EMCジャパンのオールフラッシュストレージ、アクセス性能と容量効率を高めるアクセス性能は最高100万IOPS

EMCジャパンは、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」の出荷を開始すると発表した。最大100万IOPSのアクセス性能や、重複排除機能、容量効率の高いデータ保護方式などが特徴である。

» 2013年11月21日 15時12分 公開
[山口哲弘,@IT]

 EMCジャパンは2013年11月21日、スケールアウト方式で容量とアクセス性能を拡張できるストレージ装置「EMC XtremIO」の出荷を開始すると発表した。全てのストレージ容量をSSD(Solid State Disk)で構成する、いわゆるオールフラッシュストレージである。最大100万IOPSのアクセス性能や、重複排除機能、容量効率の高いデータ保護方式などが特徴だ。同製品は同年3月に、年内の発売が予告されていた(関連記事)。

 「XtremIO X-Brick」と呼ぶストレージの構成単位を用いて、1つのストレージクラスタを1台から4台のX-Brickで構成する。1台のX-Brick当たり2台のコントローラを備えている。各コントローラは256Gバイトのメモリと2基のファイバーチャネルポート(伝送速度8Gbps)、2基のiSCSIポート(10ギガビットイーサネット)、2基のInfiniBandポート(伝送速度40Gbps)を装備し、両コントローラが同時に稼働するアクティブ−アクティブ構成を採る。2つのコントローラはInfiniBandで接続されており、X-Brick同士もInfiniBandでつなぐ。1台のX-Brickは記憶容量が400GバイトのSSDを25台内蔵し、合計物理記憶容量は10Tバイト。1クラスタ当たりの最大物理記憶容量は40Tバイトである。

 同機種向けに独自開発したデータ保護方式「XtremIO Data Protection(XDP)」は、既存の各種RAID方式の特徴を組み合わせてSSDに最適化したものだという。従来のRAID方式に比べて、無駄となる記憶容量(オーバーヘッド)が少なく、ハードディスク装置(HDD)と異なり書き換え可能回数が限られているフラッシュメモリの寿命を延ばすとしている。同社によると容量のオーバーヘッドは、RAID1(ミラーリング)が50%、RAID5が25%、RAID6が20%、RAID5とRAID6の組み合わせが30%なのに対して、XDPは8%。フォーマット後の記憶容量は、XDPが利用する領域に加えてSSDに障害が発生したときの代替領域「ホットスペース」を確保するため、1台のX-Brick当たり7.5Tバイトになる。ただし、上記ホットスペースを確保しているので、従来のRAID構成ストレージ装置に必要だったホットスペア(待機ドライブ)を不要とした。25台のSSDのうち6台までの故障を許容する。

 4Kバイトのブロック単位で重複排除する。同一内容のデータがあれば、SSD上のそのデータの位置を、コントローラのメモリ内に確保したメタデータ領域にのみ書き込み、フラッシュメモリにはデータ本体を書き込まない。これによって、物理記憶容量を超えたデータ量を格納できるようにするほか、アクセス性能の向上やフラッシュメモリの寿命延長を図る。

 さらに、SSDに書き込むデータ本体も4Kバイトブロックの単位で管理する。これによって、ガベージコレクションを不要とし、アクセス性能が低下することを防ぐという。一般にフラッシュメモリにデータを書き込むには連続した領域が必要で、書き込もうとするデータ量分の連続領域を確保するために、すでに書かれているフラッシュメモリ上のデータの位置をずらす処理が必要になる。これが、フラッシュストレージでのガベージコレクションである。

 早期導入ユーザーによると、1万台の仮想マシンを運用するのに従来8ラック分のストレージ装置が必要だったのが、XtremIOではラック半分で済んだという。また、容量が40Gバイトの仮想デスクトップイメージを展開するのに掛かる時間は、従来のストレージ装置では8分だったのに対して、XtremIOでは17秒で済んだという。

 価格は、3726万2500円(税別)〜。2014年第1四半期には、記憶容量が800GバイトのSSDを採用したモデル(X-Brick1台当たり20Tバイト)も提供する予定である。

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