アドビのクラウドストレージ、Creative Cloudのファイル同期機能を先行プレビュー無料でCreative Cloudを使い倒せ(13)(2/2 ページ)

» 2013年09月27日 18時50分 公開
[岡本紳吾hatte.Inc]
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 Creative Cloudでは、共有中のファイルにコメントを残せる。例えば、プレビューに出したデザインについて、クライアントから修正指示をもらったり、共同作業者とのやりとりを記録として残しておける。ただし、本稿執筆時点では、ファイルの作成者以外がコメントを残そうとするとエラーが表示され、正しく反映されなかった。

コメントの投稿はシンプルなUIで提供されている
コメント自体はCreative Cloudのアカウントがなくても利用できる。ただし、投稿時に名前とメールアドレスを入力する必要がある

バージョンを管理する

 制作系の仕事では、しばしば「いついつのファイルに戻したい」「ファイルが壊れてしまったので復元したい」といった場面に出くわす。かつてはファイル名に日付を入れたり、日付ごとのディレクトリを作成してバージョン管理をしていたものだが、SVNなどのバージョン管理ツールが普及してきて、そのお世話になっている人もいるだろう。

 Creative Cloudは、わざわざSVNなどを導入することなく、アップロードしたファイルのバージョン管理が行われる。もちろん、高度なマージ機能などは備わっていない簡易的なものだが、少なくとも過去のある時点のファイルに戻すといったよくある場面には十分対応できる。

履歴は最新と最初のもの以外はまとめて表示されている。クリックすると展開される

 Creative Cloud Filesのディレクトリ配下にあるファイルは、更新されると自動的にCreative Cloudと同期され、ファイルが更新されると履歴が残るようになっている。過去のバージョンへ戻したい場合は、対象のバージョンを選択した上で、ロールバックボタンをクリックするだけだ。

復元も1クリックで行える

 バージョン管理に関連して気になるのは、ファイルの残量計算だ。というのも、例えば1MBのファイルを5世代のバージョンで保持している場合、単純にストレージは5MB消費されると考えられるためだ。その点、Creative Cloudはバージョン管理されている最新バージョンのみをサイズ計算に用いるので、1MBのファイルをどれだけバージョンを重ねてもアカウントで計算される容量は1MBのままだ。

 保存されるバージョンの数は何らかの上限が設定されるとAdobe MAXでは聞いていたが、筆者がテストしたところ、少なくとも15世代分は保持されていた。このバージョン管理機能は簡易的なものなのだが、少なくとも最初のバージョンと最新のバージョン、そして最新からさかのぼって幾つかの世代についてはバージョンが保持される。頻繁に更新されるファイルの場合、ひょっとしたらバージョン管理の範囲から漏れてしまう可能性も考えられる。

 そういった場合は、本格的なバージョン管理ツールの併用も視野に入れておくべきだろう。SVNやGitの採用が難しい場合は、切りのいいバージョンを複製しておくという方法も考えられる。

Creative Cloudは制作環境に特化した共有サービス

 筆者はコーディングやデザイン、写真や映像制作も行うため、さまざまなタイプの人とファイル共有を行う機会がある。これまでオンラインのファイル転送サービスはもちろん、DropboxやGoogle Drive、SVNやGitHubといったツールを日々活用している。そういった中、Creative Cloudの立ち位置はどうなのだろうと考えてみたところ、これはまさに制作環境に特化しているのではないかという結論に至った。

 何といってもインストールが簡便であること。Creative Cloudを利用していれば、1クリックで利用を開始できる。例えば、これまで何のファイル共有もしたことがない人でも、数ステップで制作物を他の人とシェアすることが可能になるのは、他に類を見ない。Creative Cloudと密接に連携しているからこそ、機能をシンプルにまとめ、使い方をすぐに覚えることができる。

 本稿執筆時点では、まだ完全とはいえない部分が残っているが、これも他のアプリケーションと同様に、制作環境のトレンドをうまく取り入れて進化を遂げるのだろうと考えている。例えば、コードのプレビューはできないが、画像関係のプレビューは行えるし、PSDファイルに至ってはレイヤーの表示/非表示を切り替えることも可能だ。このような工夫により、ファイルをダウンロードして、ソフトウェアを起動するという、デザインのチェックにありがちな手間を無くしてくれるはずだ。これまでファイル共有をあまり積極的に行ってこなかった人も、Creative Cloudを利用しているなら、ぜひこのファイル共有機能を試してみてほしい。

岡本紳吾(おかもとしんご)

1975年大阪生まれ。2000年ごろよりAdobe Flash(当時はmacromedia)を使ったコンテンツ制作を始め、Flash歴だけは異様に長い。自他共に認めるFlash大好きっ子。2008年より活動の拠点を東京に移し、2011年に独立。最近はAdobe Edge系を活用し、HTML5コンテンツも手掛ける。Webプロデュースと制作と山岳メディア運営の会社、hatte Inc.代表取締役。Twitter:@hage、Facebook:shingo.okamoto


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