「もう政治に興味はない」堀江貴文氏が語る世の中がメンドくさい理由誰が業務アプリを殺すのか(1/2 ページ)

「スマホがあれば、紙もプラスチックカードもいらない。ニーズがあれば法律も変えられる。政治なんて時間の無駄、技術でそうせざるを得ない状況に追い込め!」――8年ぶりにITの世界に帰ってきたホリエモンこと堀江貴文氏は、会場を埋め尽くすフリーエンジニアたちをギロリとにらみ、せきを切ったように話しだした。

» 2014年06月26日 18時00分 公開
[宮田健,@IT]

 2014年6月22日、首都圏コンピュータ技術者、パートナーフォーラム 2014の特別講演として、「フリーランスと起業」をテーマに、ロケット開発を手掛ける企業SNSのオーナー、堀江貴文氏が登壇した。現役エンジニアが多く集まる会場に、堀江氏が日ごろの不満をぶちまけるところから話はスタートした。

SNSオーナー兼従業員 堀江貴文氏

社会全体が古くさいシステムにとらわれているのは「エンジニア」のせい

 堀江氏はまず、自身のTwitterでも話題にし、ネット上でも議論を呼んだ「病院待ち時間問題」を取りあげた。「腎臓結石の予防で慈恵医科大学に行ったんですが、1時間30分も待たされて腹が立った」――。

 この件をTwitterに書いたところ、堀江氏のもとに何社かの医療関係企業が「わが社の取り組みを聞いてくれ」とアピールしてきたとのことだ。それらの企業が売りにする、病院での待ち時間短縮の仕組みを聞いたそうだが、どれもイマイチだったという。

 「病院のイヤなところはあのプラスチックの診察券。あんなのなくして当たり前でしょう。診察券の発行システムや磁気リーダーを作ってる会社の話を聞いたけど、そもそも本人確認は保険証でできる。こんなことをなぜやってるのか。それはシステム会社のせいですよ。客の言うことを聞き過ぎ」。

 堀江氏の指摘は止まらない。「だいたい、保険証もカメラで撮ってそれ見せればいいじゃん。でも現物を見せろという。そもそも写真も付いてない保険証で本人確認できないから意味ないのに。それにレシート。紙が出てくるのがうざくてしょうがない。新幹線の切符もそう。紙のきっぷがイヤだからおサイフケータイにしてJR東海のEXカードを契約したのに、乗る直前に紙が出てくる。こっちは寝たいのに、グリーン車くらい検札を省略してよ。JR東日本の湘南新宿ライン、グリーン車なんかはSuicaをかざすだけで座れて、検札はなし。技術的に可能なんだからやれと思う。そうブログに書いたら反論が多かったんだけど」。

 このように、まだ社会には技術的には可能なのに、そうなっていないことが多過ぎる、というのが堀江氏の指摘だ。iOSの機能として発表されたHealthkitやPassbookなど、下地があるにもかかわらず活用が見えてこない。この現況を作る原因は、エンジニアが現状に甘んじており「何もしてないから」と説く。

 その原因は、日本人のカスタマイズ至上主義にもある。同氏が所属していたライブドアでは、2000年ころからSAPの会計システムを導入したという。高価で有名なSAPのシステムだが、わずか5000万円での導入を実現した。その理由は、ノンカスタマイズ、かつまだ基幹系では珍しいLinuxでの初導入事例だったからだ。「何でカスタマイズするか意味が分からない。赤字金額がマイナス表記だっていいじゃない。その表示をカッコ付きにするだけでIT業者が数百万持っていく。そんなところにもうけさせたくない」。

 さらに、日本の商取引習慣に対しても「請求書を紙でやりとりするなんて意味が分からない。なんで会計上の情報、たった数バイトをやりとりするだけなのに、わざわざPDFにしてメール添付するの? こんなの狂気の沙汰」と一刀両断。「アメリカのトレードシフトという企業は、BtoBのFacebookと呼ばれてる。請求書をデータとして、ネットワーク上で送り合える。こういうのが日本で全く普及していないのが驚き。そこに問題点を感じていない人が多過ぎる」。

 世の中は手間があふれている。手間をなくす提案をできるのはエンジニアなのだ、と堀江氏は指摘する。「そういうめんどくさいのをやめましょう。簡単に、何も意識せずに使えるのが当たり前なシステムにしなくてはならない。そういうのを、皆さんエンジニアがどんどん提案してほしい」。

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