業務アプリにおける次世代テクノロジの3大トレンド業務アプリInsider 読者調査レポート

2014年3月実施のアンケート調査結果を紹介。「業務アプリでのクラウドプラットフォーム採用」「ウェアラブルデバイス開発」「スマートフォンアプリのネイティブ開発」が3大トレンドとなっている。

» 2014年04月21日 00時00分 公開
[一色政彦,デジタルアドバンテージ]
業務アプリInsider 読者調査レポート
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「業務アプリInsider 読者調査レポート」のインデックス

連載目次

* 本稿では、「アプリケーション」は「アプリ」と略す。


 @ITでは、2014年3月6日(木)〜3月16日(日)の期間、Windowsベースの業務アプリ開発に携わる@IT読者を対象に、Web上での自記式アンケートによる読者調査を行った(調査実施機関はアイティメディア株式会社。有効回答数は446件)。

 本稿は、その調査結果をグラフ化し、簡単な説明と考察を付記したものである(なお、調査・分析およびグラフ作成などは、ITmedia「小柴 豊」氏がまとめた非公開資料から引用している)。


現在の業務アプリ開発状況

現在開発している業務アプリ種別

Q. あなたは現在、主にどのような種類の業務アプリ開発に関わっていますか? 最も当てはまるものを、1つだけお選びください。

現在開発している業務アプリ種別(N=445) 現在開発している業務アプリ種別(N=445)

 この結果を見ると、「Webアプリ」が全体の34.9%、「クライアント/サーバー(C/S)システム用アプリ」(以下、クラサバ)が31.3%となっており、この2大ジャンルが拮抗(きっこう)している形だ。

 しかし(2年前の調査結果と比較すると)徐々にWebアプリとスマートフォンアプリの勢力が増してきているように感じる。スタンドアロンとクラサバを“PC専用”の業務アプリと見ると、2年前→現在で47.2%→40.5%と減っているわけで、「業務アプリ=PCで使うもの」→「業務アプリもマルチデバイス対応」というように変わってきた結果だと捉えている。

現在開発している業務アプリの用途

Q. そのアプリの用途に最も当てはまるものを、1つだけお選びください。

現在開発している業務アプリの用途(N=440) 現在開発している業務アプリの用途(N=440)

 業務アプリの用途としては、やはり「生産管理・販売管理などの基幹業務系アプリ」がトップの約39%。続いて、19.1%の「グループウェア・データウェアハウスなどの情報系アプリ」となった。

現在使用している開発言語

Q. そのアプリ開発に使用している言語を、幾つでもお選びください。

現在使用している開発言語(N=442) 現在使用している開発言語(N=442)

 一番多いのは「Java」で37.6%、次が「JavaScript」で31.2%、それ以降はVisual Basic(.NET)(27.1%)、C#(22.9%)、C++(18.6%)だった。

現在の業務アプリ開発の課題

Q. 現在のアプリ開発で、あなたが感じている課題があれば、幾つでもお選びください。

現在の業務アプリ開発の課題(N=444) 現在の業務アプリ開発の課題(N=444)

 業務アプリ開発で課題となっていることの1位が「エンドユーザーの操作性(ユーザビリティ)の向上」(49.8%)。それ以下、「ビジネス変化のスピードに対応した、迅速・柔軟なアプリ開発」「スマートフォン/タブレットなど、PC以外のさまざまな端末への対応」「従来の開発手法で必要とされた開発期間や開発コストの削減」と続いている。

業務アプリにおける次世代テクノロジの活用について

個人的に興味がある“次世代テクノロジ”

Q. 現在ITおよびその周辺業界では、3Dプリンターやウェアラブルデバイスなど、今までに無いテクノロジが登場し始めています。次に挙げる“次世代テクノロジ”群の中で、あなたが個人的に興味を持つものがあれば、幾つでもお選びください。

個人的に興味がある“次世代テクノロジ”(N=445) 個人的に興味がある“次世代テクノロジ”(N=445)

 他を大きく引き離してダントツ1位になったのだが、「Windows AzureやAWSなどのクラウドプラットフォームによる、アプリ/サービス開発」だ。前述の「現在開発している業務アプリ種別」のグラフを見ると、クラウド化されたアプリは1.8%と低空飛行を続けているが(2年前と比べても0.6ポイントしか増えていない)、「クラウド向けに開発したい」というニーズは依然としてかなり高いようだ。「現実(現在)」と「理想(次世代)」の間に、まだまだ乖離(かいり)があるということだろうか。

 次に「Google Glassなどのウェアラブルデバイス(身体に付けるコンピューター)」と「Objective-CやJavaなどで開発する、スマートフォンアプリのネイティブ開発」が高い。ウェアラブルデバイスはテレビのニュース番組で取り上げられるなど、今、話題なので関心を持つ人が多いのだろうと推察している。

業務アプリ開発で今後採用したい“次世代テクノロジ”

Q. 業務アプリを幅広い意味で捉えると「業務を効率化したり、業務に新しい価値を生み出したりするためのアプリ」といえます。この観点から、あなたが関わる業務アプリ開発で今後採用してみたいと思うテクノロジがあれば、3つまでお選びください。

業務アプリ開発で今後採用したい“次世代テクノロジ”(N=445) 業務アプリ開発で今後採用したい“次世代テクノロジ”(N=445)

 1つ前の質問を「個人的興味」から「業務アプリ開発」に変えて聞き直した例だが、ほぼ同じ結果となっている。若干異なるのが、「スマートフォンアプリのネイティブ開発」の採用意向で、「ウェアラブルデバイス」を若干上回った。業務アプリでウェアラブルデバイス対応するイメージが湧きにくいというのが現実だろう。

次世代テクノロジの学習・研究状況

Q. あなたやあなたの周辺では、上記のような次世代テクノロジについて学習・研究をはじめていますか(または興味がありますか)?

次世代テクノロジの学習・研究状況(N=441) 次世代テクノロジの学習・研究状況(N=441)

 すでに導入・研究・学習している人の合計が半数近くに達しており、次世代技術に取り組んでいる人は多い。また、今後学習・研究してみたい人も39.2%と高く、全体的に学習意欲が高いといえる。

「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー

Q. 業務アプリにおける次世代テクノロジ活用について、あなたのご意見があれば具体的にお聞かせください。

「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー
「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー
「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー
「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー
「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー 「業務アプリへの次世代テクノロジ活用」に関するコメントサマリー

『@IT 業務アプリInsider』へのフィードバック

 ここからは、「業務アプリInsider」に関するアンケート調査の結果を簡単に紹介する。

業務アプリInsiderで読みたい記事

Q. あなたが今後「@IT 業務アプリInsider」で読みたい記事内容があれば、幾つでもお選びください。

業務アプリInsiderで読みたい記事(N=432) 業務アプリInsiderで読みたい記事(N=432)

 今回の結果では、「業務向けiOS/Androidアプリ開発入門」(48.1%)が他を引き離して1位となり、2位に「業務アプリのためのタッチUI&UX開発」、3位に「業務向けWindows 8.1アプリ開発入門」がランクインしている。いずれも主にスマートフォンやタブレット向けのネイティブアプリ開発をテーマにしたもので(「Windows 8.1アプリ」はWindowsフォームやWPFを含んでいる可能性はあるが)、現在は特にスマートフォン開発に関する情報のニーズが高まっているようだ。

業務アプリInsider開催で今後参加したいイベント/勉強会

Q. あなたが今後参加してみたい「@IT 業務アプリInsider」主催イベント/勉強会があれば、幾つでもお選びください。

業務アプリInsider開催で今後参加したいイベント/勉強会(N=405) 業務アプリInsider開催で今後参加したいイベント/勉強会(N=405)

 今後参加したい業務アプリInsider主催イベント/勉強会の1位は、「Web業務アプリ開発者のためのHTML5.1活用」(37.5%)でHTML5関連の人気は依然として高い。2014年度は、ぜひ一度、HTML5関連をテーマにイベントを開催したいと考えている。

 2位の「スマートフォン/ウェアラブル機器とクラウド連携サービスの開発」(30.9%)は新しい傾向だ。今回のアンケート結果を踏まえると、このテーマも今後ますますニーズが高まりそうである。


 筆者なりに今回の結果をまとめると以下のようになる。

  • 「業務アプリ=PCで使うもの」→「業務アプリもマルチデバイス対応」というように変わってきた
  • 最近の3大トレンドは、「業務アプリでのクラウドプラットフォーム採用」「ウェアラブルデバイス開発」「スマートフォンアプリのネイティブ開発」
  • 総じて業務アプリ開発者は、次世代技術への取り組み姿勢や学習意欲が高い
  • 「現実(現在)」と「理想(次世代)」の間に大きな乖離(かいり)がある(業務アプリへの新技術採用のハードルはかなり高い)
  • 技術情報のニーズとして、HTML5関連の人気は依然として高い
  • また、スマートフォンやタブレット向けのネイティブアプリ開発に関する情報のニーズも高い

 今回のアンケートにご返答いただいた方々に感謝したい。また次回実施時にもご協力いただけるとうれしい。

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