ネットアップ、FAS8000でさらにデータ管理基盤ベンダーへ「EF550はバッチ処理も得意」

ネットアップは、同社のストレージ製品の大幅刷新を発表した。この製品はストレージ仮想化機能をオプションで提供。これはハイブリッドクラウドのデータ管理技術ベンダーに向けた、新たな一歩だと表現できる。同社はまた、オールフラッシュストレージ「NetApp EF550」が、バッチ処理にも向いているとアピールした。

» 2014年02月20日 19時37分 公開
[三木 泉@IT]

 ネットアップは2014年2月20日、同社のストレージ製品の大幅刷新を発表した。同日に販売開始した「NetApp FAS8000」シリーズは、既存の「FAS3220」「FAS3250」「FAS6220」の、事実上の後継になるという。この製品はストレージ仮想化機能をオプションで提供。これはハイブリッドクラウドのデータ管理技術ベンダーに向けた、新たな一歩だと表現できる。

 FAS8000は、「FAS8020」「FAS8040」「FAS8060」の3モデルで構成。FAS8020は既存の「FAS3220」の後継であり、FAS8040は「FAS3250」の、そしてFAS8060は「FAS6220」の後継となる。新製品は、各モデルで既存製品と価格はほとんど同一でありながら、パフォーマンスは約2倍に向上しているという。また、FAS8060は、最大物理容量では「FAS6250」「FAS6290」には及ばないものの、パフォーマンスではFAS6290に匹敵するか、これを上回るものとなっている。

「FAS8020」「FAS8040」「FAS8060」はそれぞれ、現行の「FAS3220」「FAS3250」「FAS6220」を事実上置き換える製品

 ネットアップは同時に、ストレージOSの最新版「clustered Data ONTAP 8.2.1」を発表した。これまでFASシリーズは、ディスクシェルフとその上のデータはそのままで、上位機種に移行できることを特徴としてきた。Data ONTAP 8.2.1では、この作業をノンストップで実施できるようになった。ほかにもSQL Server over SMB 3.0への対応や、LDAP over SSLのサポートを追加した。

FAS8000はストレージ仮想化製品でもある

 「(最近騒がれている)『Software Defined Storage(SDS)』は、ベンダー各社が独自の解釈で語っているのが現状。だが、仮にそれがストレージを仮想化・抽象化し、さらにツール化して自動化を容易にするというものだとすると、clustered Data ONTAPはその全てを満たしている。さらに1万以上の出荷実績があるという意味では、SDSのデファクトスタンダード」と、ネットアップ システム技術本部 執行役員 本部長 近藤正孝氏は話す。

 clustered Data ONTAPのデータ管理/データ保護機能をあらゆるところに適用できるようにし、ハイブリッドクラウド環境における統合的なデータ管理基盤を提供する、というのがネットアップの戦略だ。

 このため、ネットアップはx86サーバーで動作するclustered Data ONTAPソフトウェアのみの製品「ONTAP Edge」を提供している。これは企業の社内でも、クラウドサービス上でも動かすことができる。また、「NetApp Private Storage for Amazon Web Services」では、Amazon Web Servicesのインフラに隣接するデータセンターに、FASシリーズのストレージ装置を設置し、演算処理についてはクラウドサービスのメリットを生かしながら、データ管理については社内と同様の運用ができるようにしている。同社は他のクラウドサービスへの対応も進めている。

Data ONTAPで多様なデータ配置シナリオをカバーし、統合運用できるようにするのがネットアップの戦略

 この方向に向けた重要な一歩と考えられるのが、FAS8000でオプションとして提供される「FlexArray仮想化ソフトウェア」。他社のストレージ装置をFAS8000の配下に接続することで、これらの装置があたかもFAS8000の一部であるかのようにデータを利用できるようにする、ストレージ仮想化ソフトウェアだ。これまでネットアップは、「NetApp Vシリーズ」という専用アプライアンスとして、ストレージ仮想化の機能を提供してきた。これを今回、FAS8000のオプション機能として取り込んだことになる。

 FlexArrayは、対応する他社ストレージがEMC、日立に限定されている。だが、これを使えば、少なくとも企業の社内におけるデータの統合管理がやりやすくなる。

フラッシュストレージ「EF550」は「バッチ処理にも強い」

 ネットアップはこれと併せて、いまオールフラッシュストレージを使いたいユーザーに向けて同社が提供しているストレージ装置「NetApp EF550」について、Oracle Databaseを用いたパフォーマンス検証の結果を説明した。

 EF550は、もともとハードディスクドライブ(HDD)を搭載するRAIDアレイであるEシリーズに、SSDを搭載した製品。そこで今回の検証では、HDD24基の構成と、SSD24基の構成でパフォーマンスを比較。Webショッピングサイトを想定した負荷を掛けた。

 OLTP処理では、データベースサーバーにおけるキャッシュヒット率の減少に伴ってパフォーマンスが減少するHDD構成に比べ、SSD構成ではキャッシュヒット率に関わらず安定したパフォーマンスが得られたという。一方、バッチ処理では表の全件検索、索引の高速全件検索、索引のメンテナンス処理といった、シーケンシャルな処理でHDD構成に比べて大幅に高速化できたとしている。

バッチ処理では表の全件検索、索引の高速全件検索、索引のメンテナンス処理で大幅に高速化したという

 一般的にフラッシュストレージは、シーケンシャルな読み書きでは高速化を期待しにくいとされている。だが、EF550は高いスループットを実現できるコントローラを備えているため、他社のフラッシュストレージを超えるシーケンシャルリード性能を発揮できるという。フラッシュストレージはデータベース処理の高速化を目的として使われることが多い。ネットアップは、データベース処理の高速化に加え、バッチ処理の所要時間短縮をしたいなら、EF550が向いているとアピールした。

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