第6回 データを取得して表示する連載:Windowsストア・アプリ開発入門(3/5 ページ)

» 2013年11月18日 12時22分 公開
[山本康彦(http://www.bluewatersoft.jp/),BluewaterSoft]

ロジックを手動でテストする

 書き上げたロジックを早くUIに接続したいだろうが、まずロジックだけを堅実にテストした方がよい。いろいろなやり方があるだろうが、手っ取り早くテスト用のコードを一時的に挿入してデバッグ実行してみよう。

 App.xaml.csファイルのOnLaunchedメソッドの冒頭に、次のようなテスト・コードを記述する。

protected override async void OnLaunched(LaunchActivatedEventArgs e)
{
#if DEBUG && MANUAL_TEST
  Windows.Web.Syndication.SyndicationFeed feed; // テスト[1]で取得し、テスト[2]で使用する

  // [1]FeedDownloder.GetFeedAsync
  {
    Uri insiderDotNet = new Uri("http://rss.rssad.jp/rss/itmatmarkit/fdotnet/rss.xml");
    feed = await AtmarkItReader.Logic.FeedDownloder.GetFeedAsync(insiderDotNet);
  } // ←この行にブレークポイントを置いてデバッグ実行し、feedオブジェクトの内容を確認する
  // 上のテストで、フィードのURLを存在しないものに変えて、スペックどおりの例外が出ることも確認する

  // [2]FeedProcessor.Add
  {
    var fd = new AtmarkItReader.DataModel.FeedsData();
    AtmarkItReader.DataModel.FeedsData result
       = AtmarkItReader.Logic.FeedProcessor.Add(feed, fd);
  } // ←この行にブレークポイントを置いてデバッグ実行し、fdオブジェクトの内容を確認する

  // [3]DataLoader.LoadAsync
  // LoadStartメソッドは、その非同期処理の完了タイミングが分からない
  // 代わりに、awaitできるLoadAsyncメソッドをテストする
  {
    var fd = new AtmarkItReader.DataModel.FeedsData();
    var fiiledFeedsData = await AtmarkItReader.Logic.DataLoader.LoadAsync(fd);
  } // ←この行にブレークポイントを置いてデバッグ実行し、fiiledFeedsDataオブジェクトの内容を確認する

  return;
#endif

……省略……

OnLaunchedメソッドの冒頭に一時的なテスト・コードを挿入する(C#)

 上で追加したコードは、エディタ上で灰色に表示されているはずだ。ビルドしても出力されず、従ってデバッグ実行してもこのコードは実行されない。

 上で追加したコードを実行できるようにするには、プロジェクトのプロパティ(ソリューション・エクスプローラでプロジェクトを右クリックして[プロパティ]を選択)で、[ビルド]タブの[条件付きコンパイル シンボル]に「MANUAL_TEST」を追加する。デフォルトでは「NETFX_CORE」となっているはずなので、その後ろにカンマで区切って「NETFX_CORE,MANUAL_TEST」とする。これで、上で追加したコードの部分が通常の色で表示され、デバッグ時に実行されるようになる。

 テストするには、コード中にコメントしたように3カ所にブレークポイントを置いてからデバッグ実行を開始し、それぞれの場所で変数の内容を確認する(次の画像)。

デバッグ実行で最初のテストの結果を確認しているところ デバッグ実行で最初のテストの結果を確認しているところ

 また、テスト[1]のURLを存在しないものに書き換えたり、ネットワークが切断されている状態でデバッグ実行したりして、スペックどおりの例外(=HttpRequestException)が発生することも確かめる(次の画像)。

存在しないURLに書き換えて最初のテストをデバッグ実行し、想定どおりの例外が出たところ 存在しないURLに書き換えて最初のテストをデバッグ実行し、想定どおりの例外が出たところ

 テストが終わったら、[条件付きコンパイル シンボル]を元に戻しておく。

ダミー・データを正式なロジックに置き換える

 ロジックもちゃんと動くようになった。前回まで作り込んできた画面もある。さあ、双方を結び付けよう。

 現在、メイン画面と記事表示画面に表示されるデータはダミー・データだ。それは、App.xaml.csファイルのOnLaunchedメソッドの中で次のコードのようにして読み込んでいる。

// 【第5回】ダミー・データをJSONファイルから取り込んでfeedsDataSourceにセットする
App.Current.Resources["feedsDataSource"]
  = AtmarkItReader.DataModel.FeedsDataSample.Data; // ダミー・データ

ダミー・データを読み込んでいる箇所(C#)

 この部分を、正式なロジックを呼び出すように変更すればよい。FeedsDataクラスのインスタンスがアプリケーション・リソースとして定義されているので、それをロジックに渡してRSSフィードのデータを詰め込んでもらう(次のコード)。

//// 【第5回】ダミー・データをJSONファイルから取り込んでfeedsDataSourceにセットする
//App.Current.Resources["feedsDataSource"]
//  = AtmarkItReader.DataModel.FeedsDataSample.Data; // ダミー・データ
//  ↓
// 【第6回】正式なロジックに置き換える
var feedsData = App.Current.Resources["feedsDataSource"] as DataModel.FeedsData;
Logic.DataLoader.LoadStart(feedsData);

正式なロジックの呼び出しに置き換える(C#)

 これで、Webサービスから取得してきたRSSフィードのデータが表示されるようになったはずだ。メイン画面(次の画像)と記事表示画面の完成である。

フィード・データの取得機能が完成したメイン画面 フィード・データの取得機能が完成したメイン画面

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