どうしたら“とことんシンプルなバックアップ”ができるのか?米CA Technologies クレスト氏に聞く

複雑化した仮想化環境下でのバックアップ構築に悩む管理者は多い。どのようにしたら、シンプルで有用なバックアップ体制が築けるのか。米CA Technologiesのクレスト氏に聞いた。

» 2013年11月27日 14時52分 公開
[大津心,@IT]

 仮想化やクラウド環境が普及し、複雑化した環境下での運用に悩む管理者は多い。@ITが10月に実施した読者調査でも、「サーバ仮想化導入後の課題は?」という質問に対して、1位が「障害時の問題の切り分けや特定」、2番目に多い課題が「仮想化環境におけるバックアップ」だった。

 このように多くの管理者が仮想化環境における障害やバックアップ対応に悩む中、シンプルなバックアップにこだわって開発しているのが、「ARCserve Backup」でバックアップツール市場シェア1位を獲得している米CA Technologies(以下、CA)だ。今回は、米CA Technologies データマネジメント事業部 ジェネラル・マネージャ マイク・クレスト(Michael Crest)氏に、日本のバックアップ市場の動向や同社の今後の方向性について聞いた。

管理者のバックアップ作業をもっとシンプルに!

クレスト氏写真 米CA Technologies データマネジメント事業部 ジェネラル・マネージャ マイク・クレスト氏

 筆者がクレスト氏に2年前にインタビューした際、同氏はデータ管理で重要な点として「リスク」「コスト」「時間」の3つを挙げた。そして「バックアップ市場は、クラウドや仮想化への移行が加速している」と指摘していた。

 その後2年間で、仮想化やクラウドの導入はさらに加速しており、前述のように管理者の多くが複雑化に悩む状況となっている。それを受けて同氏は、「管理者の作業や管理範囲は拡大の一途をたどっている。それをいかにシンプル化するかが大きな課題だ」との問題意識を示した。

 「例えば、当社が行った調査によると、仮想化技術は中堅企業で最も積極的に導入されており効果を上げているが、その一方でますます管理が複雑化し管理工数が増大している。そして、それに伴ってデータ保護の方法も複雑化しており、多い企業では4〜8種類の異なるソリューションを使い分けて利用しているほどだ。この状況を改善することが非常に重要だ」(クレスト氏)

“シンプルかつ選択肢のあるバックアップ”で中堅にアプローチ

 このようにクレスト氏が強調する「バックアップのシンプル化」を推進するのが、同社が新たに謳うビジョン「Unified Data Protection(以下、UDP)」だ。UDPのコンセプトは、「バックアップの“簡単さ”を突き詰めつつ、ユーザーに選択肢も用意する」という発想だ。

 「仮想環境下での利用を前提に、完全なデータ保護を目指した設計となっている点もポイントだ」とクレスト氏は言う。この点を具体的に説明すると、現在の企業システムでは仮想環境や物理環境、クラウドやオンプレミスなどが混在したシステムが一般的だ。UDPでは、こういった実情に合わせて混在環境を前提に設計されており、それらを単一の統合プラットフォーム上でイメージバックアップやレプリケーションなど、複数のアプリケーションUIを統合するイメージとなっている。

 クレスト氏は、「機能統合やシンプルなソリューションを提供することで、管理者の工数を削減し、負荷を大きく軽減したい。また、多くの管理者が頭を痛めている“仮想環境下におけるバックアップ”の問題も解決する。一方で、シンプルにするだけで選択肢がないのもダメだと考えている。『ボタン1つ押せばバックアップが完了する』というソリューションはとてもシンプルで簡単だが、それではニーズを満たせないユーザーも多く出てきてしまう。ユーザーはそれぞれ異なったニーズがあるため、ニーズに基づいた選択肢も必要だ。当社は、シンプルにしつつ選択肢も用意していきたい。そして、これらの機能を持ったソリューションを提供することで、これまで中堅中小企業中心だったARCserveの顧客層を中堅にまで広げることができるだろうと考えており、今後の重要な戦略として位置付けている」と語り、同社の今後の方向性を示した。

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