BlueMixのクラウドデータベースサービス/SQL on Hadoopは普及するか?Database Watch(2014年8月版)(1/3 ページ)

PaaSの世界のデータベースはどうなっている? ビッグデータ対応インフラの実装として、本気を出し始めたHadoop環境の弱点を補う仕組みもウォッチした。

» 2014年08月21日 19時00分 公開
[加山恵美@IT]

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 今月紹介するのは、正式版となったばかりで、まだ「ほかほか」のパブリッククラウドサービス「IBM Bluemix」と、IBM版Hadoop「IBM InfoSphere BigInsights V3.0」です。中でもSQL on Hadoop技術となるBig SQLに注目です。

モバイルやソーシャルのクラウドサービスを想定したBluemix

 今年はパブリッククラウドサービスが活況です。これまで「AWS(Amazon Web Service)」や「Microsoft Azure」が台頭していたところに、近年「Google Cloud Platform」や「Pivotal Web Service」が登場し、今年からは「IBM Bluemix(以下、Bluemix)」も仲間入りしました。Bluemixは開発コンテスト「IBM Bluemix Challenge」を開催しており、結果発表が楽しみなところです。

 8月1日に実施したClubDB2では日本IBMソフトウェア事業本部 牧裕一朗氏(写真)がBluemixの概要を解説し、日本IBMシステムズ・エンジニアリング データ・プラットフォーム 曽田俊明氏と板谷有希子氏が実際にどのように使うのかデモを披露してくれました。

 BluemixはIBMが提供するパブリッククラウドサービスです。「SoftLayer」のインフラ(IaaS)に、「Cloud Foundry」ベースのソフトウェア群が稼働しています。IBMのDevOpsサービス「JazzHub」とも連携できます。ソフトウェアや開発環境が全てPaaSで提供されるサービスというのも特徴です。

 これからのシステムのための“実験室”というイメージもあります(私見ですが)。AWSやAzureが企業のITシステムのクラウド化に向いているのに対して、Bluemixはソーシャルやモバイル系など関係を強化するシステム(IBMは「SoE(System of Engagement)」と呼んでいます)に主眼を置いているのも特徴だからです。

 Bluemixは当初オープンベータから始まり、7月からは正式版(GA)となり料金体系も公表されています(関連記事)。とはいえ無料試用期間があるため、実質的にはまだオープンベータの延長に近いかたちで気軽に試せる状況です。Bluemixではサービスやアプリごとに料金が設定されており、有料のものは月額あるいは時間単位で課金が発生します。例えばIBM DB2に相当する「SQL Database」サービスだと「Small Plan」でインスタンス単位で月額3150円です。「Liberty for Java」や「Ruby on Rails」などのランタイム系はおおよそ時間当たり7円程度の価格設定のようです。

 実際はBluemixのWebサイトからIBM IDでログインして使います。ダッシュボードにはシステムの稼働状況が並んでおり、「CREATE AN APP」や「ADD A SERVICE」からアプリやサービスを追加していきます。アプリやサービスを単体で追加することもできますし、「Boilerplates」と呼ばれるテンプレートからアプリを追加することもできます。こちらは目的別にアプリがセットになったものです。

Bluemixのダッシュボード

 Bluemixにあるサービスは大きく分けて3種類。IBMのソフトウェアをベースにしたものと、パートナーが提供するもの、オープンソースコミュニティのものです。テキストを携帯電話向けの音声に変換する「Twilio」、住所から位置情報に変換する「Geocoding」、モバイル向けセキュリティ対策となる「Mobile Application Security」などモバイル向けアプリのパーツとして役立ちそうなものが多く提供されています。

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