“ビッグデータ成功企業”に特徴的な5つのプロセスとはDatabase Expertイベントレポート(2/2 ページ)

» 2013年09月20日 18時36分 公開
[齋藤公二@IT]
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方法論と道具のマトリクス

 続いて、スミス氏は、ビッグデータを活用するための考え方や方法論について、同社の製品群とともに紹介した。まず、考え方としては、これまでのデータ分析とビッグデータ分析では、次の図のような違いがあると主張した。

 例えば、課題を発見するうえで、従来は受動的な見方をしていたが、今後は「能動的な発見(アクティブディスカバリ)」が必要になるという。同じように、変化に対して「迅速に適応」していくことや、「ダイナミックな予測モデル」を使ってパターンを発見していくこと、「プライベートクラウドやパブリッククラウド」を活用することが必要になる。

 そのうえで、スミス氏は、IBMでは、これらを可能にするために、具体的なアナリティクスの機能を計15機能に分類して提供していると説明した。

 例えば、顧客の購買行動を予測し、パターンを抽出し、売り上げ向上を図るケースでは、「分析」「マイニング」「レポート」「スコアリング」「モデル化」「予測」「意思決定」といった7つの機能を組み合わせたソリューションを提供するという。また、市場に新製品を提供する際には、市場についての「調査」や、取引先との「コラボレーション」機能、新製品の影響の「可視化」機能などを追加して提供できるとする。

 「現代のビジネスでは、ソーシャルの分析や反応などを把握し、それを取引先と共有して可視化するといった、包括的な機能が求められるようになっている。それらを1つの基盤として構築し、そのうえで業務プロセスに組み込んでいくことで、初めて、ビッグデータをアナリティクスの視点で生かすことが可能になる」(同氏)

 また、ビジネスの視点からは、「迅速」「簡単」「スマート」の3点にフォーカスを当てることが大切だと主張した。「迅速」とは、パフォーマンスの良さだけでなく、展開や管理が速いこと、ビジネス価値に素早くつなげられること(Time to Value)などを指している。「簡単」とは、使いやすさ、視覚的であること、ガイド付きのナビゲーションがあること、ナラティブであることなど。「スマート」とは、インテリジェントであり、自動化、最適化が施され、領域特化型であることなどだ。

CognosとSPSSによる可視化機能と予測分析をデモ

 本稿で示した3つのフォーカスポイントについて、同社ではBI製品「Cognos」「SPSS」を活用して実現している。ここでは、そのデモを紹介しておこう。

 まず、Cognosについては、2012年10月に発表した可視化エンジン「Rapidly Adaptive Visualization Engine」(RAVE)を実装した「Cognos Active Reports(Cognosアクティブレポート)」のデモを行った。アクティブレポートは、Cognosのバージョン10.2.1から加わった新機能で、グラフやチャートをインタラクティブに操作できることが特徴の1つという。デモでは、登山用品店の年度別の売り上げを可視化して、スライダーで値やグラフを変化させたり、国や地域ごとの売り上げをさまざまなチャートを使って見やすく表示したりしてみせた。また、公開済みのギャラリーからチャートをダウンロードして利用したり、独自のカスタマイズを加えたりすることも可能という。

 もう1つのデモでは、「SPSS Analytic Catalyst」を使って、予測型の分析をどう行うかを示した。同製品はHadoopディストリビューション内のデータと連携し、データの中にどのようなパターンがあるかを抽出できる。

 デモでは、保険会社が顧客の解約率にどのようなパターンがあるかを発見しようとする場合に、関連するデータを読み込むだけで自動的に分析モデルを構築し、グラフやチャートを作成する様子を示した。

 読み込むデータを更新すれば、分析モデルも再構築され、グラフなども随時再描画される。このため、データ更新に合わせてリアルタイムでの予測が可能になるという。

 講演ではこのほか、電気自動車のバッテリー性能評価にCognos BIとSPSS Modelerを使っているホンダの事例をビデオで紹介したり、300万人の会員向けにクーポンを発行して解約をとどめているゲーム会社の事例などを紹介した。

 スミス氏は、「ビッグデータとアナリティクスは、顧客、財務、リスク、業務など、さまざまな業務領域に適用できる。ビジネス価値を高めるために分析をビジネスプロセスに組み込む準備を進めてほしい」と講演を締めくくった。

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