日本発世界へ、セキュリティカンファレンス「CODE BLUE」始動へセキュリティ専門家の情報交流の場を

CODE BLUE事務局は2013年11月5日、情報セキュリティに特化した日本発の国際会議「CODE BLUE」を、2014年2月17日、18日の2日間に渡って東京・お茶の水ソラシティで開催する。

» 2013年11月06日 21時35分 公開
[高橋睦美,@IT]

 CODE BLUE事務局は2013年11月5日、情報セキュリティに特化した日本発の国際会議「CODE BLUE」を、2014年2月17日、18日の2日間に渡って東京・お茶の水ソラシティで開催することを発表した。「自分が所属する会社の名前を出して真剣に発表し、セキュリティについて語り合う場」(CODE BLUE事務局 篠田佳奈氏)を作り、日本のセキュリティ研究成果を世界に向けて発信していくという。

 CODE BLUEは、セキュリティ技術者や専門家の交流と情報交換、教育の場を提供する国際会議だ。2日間に渡ってカンファレンス形式の講演を行い、最新の攻撃や防御技術に関するトレンドの共有を図るほか、国籍を超えた交流の場を提供する。同時にこうした機会を、セキュリティ技術者のリクルートの場や国際的コミュニティの形成にもつなげていく。セキュリティ人材不足が叫ばれる今、理にかなったタイミングでの開催だという。

 国内ではこれまでにも、11月に開催される「PacSec」のほか、Black Hat JapanやRSA Conference Japanといった、ベンダ中立の国際セキュリティカンファレンスが開催されてきたが、その大半が「海外発」。これに対しCODE BLUEは「日本発」にこだわり、国内のセキュリティ研究成果を国際社会に発信していくことを目指す。

 11月6日に開催された記者向け説明会において、CODE BLUE事務局の篠田佳奈氏は、「海外のセキュリティコミュニティと話をすると、『どうしてあれほど新しい製品、新しい技術を生み出せるのか』と、日本に対する期待は非常に高く、セキュリティに関して出てきていないのが不思議なほどだ。CODE BLUEを通してそうした技術が出てくるとうれしい」と述べた。

左から、CODE BLUEの論文査読に当たるレビューボードの新井悠氏(トレンドマイクロ)、鵜飼裕司氏(FFRI)、事務局の篠田佳奈氏、レビューボードの竹迫良範氏(SECCON実行委員長)、はせがわようすけ氏(ネットエージェント)

国内に眠る優れた研究を世界に

 基調講演のスピーカーには、Black HatおよびDEFCON創立者で、米国国土安全保障アドバイザリーボードのジェフ・モス氏と、米海軍大学校上級講師として多くのセキュリティ人材を育成してきたクリス・イーグル氏が予定されている。そのほかに8つの講演枠を用意し、11月8日から論文募集(CFP)を開始する予定だ。講演枠は60分で、募集に当たって特に資格は問わない。同時通訳が付くため、言語の壁に尻込みすることなく、ぜひ募集してほしいとしている(応募の詳細はCODE BLUEのWebサイトで公開している)。

 論文査読に当たるレビューボードの新井悠氏(トレンドマイクロ)は、「国内で開催されているITセキュリティ勉強会で講演し、その地方の技術者の話を聞くと、中には非常にレベルの高いものがある。言語の壁などで尻込みしていたそうした日本人が、国際的に発表する場となってほしい」とCODE BLUEへの期待を語った。

 同じくレビューボードのはせがわようすけ氏(ネットエージェント)も、「日本はセキュリティが遅れているといわれるが、ポイントで見ると優れている人はたくさんいる。そうした人が日本語で書いたブログを、機械翻訳を使ってまで読みに来る人がいるほどだ。そうした人を世界に向けてアピールする場となってほしい」と述べた。

 Black Hat Japanでの発表を機に、世界のセキュリティコミュニティとつながるという経験を持ったはせがわ氏は、「世界からフィードバックを得ることで、技術はさらに伸びる」とも述べている。

 鵜飼裕司氏(FFRI)は、CODE BLUEの継続的な実施を通じて、日本のセキュリティの実力をグローバルで見てもトップの水準に持っていき、ひいては「情報セキュリティエンジニアを、学生のあこがれの職業ナンバーワンにしたい」と述べた。特に、圧倒的に足りないといわれるハイエンドのセキュリティ人材が増えるきっかけにしたいといい、そのためにも、内外から「面白い」と思われる中身作りに力を注ぎたいという。

 竹迫良範氏(SECCON実行委員長)によると、SECCONをはじめとするCTF大会やセキュリティキャンプが主に若年層の発掘を狙ったものであるのに対し、CODE BLUEは情報セキュリティ専門家の情報交換や交流を目的にしており、それぞれ立ち位置が異なる。しかし、CODE BLUEで講演することがある種のステイタスとなり、セキュリティキャンプ参加者らの「目標」となるようなサイクルができれば、セキュリティ業界全体の底上げにもなる。ゆくゆくは、「(ケビン・ミトニック氏の逮捕に協力した)シモムラ・ツトム氏を超える知名度を持つ日本人のハッカーが生まれてほしい」(竹迫氏)。

 CODE BLUEの参加費は、通常価格で3万5000円(2014年1月5日までは早期登録となり3万円)で、定員は200名(ただし登録が多い場合は、会場を拡張する)。CFPともども11月8日から申し込みを受け付ける。

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