連載
» 2013年11月18日 00時00分 公開

ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(5):自分の性格や思考の癖を把握しよう (1/3)

多様な価値観のメンバーを率いるためには、まずリーダーが自分の性格や思考の癖を把握するとよいだろう。己を知ることによって、異なる価値観の集合体をまとめられるようになるからだ

[上村有子,エディフィストラーニング]

※この連載は、『ITエンジニアのためのチームリーダーシップ実践講座』(上村有子著)の第1章〜第3章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。

 周囲に与える精神的な分かりやすさ、すなわち「信念」を明確にするには、自分の価値観をしっかり認識しておく必要がある。価値観を認識することで、メンバーとの意見の対立の理由が見えてくることもある。性格や思考の癖と併せて自分の価値観を再点検し、周囲に示すべき姿を確認しておこう。

価値観は人それぞれ

 リーダーは、チームの代表者として、しばしば意思決定をする機会に見舞われます。判断の基準となるのは、通常、組織の規則や慣習、自分の経験ですが、ここぞというときによりどころとなるのは、自分の価値観です。

 価値観をかみ砕いて表すと、「何を大切にするか?」あるいは「何にこだわるか?」と言えます。例えば、仕事とプライベートのどちらを大切にするか? 仕事において、丁寧さと迅速さのどちらを大切にするか? などが挙げられます。価値観は、子どものころから成長の過程で少しずつ身に付けてきたものなので、通常すぐに変えることは困難です。

価値観の衝突をどう乗り越える?

 「仕事が1番」「プライベートが大切」「丁寧さにこだわりたい」「迅速なことが重要」…… リーダーとメンバーの価値観が食い違って、チームの運営がうまくいかなくなってしまった場合、どうしたらよいでしょうか?

 リーダーが、メンバーに自分の価値観を押し付けようとしても、メンバーが素直に聞き入れるはずはありません。メンバーにとっても、価値観は「大切にするもの」「自分のこだわり」なので、それが踏みにじられるようなやり方を素直に受け入れられないのは当然のことです。逆に、リーダーが自分の価値観を曲げて、メンバーの価値観を受け入れた場合、その場はしのげても、先々またどこかで同じような衝突が繰り返されるに違いありません。

 こんなときはどうするか? 結論からいうと、お互いの価値観の違いは、そのままにしておくべきです。どちらかの価値観を変えるのではなく、価値観の違いを認め合った上で、その場その場で双方折り合いが付くように考えや行動を若干調整する、と考えるとよいでしょう。

 人は、価値観まで変えなくても、その場の状況に応じて、考え方や行動を柔軟に変えることができます。例えば「自分はプライベートを大切にする」という価値観を持っていたとしても、現実に「自分の担当したシステムに重大な不具合が発生し、緊急に対処しないと会社の社会的信用が下がってしまう」という事態に直面すれば、やはり休日でも出勤して対処すべきと考えるものです。また、実際に「今回に限り」と割り切って、休日出勤という「行動」を起こすものです。

「価値観」は変えにくが、「行動」は変えやすい

 リーダーとメンバーの意見が対立して価値観の部分で行き詰まっていると感じたら、いったん視点を高い位置に戻してください。三角形の図の底辺の部分で綱引きをしていても、らちが明きません。思考や行動のように、頂点の部分に近いものほど変えやすいという性質を持っています。まず相手の価値観を認めた上で、お互い今は特別な対処が必要だという認識に立ち、チームの目的に照らして、考え方(物の見方)や行動を一時的に変えるという方向で話を進めるとよいでしょう。

自分の価値観、性格、思考の癖を棚卸しする

 相手の価値観、性格、思考、行動と自分のそれがぶつかるか否か、事前に予測ができると、より対処しやすくなります。相手のことを知るのもさることながら、自分の価値観、性格、思考、行動を認識することも大切です。「自分にとって大切なものは何だろう?」「こだわりは何だろう?」と、自分の棚卸しを時々してみることをお勧めします。

 人生において、仕事において、食べることにおいて、人との付き合いにおいて、家族との関わりにおいて、それぞれに価値観があるはずです。

性格を診断する

 性格はどうでしょうか? 「三つ子の魂百まで」のことわざ通り、性格はなかなか変えられるものではありませんが、自分の性格を把握しておくと、好機に強みをアピールしたり、危機の状況で弱点をさらけ出さなくても済むかもしれません。変えにくいとはいえ、意識すれば、好ましいと思うものに変えることも可能です。

思考の癖を診断する

 思考はどうでしょうか? 思考する場所、つまり脳は、球体すべてを満遍なく使っているように見えて、実は人によってかなり使用場所とその頻度に差があると言われています。これを「思考の癖」と呼びます。せっかく大きな脳を持ちながら一部しか使っていないというのは、もったいない話です。バランスよく使うことを意識してみると、違った思考、違った世界が見えてくるものです。

 いろいろなメンバーに対して臨機応変に対処するには、リーダー自身が、自分の性格や思考の癖を知っておくと心強いのではないでしょうか? そこで今回は、自分の性格と思考の癖について、ツールを使って自己診断してみましょう。

 性格を診断するツールとしては、「MBTI」が一般的です。これは、就職時の適正・適職検査でも広く用いられます。思考の癖を診断するツール「HBDI(ハーマンモデル)」は、組織活性化や人材育成のツールとして活用されています。

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