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» 2013年11月28日 00時00分 公開

転機をチャンスに変えた瞬間(4)〜プロ野球選手 松井稼:特徴を伸ばせば、欠かせない人材になれる

日本ではパワーヒッターとしてならした松井さんが、ロッキーズで堅実なプレーを続けた理由は何だったのか

[聞き手 クライス&カンパニー 丸山貴宏,@IT]
転機をチャンスに変えた瞬間〜プロ野球選手 松井稼央の場合

 ロッキーズへ移籍して2年目の2007年、二塁手としてチームをリードし、レギュラーシーズン終盤に14勝1敗という快進撃に貢献。10月4日、勝率で並んだサンディエゴ・パドレスとのワンデープレーオフという大一番にも勝利し、ワイルドカードによるプレーオフ進出を果たした。地区シリーズでは逆転満塁本塁打を放つなど、彼らしい華々しい活躍も見せた。そして「世界一」を夢見て海を渡った男が、とうとうワールドシリーズの大舞台へとたどり着いた──。

松井稼頭央(まつい かずお) 元メジャーリーガー

松井稼頭央

1975年大阪府生まれ。
1994年、ドラフト3位で西武ライオンズに入団。
2004年、メジャーリーグのニューヨーク・メッツにFA移籍し、初の日本人内野手メジャーリーガーとなる。メジャー史上初となる開幕戦新人初打席初球本塁打を記録。その後はけがもあり、2006年シーズン中にコロラド・ロッキーズへトレード移籍。
2007年オフ、ヒューストン・アストロズと3年1650万ドル(推定)で契約して移籍。


本当の自分ではない自分を求めてしまったら、無理がある
他人にはなく、自分にはあることを大切にする

丸山 松井さんは日本では、3割30盗塁30本塁打を記録するほどスピードでもパワーでも観客を魅了してきました。けれどもロッキーズ移籍後はパワーはむしろ捨てて、堅実な1、2番打者としての役割を再認識されたことで、また輝き始めたような印象を受けます。

松井 日本では、パワーヒッターでもないのに、あれだけホームランを打てて、打順も3番を任されたことがありました。でも、あのときは、本当の自分ではない自分を作っていたような感じでした。

 メジャーでやっていく中で気付いたのは、打球の飛距離なら、いくらでも上がいる。パワーでは絶対に勝てない。それなのに、メジャーでも本当の自分ではない自分を求めてしまったら、それは無理がありますよね。だからメジャーでは、本当の自分を作っていこうと。

 他人にはなく自分にはあるものを大切にする。それは何かを考えていくと、僕の場合は、相手が嫌がるようなバッティングだったり、いつでも走れる積極的な盗塁だったりしたんです。自分を特徴づけて、そこを伸ばそうとすると、徐々にチームに欠かせない選手になれる。チームのバランスでは、ホームランバッターも必要だけれど、リードオフマンも必要。自分がどういう選手なのか、それを知って、それを磨くことが大切なんだなと、あらためて思いました。

丸山 松井さんは日本時代からチャンスに強く、ここ1番という勝負どころでの好打が光っていました。それはメジャーでも同様で、ワンデープレーオフ延長戦での一打や、地区シリーズでの逆転満塁本塁打など、多くの場面で本領を発揮されていました。チャンスをつかみ、ものにするための秘訣を教えてください。

松井 得点圏にランナーを背負って打席へ向かうときに、プレッシャーを感じることはありません。むしろ、ラッキーと思うようにしています。

 もちろん、打席に入るまでは準備を怠りません。練習も一生懸命やります。でも、その打席で打てるか打てないか、そんなことは気にしません。自分にできることは、バットを振って、バットとボールが当たる瞬間までで、当たってから先のことはボールに聞いてくれって感じです。

 自分でコントロールできるところまでは全力を尽くす。自分でコントロールできないことは、あまり気にしない。ホームラン性のいい当たりが捕球されてアウトになったり、ボテボテの当たり損ないがヒットになったりするのが野球です。だから僕は、人から冷めていると言われるくらい、グラウンドでは絶対に怒ったりしません。バットを投げたりもしません。バットに八つ当たりするぐらいなら、練習が足りない自分のせいだと思うことにしています。

丸山 ワールドシリーズという世界中の野球選手が憧れる大舞台では、「世界一」という大きな目標を前に、どのような心境で試合に臨みましたか。

松井 終盤のレギュラーシーズンで14勝1敗。しかもプレーオフに入ってからも7戦全勝でナショナルリーグのチャンピオンになってワールドシリーズへ。シーズン土壇場で21勝1敗なんて、奇跡ですよね。

 だから、ロッキーズも、僕も、ワールドシリーズへはチャレンジャーそのものという精神で向かっていけました。緊張などしなかったし、思い切りプレーできました。ワールドシリーズは、最高の舞台でした。あの舞台を味わえたことは、野球選手として幸運でした。

 もちろん、これからもまたあの舞台に立って、今度こそ世界一という目標に向かっていきます。でも僕は、あまり大きな夢を描かないタイプでもあるんです。まずは162試合のレギュラーシーズンを、ケガなく戦い抜くこと。そこからです。

構成/平山譲


聞き手 丸山貴宏

丸山貴宏

クライス&カンパニー 代表取締役社長

リクルートで人事採用担当を約7年経験後、現社を設立。転職希望者面談数は1万人を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。「人の根っこのエネルギーを発掘する作業が、われわれの使命」がモットー。著書「キャリアコンサルティング」(翔泳社)



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※この連載はWebサイト「転機をチャンスに変えた瞬間」を、サイト運営会社の許可の下、一部修正して転載するものです。データなどは取材時のものです。

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