイル端末などに向けて大量の情報を安全で確実に送受信するためのアプライアンス製品「MessageSight」の3製品である。

 「今やモバイル端末は、ビジネストランザクションのための機器となっている。ある調査によれば、モバイル端末を利用するユーザーの91%が常に身に付けており、位置などの情報を使ってサービスを提供することがユーザーに付加価値を与える。今後はモバイル端末を基幹としてビジネスモデルを構築する段階にある」と、日本IBMのソフトウェア事業WebSphere事業部で事業部長を務める三戸篤氏は述べ、これらの新製品がモバイル端末に向けたアプリケーションの開発、管理、運用に寄与するとした。

日本IBMのソフトウェア事業WebSphere事業部で事業部長を務める三戸篤氏

 Worklight V6.0には、(1)機能テストの自動化ツールや、(2)モバイル端末で稼働させるアプリケーションに関する情報の収集・分析機能、(3)位置情報を利用しやすくする機能などを新たに追加した。

 モバイル端末は機種が多様で、一般にアプリケーションソフトウェア自体の改変頻度も高い。そのためテストが開発時の負担になっているという。そこでWorklight V6.0には、テスト内容をスクリプトとして記述し、自動実行させる機能を追加した。テストの検証や、テスト時のスクリーンショットを撮る機能なども備える。ユーザーの操作を再現する「Tealeaf」と呼ぶ同社のツールとの連携も可能である。

 2つ目の情報の収集・分析機能は、アプリケーションのメンテナンス性向上やユーザー満足度向上に寄与するという。例えば、アプリケーションの利用者数や、ユーザーが利用しているモバイル端末のOSの種類などを調べられる。障害発生時には、モバイル端末上で稼働しているアプリケーションとサーバ側の両方の挙動を見て解析するなどが可能。

 最後の位置情報サービス機能は、新たに「Geo fence」と呼ぶ概念を導入して、特定の地域にユーザーが入場/退場したときに、決められた処理を実行できるようにするものである。例えば、ユーザーがショッピングモールに入ったらクーポンを自動的に発行したり、ホテルに入ったら自動的にチェックインしたりといった処理が可能となる。

 Geo fenceとは、ある指定した地点を中心とする特定の半径の領域で、あらかじめGeo fenceを指定しておけば、その地域に入場/退場したときにイベントが発生する。実際に実行する処理内容を、そのイベントハンドラに記述しておけば、所望の処理が可能となる。指定した地点からある程度離れているときには位置情報を取得する頻度を落としてバッテリ負荷を軽減し、近づいたら位置情報の更新頻度を上げて位置精度を向上させるといった処理も可能である。従来は、GPS情報を取得して現在位置の座標を求め、特定の地点との距離を計算したり、その距離の時間変化を見て特定の地点に近づいているのか離れているのかを判別したりする処理を独自に記述する必要があった。

 一方、Business Process Manager V8.5には、新たにモバイル端末用のユーザーインターフェイス作成機能を追加した。位置情報や地図など、モバイル端末特有の機能を利用したユーザーインターフェイスを、ビジネスプロセスに組み込める。

 MessageSightは、メッセージプロトコルに非同期型の「MQTT(MQ Telemetry Transport)」を採用した、モバイル端末とバックエンドサーバとのゲートウェイとなるアプライアンス製品。メッセージの送達確認機能や、大量の端末に対して一斉にメッセージを同報送信する機能などを備える。例えば、100万台の端末に対して、1秒間に10個以上のメッセージを送信できるという。これは、米ニューヨーク市のマンハッタンを走っているすべての車に対してメッセージを一斉送信できる性能だという。また、為替や株の取引など、正確かつ確実で即時性が必要な取引の信頼性を向上できるとしている。

 Worklight V6.0 Enterprise Editionの価格は1インストール当たり558万9150円で、提供開始日は2013年6月21日。Business Process Manager V8.5 Express Editionの価格は1プロセッサバリューユニット当たり6万5730円で、提供開始日は2013年6月14日。MessageSightの価格は2735万9850円で、提供開始日は2013年5月24日である。なお、プロセッサバリューユニットとは、プロセッサの種類に応じてIBMが定義している値で、実際のプロセッサバリューユニットは、1コア当たりのプロセッサバリューユニット×プロセッサ当たりのコア数×サーバ1台当たりのプロセッサ数×サーバ台数で計算される。

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