連載
» 2013年10月07日 00時00分 公開

わたしが転職活動を勧める理由エージェント徹底活用法(0)

「すべてのエンジニアに転職活動をしてもらいたい」。2度の転職を経てエンジニアからキャリアチェンジした筆者が考える、転職活動の効果とは

[リーベル 田中祐介,@IT]

 はじめまして、田中祐介と申します。明日より、私の@ITでの初めての連載「エージェント徹底活用法」が始まります。連載開始に当たって、今日は、私がなぜこの記事を書こうと思ったのかをお伝えします。

エージェントに振り回されない転職活動をするために

 IT業界は他業界と比べて転職が多い業界です。理由としては、スキルのポータビリティーが比較的高いこと、その半面、会社ごとの役割分担が大体決まっており、転職しないとキャリアアップできないケースが多いことなどが挙げられます。

 しかし、これだけ転職が身近になっているにもかかわらず、「いざ転職!」となると困ることがあります。それは、何から始めて、何をどう進めて良いかが分からないことです。情報は意外に少なく、転職サイトを見ても「まずは相談」と書かれていることがほとんどです。

 私も2度の転職を経験しています。特に初回は右も左も分からず、周りに相談するわけにもいかず、手探りで転職活動を行いました。最終的には希望を満たす会社に転職できたのですが、当時はエージェントに勧められるまま活動を進めてしまい、いま思えば無駄なこともたくさんありました。

 2度目の転職では、前回の反省を生かして慎重にエージェントを選択し、応募企業の選択やスケジュール管理などを自分でコントロールした結果、負荷なく、確実に、そして最も納得できる企業(現職:エージェントのキャリアコンサルタント)に転職できました。

 2回の転職経験と現職で得たノウハウを、初めての転職のときに知っていたら、もっと負荷なく転職活動を進められたでしょうし、もっと良い選択ができたのかもしれません。昔の私に伝えるつもりで、私が得たノウハウ、特にエージェントとの付き合い方について伝えよう、そう考えて本連載を始めることにしたのです。

転職が私の人生に活路を与えた

 本題に入る前に私のことを書いておきます。

 私は初めから人材業界に就職した者ではありません。もともとはIT業界のエンジニアでした。

 大学院を修了後に、社会をIT面で支えたいと考えて独立系SIerに就職し、Javaエンジニアになりました。そこで要件定義から保守まで一通り経験した後、企業の真のパートナーになりたいと考えてコンサルティング企業に転職し、システム基盤の構想策定や組織・業務標準化、最新動向調査、提案活動、PMOなどのITコンサルティングを経験しました。その後、個人の真のパートナーとなる仕事をしたいと思い、キャリアチェンジして転職エージェントに転職しました。

 転職すべきかどうかは賛否両論ありますが、自分が転職によって人生を切り開いてきたので、私は基本的には賛成です。「仕事というものは、どこに行っても同じだ」という方もいますが、私はそうは思いません。環境が変われば人も考え方も変わるし、環境に合う合わないで人の成長速度は変わります。ひまわりを日陰で育てると元気に育ちませんし、観葉植物を直接太陽に当てると枯れてしまいます。人も同様で、適した環境でこそ生き生きとするものです。

 「環境のせいにするのは弱いやつだ」とか「できないやつはどこに行ってもできない」などの言葉を口にする方がまだまだいます。ある面ではそれも真実ですが、全てではありません。

 世の中には個人の力ではどうしようもないことがあります。というよりむしろ、どうにもならないことの方が現実には多いのではないでしょうか。もちろん、努力もせずに逃げるだけでは往々にして良い結果をもたらしません。しかし、目いっぱい努力をして、それでも刀折れ矢尽きた場合には、違う方法で活路を求めるべきだと私は思います。

 私は2度の転職をして、現職にたどり着きました。努力が報われないことも、苦悩の日々を過ごしたこともありましたが、ようやく自分に合った環境で働けるようになりました。そして、この仕事を通じて、環境を変えたことで生き生きと働くようになった人たちをたくさん見てきました。そのため、人は自分に合った環境でこそ生かされるのだという思いをますます強くしています。

 今の環境で閉塞感を感じている方に、もっと違った世界があることを知ってもらい、そこで生き生きと仕事をしてほしいと強く願っています。そして、その実現のために、キャリアコンサルタントとして日々奮闘しているのです。

転職“活動”をしてください

 本稿のタイトルを見て「俺は転職しないから関係ないな」と思う方も少なくないでしょう。しかし、ここであえて私は言い切ります。「全てのITエンジニアは転職活動をしてください!」と。

 「転職」ではなく、「転職“活動”」というのがミソです。

 転職活動をしたからといって必ず転職しなければいけないわけではありませんし、総合的にメリットがなければ転職すべきではありません。それでも私が転職活動を推奨する理由は、転職活動をすれば、自分と世間の流れを客観視し、自分が何をすべきかが認識できるからです。

 すべきことが分かれば、転職するしないにかかわらず、正しい方向へ努力できるようになります。正しい方向とは、所属している会社でしか通用しない人となるのではなく、世の中に広く求められる人になること、つまりは市場価値の高い人材に近づくことです。

 就職活動時から「市場価値を身に付けよ」と耳が痛いほど言われてきた皆さんにとって、市場価値は聞き飽きた言葉かもしれません。しかし私は、誰もが市場価値を考るべき時代に入ったと実感しています。

 「全てのITエンジニアは転職活動をすべき」という言葉には、「全てのITエンジニアに充実した人生を送っていただきたい」という想いを込めています。転職を考えている方は無論のこと、まだすぐには転職を考えていない方も、ご自身の今後のために、転職という選択肢を一度深く考えてみてください。

 皆さんが、ITエンジニアとしてよりよい人生を歩むために、本連載が皆さんのお役に立てることを願っています。よろしくお願いいたします。

筆者プロフィール 田中祐介

田中祐介

東京大学大学院を修了後、中堅SIerを経てアビームコンサルティングに入社し、IT企画や構想策定から開発、保守・運用まで、IT領域全般に携わる。現職のリーベルには「一人一人のパートナー」になりたいという想いを実現するために転職。リーダーや採用担当として培った"長所を発見する力"と、SIer・コンサルティングファームの両方の現場感覚を知る強みを生かし、個人と企業がWin-Winとなるマッチングを目指す。



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