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» 2013年12月09日 00時00分 公開

田中淳子の“言葉のチカラ”(1):私はあなたの応援団長

あの言葉があったおかげで今の自分があると思える、そんな力を持つ言葉たちを紹介していこう

[田中淳子,@IT]
田中淳子の“言葉のチカラ”

 はじめまして。田中淳子と申します。人材育成企業に勤めています。前職は米国のコンピューターメーカーDEC(Digital Equipment Corporation:現在は合併してヒューレット・パッカード)の日本法人で、ITエンジニアを対象に、IT技術やヒューマンスキルを教えるための教材開発と研修そのものの講師を務めていました。

 現在の会社に移ってIT技術を教える仕事からは引退し、「働く大人」が学ぶための研修講師をしています。具体的には、コミュニケーションやリーダーシップ、ファシリテーションといったヒューマンスキルを教えています。人材育成に携わり28年になります。……と、ご挨拶までは、ですますで。

全エンジニアの“おば”として、エールを送ろう

 今回コラムを書くに当たって、編集者から「おばちゃんがおいっ子を応援するような話を書いてほしい」というリクエストを頂戴した。私は今年4歳になったおいっ子の「おば馬鹿(ばか)」を自認しており、2009年に彼が誕生したとき以来育児にも深く関わっている。その様子をよくご存じの上でのご依頼だ。

 わが子のように可愛がっているおいっ子が、20年後、30年後、困ったとき、悩んだとき、両親ではなく、少し離れた関係のおばに相談に来たら、どんなふうに語るだろうか。

 父や母ほど近しくなく、飲み屋の大将やママほど他人でもなく、程よい距離感の中で私が自分より少し若い世代を応援するようなもの。お話を頂いてから数カ月、どのような内容であれば応援歌になるのだろうかと考え続けた。

 一般に、年長者の書く文章は「説教くさく」なりやすく、「自慢っぽく」なる傾向もある。説教くさくもなく、自慢でもなく、ただ、私よりは若い世代を応援するもの。

 つらつらと考えていたら、さまざまなことに思い至った。自分が20代、30代、40代とさまざまに悩み、壁にぶつかり、ときにグレて上司に叱られ、同僚に励まされ、クライアントに教えられ、社外の多くの先輩たちに諭されたこと。それらが、そのときどきで私を支え導いてきたこと。今の自分の土台も他者からの数々の言葉や支援によって出来上がっていること。

 つたない経験ではあるが、私が受けてきた他者からの薫陶(くんとう)、応援、ときに叱咤、そして激励。これらを紹介することで、何かのヒントをお贈りできるかもしれない。

 コラムを読み、「ああ、そうだ、そうだ、なるほど」と思うもよし、「それ、違うよ! ボクの場合だったら」と考えるきっかけにしていただくのもよし。「何言ってんの? 自分だったらこんなふうに考えて行動するよ」と反論してくださるのもよし。私が書く文章から何かを想い、考えることにつながるようなもの。そういうコラムを目指したい。

あなたの心の引き出しには、どんな言葉があるだろう

 今回は、中学時代の恩師から頂戴した一言を紹介しよう。

 私が28歳のころの話だ。今も年賀状のやりとりが続く中学3年時の担任からの年賀状に、直筆でこう書き添えてあった。「僕はいつでもタナジュンの応援団長のつもりでいるよ!」と(中学で私は「タナジュン」と呼ばれていた)。

 ほろっときた。IT技術を教える仕事から、ヒューマンスキルを教える仕事へと、自分の専門分野の舵を大きく切り、当時勤めていた部門で、ほそぼそと新しい仕事を始めていた時期に受け取った年賀状。私が試行錯誤していることなどご存じないはずの先生が、「応援団長のつもりでいるよ!」と力強い文字で書いてくださったのだ。

 この言葉は、そのときも、そして今でも心に強く刻まれ、ときどき思い起こしては、自分の力になっている。

 「誰かが応援してくれている」と思えるのは心強いものだ。先生はこう書いたことなどもう覚えていないかもしれないが、私は自分を支える言葉として心の引き出しにそっとしまっている。

 こんなふうに誰かに励まされること、誰かに勇気付けられることは誰にでもある。

 あなたを励ましてくれる言葉は、誰の何という言葉だろうか? そういう大事な言葉を心の引き出しにしまっておき、つらいことや大変なことが起こった時、勇気や自信を取り戻すためにそっと取り出してみる。そういう言葉をできるだけたくさんストックしておく。いざというとき、自分のチカラになるから。

筆者プロフィール  田中淳子

 田中淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー

1986年 上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで、延べ3万人以上の人材育成に携わり28年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。

日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。著書:「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)など多数。誠 Biz.ID「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”」も好評連載中。

ブログ:田中淳子の“大人の学び”支援隊!



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