連載
» 2013年12月25日 18時00分 公開

転機をチャンスに変えた瞬間(8)〜宇宙飛行士 野口聡一:一つ一つ期待に報いていけば、チャンスを呼び込める

10年の訓練を経て宇宙に飛び立った野口さんが、地球帰還後に始めたさらなるチャレンジとは

[聞き手 クライス&カンパニー 丸山貴宏,@IT]
転機をチャンスに変えた瞬間〜宇宙飛行士 野口聡一の場合

 2005年7月26日、いよいよ野口さんの宇宙への旅が始まった。「何ものかが手を伸ばして、シートごとつかんで持ち上げていくような感触」の中、野口さんは夢の宇宙へと飛び立った。肺が押しつぶされそうな苦しさに耐え、約8分間のエンジン燃料停止後に野口さんを待ち受けていたのは、周囲のものが全て踊り出す無重力と数々の任務、そして青く光る美しい地球だった。そして無事地球へ帰還した野口さんは、新たな挑戦へと駆り立てられていった──。

野口聡一(のぐち そういち) 宇宙飛行士

野口聡一

1965年、神奈川県横浜市生まれ。
東京大学大学院修士課程修了後、石川島播磨重工業に入社。航空宇宙事業本部に所属。 1996年、ASDA(現JAXA)入社、第16期宇宙飛行士養成コースに参加。NASAよりミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者)として認定され、基礎訓練コースに参加後、スペースシャトルの搭乗員に任命される。
2005年7月26日〜8月9日、スペースシャトル「ディスカバリー号」のミッションに参加。


熱さがあるからこそ、頂点を目指そうという意志が強固なものになる

丸山 宇宙に飛ぶ夢を達成された野口さんは、今度は国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に長期滞在するという新たな挑戦のために、準備を開始されています。

野口 実際に宇宙へ飛び立つまでは、帰ってきたら何をするかまったく考えていなかったんです。目の前のことに一生懸命で、ワンステップずつ上がっていこうとしていました。ところが任務を終えて地球に帰還して、最初に感じたのは「もう一度宇宙へ行きたい!」ということだったんです。

 僕は、同じことの繰り返しは、あまりしたくありません。どうせやるなら今度は、長期滞在という新しい挑戦をしたかった。結果は分からないけれど、一つ一つの仕事で期待に報いていけば、チャンスを呼び込んでいけると信じています。

丸山 今の30代、40代はクールで、無我夢中になって何かに挑むという「熱さ」を、ともすると格好悪いものと思ってしまうような傾向があるようにも感じられます。

野口 熱さがないと、何事にも挑戦できないと思います。熱さがあるからこそ、現状で満足せずに違った頂点を目指そうという意志が、強固なものになるのではないでしょうか。最初から冷めてしまうのではなく、まず好きなことに熱中してみる。そして、熱くなり過ぎると周囲が見えなくなることもあるから、熱い自分を後ろから見ている感覚も必要になる。でも、そもそも熱さがなければ、自分自身に変化が起きにくいと思います。

丸山 最後に、今、転職を考えている30代40代に、力強いメッセージをお願いします。

野口 まずは今の自分の姿を鏡に映し、自己評価をきちっとする。その上で、何をやりたいのかという意志をしっかりと持っていればいいのではないでしょうか。おそらく若いうちは、自分の姿が貧弱に映ることもあるはずです。できることが少ないし、自信もない。それでも「やりたいことをやり遂げる!」そんな気持ちがあるかどうか。それも踏まえての今の姿を見ることです。

構成/平山譲


聞き手 丸山貴宏

丸山貴宏

クライス&カンパニー 代表取締役社長

リクルートで人事採用担当を約7年経験後、現社を設立。転職希望者面談数は1万人を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。「人の根っこのエネルギーを発掘する作業が、われわれの使命」がモットー。著書「キャリアコンサルティング」(翔泳社)


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※この連載はWebサイト「転機をチャンスに変えた瞬間」を、サイト運営会社の許可の下、一部修正して転載するものです。データなどは取材時のものです。

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