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» 2013年11月01日 00時00分 公開

IT業界 転職市場最前線(54):骨を埋める覚悟で――最終地を求める30代後半

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

[ワークポート,@IT]

2013年9月のIT業界転職市場まとめ

 求人数が順調に増加しており、募集枠も増えた。セミナー開催や選考会への参加などを通じて転職希望者に積極的にアピールしようという企業の動きも目立ち、市場は非常に活発な状態にある。転職希望者は第二新卒や未経験者の動きが顕著。一方で「これが最後の転職」と覚悟して求人に挑む30代後半の経験者も多く、企業も積極採用している。


Webエンジニア

 採用計画の締めが近づき、遅れが出ている企業から人材獲得を急ぎたいとの希望を多く聞いた。選考もスピーディで、面接1回で内定が出る企業や、面接回数は2〜3回でも結果が1日で出る企業が目立った。

第二新卒・QAエンジニアニーズが増加

  第二新卒をターゲットにした求人、およびQA(Quality Assurance:品質評価)エンジニアの求人が増加した。特に前者は業務系Web系問わず増加しており、時間とコストをかけてイメージ通りの人材を獲得するよりは、ポテンシャル層を採用してから育てようとする傾向が顕著だ。

転職希望者は20〜30代前半が多い

  転職希望者は20代後半〜30代前半が増えた印象だ。直接取引で安定して案件が入ってくる安定企業、またはWeb系で新しいサービスを提供していく企業の2種類に人気が集中している。

Webディレクター

 新規求人数は前月と同水準で推移したが、即戦力を求める企業が多く、未経験枠の求人は減少が続いている。企業のニーズは20代後半から30代前半の若手に集中している印象だ。

キャリアの締めくくりとなる企業を探す30代後半

 「これを最後の転職にしたい」と考える30代後半が目立った。企業側もこうした経験豊富な即戦力を求めているため、面接の日程調整がスムーズに進んでいた。1次面接の感触次第ではその場で最終面接が行われるというパターンも散見された。

来月以降、市場はより活発に

  2013年も後半になり、「今年中に次の仕事を探したい」方の活動が活発化している。これに伴い、退職者の補充を目的とした求人が次第に増加するだろう。加えて景気回復に伴って人員増を計画する企業も多く、雇用の拡大に期待できそうだ。


インフラエンジニア

 SIer(システムインテグレータ)やNIer(ネットワークインテグレータ)の求人はほぼ横ばいだが、社内SEの求人数は微増で、月10件ぐらいの新規求人が入っている。背景として、企業の業績好調や2013年度下期の人員体制強化が挙げられるだろう。

未経験からの転職や、下流から上流への挑戦が目立つ

  未経験からインフラエンジニアを目指す方、また、下流工程の実務経験があり上流工程へ進みたい方の転職活動が活発化している。ベンダー資格などを所有していると評価されやすいが、ない場合は具体的な業務内容のイメージや自身のキャリアプランを持っていることが大切だ。

求人数の増加に比べ、穏やかな転職希望者の動き

  競争倍率が低く売り手市場でチャンスが拡大しているからか、求人数の増加に対して、転職希望者の動きは穏やかな印象だ。クラウドや仮想化といった新しい技術の台頭もあって求められるスキルが多様化しているため、日ごろより新しい技術の習得、情報収集に努めたいところだ。


デザイナー

 新規求人数は前月に続き増加傾向にあり、「急募」の求人も多い。採用意欲の高い企業が多く、市場は活発だ。

ポテンシャル層の採用は、前月同様活発に

  若手ポテンシャル採用を積極的に行う企業が、前月に引き続いて増加している。実務経験が無くても、学校や職業訓練、独学などで基礎を身に付けており、ポートフォリオの提出ができる方にはチャンスがあるだろう。

面接回数の違い

  ゲーム系企業やWeb制作系企業は、面接1〜2回ぐらいで内定を出すことが多いが、自社でWebサービスを運営する企業では3回以上の面接が主流のようだ。若手層に対しては、面接に加えて課題を与えたり実技試験を実施する企業が少しずつ増加している


ゲーム関連職種

 新規求人数は前月に比べ88%と微減したが、前月から募集を継続しているものが多いため、懸念材料にはならないだろう。企業は活発な採用を行っており、特にエンジニア職は求人が豊富で転職活動には最適な時期だ。

エンジニアのニーズ高し

 企業の採用ニーズが高かったのはエンジニアだ。ネイティブアプリに移行する企業の増加に従い、Objective-CやC++を使えるエンジニアが多くの企業で求められている。来月以降もこの傾向は続くだろう。他の注目職種としては、じわじわと増加しつつあるゲームサポート職が挙げられる。

3DCGデザイナー志望の転職希望者が目立つ

 前月求人が増加したことを背景に、3DCGデザイナーを志望する転職希望者が目立った。ひとつの職種の求人が増加してから実際に転職希望者が動き始めるまでは間があるため、紹介会社を利用して情報を先取りするのもライバルに先んじるための1つの手だ。


営業

 営業職の面接回数は2〜3回が主流で、他職種に比べて多めである。スキルと人間性の見極めのためだと考えられるが、最終面接から内定までの期間を短くするなど、選考をスムーズに進めるための工夫も進められている。

インターネット広告業界が好調

 インターネット関連の営業職は好調を維持しており、9月は特にインターネット広告業界の営業職の求人が多く見られた。中でもスマートフォン広告に関する求人が多く、新規Webサービス立ち上げに伴う求人が相次いだ。

インターネット広告業界出身者に好機

 インターネット広告業界出身者が即戦力として転職する例が増加している。最も多いのは、PCやモバイル広告出身の人が、スマートフォンを展開する企業へ転職するというケースだ。スマートフォン広告の経験者はいまだに少なく、これまでの経験を生かして転職したい方には好機といえるだろう。


バックオフィス

 IT・インターネット業界全体の採用意欲が高まるとともに、バックオフィス系職種の採用も活発化し、前月比およそ5〜10%の割合で求人が増加した。Webマーケティング職を中心に、今後も安定したニーズが見込めるだろう。

マーケティング職が好調

 Webマーケティング系のSEO・SEM(リスティング)・アフィリエイト周りを中心に、マーケティング職が好調だ。企業の広告出稿増に伴って、ネット広告やSEO営業人材を獲得した企業が、その後の運用担当を求めているからだ。

ポテンシャル層、業界未経験者多し

 ポテンシャル層や業界未経験層の転職希望者が増加している。9月は特に事務やアシスタント、広告運用管理職希望者が多く、専門知識よりも数字に対する強み、秀でたExcelスキルなどを買われて書類選考を通過するケースが多々見られた。経理職でも、業界外からの入社決定者が目立つ。

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