仮想化環境対応バックアップアプライアンス、シマンテックが発売国内シェア10%を目指す

シマンテックは、仮想化環境を導入する中小企業に向けたバックアップのアプライアンス製品「Symantec Backup Exec 3600」を発売すると発表した。物理サーバが3〜5台、仮想マシンが30〜50台程度の規模を想定する。

» 2013年09月04日 18時30分 公開
[山口哲弘,@IT]
シマンテックの代表取締役社長を務める河村浩明氏

 シマンテックは2013年9月4日、仮想化を導入する中小企業に向けたバックアップのアプライアンス製品「Symantec Backup Exec 3600」を、同年10月1日に販売開始すると発表した。バックアップ先のストレージ装置として容量が2TBのハードディスク装置(HDD)を4台内蔵し、あらかじめWindows Storage Server 2008 R2と同社のバックアップソフトウェア「Symantec Backup Exec 2012」をインストールしてある。簡単に短時間でバックアップの準備ができるという。物理サーバが3〜5台、仮想マシンが30〜50台程度の規模を想定する。最小構成で198万3200円(税別、他社製品からの乗り換え価格)である。

シマンテックのプロダクトマーケティングマネージャを務める長島理恵氏

 年平均11%の伸びが見込まれ、2016年には市場規模が5500億円に達するとの予測*1があるサーバ仮想化は、中小企業にも波及している。そこで問題になるのがバックアップだ。「バックアップには顕在化しない問題がある」とシマンテックの代表取締役社長を務める河村浩明氏は指摘する。中小企業では選任のシステム管理者を置いていないことが多く、バックアップシステムを導入していても、正しくバックアップが取れていないことがあるという。同社のプロダクトマーケティングマネージャを務める長島理恵氏は、特に仮想化環境のバックアップに、次の3つの課題を挙げた。(1)運用負荷の増大、(2)データ量の肥大に伴うバックアップ時間の増加、(3)バックアップシステム導入前の複雑な準備作業、である。

シマンテックでコマーシャル営業統括本部の常務執行役員を務める関屋剛氏

 これらのうち、運用負荷とバックアップ時間については、既存のBackup Exec 2012で対応してきたという。例えば、新たに仮想マシンが追加されると、それを自動的に検知してバックアップ対象に追加する「ダイナミックインクルージョン機能」や、仮想ハードディスク内に格納されているファイルが占める領域を認識して、バックアップ時のブロックを適切に分ける「V-Rayテクノロジー」などを備える。それぞれ、バックアップ漏れをなくしたり、実際にバックアップするデータ量を減らしてバックアップ時間を短縮したりする機能だ。

 ところが、バックアップ対象とするアプリケーションの種類や数、バックアップする方式といったバックアップ要件を確定し、その要件に基づいてバックアップソフトとそのオプションを選定するといった事前準備については、ソフトウェアだけではその負担を軽減することは難しい。さらに、バックアップシステムに必要なハードウェアの規模や、必要なソフトウェアのライセンスを選定し、検証した上でようやく本稼働に移れる。

 こうしたバックアップシステムを導入する前に必要な準備作業の軽減が、Backup Exec 3600発売の背景にある。バックアップソフトと、そのソフトを稼働させるメディアサーバ、バックアップ先のストレージ装置を1台にまとめ、さらにBackup Exec 2012に用意されているすべてのオプションエージェントも実装した。

 すでに同社は、バックアップアプライアンス製品の世界市場では、2013年第1四半期に15.1%のシェアを占めており、日本でも「短期間で10%のシェアを取りたい」(同社コマーシャル営業統括本部の常務執行役員を務める関屋剛氏)と意気込む。


*1 出典:ミック経済研究所「サーバ仮想化&オンプレミス型プライベートクラウドの市場展望2012」


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