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» 2014年08月27日 18時00分 公開

運用自動化、ツールの種類やOSS/商用の違いを問わない運用設計の作り方、進め方特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(1)(3/4 ページ)

[内野宏信,@IT]

運用自動化“すべき”プロセスの切り分け方と、標準化のポイントとは?

 ではシステム構成の可視化は大前提として、「自社において運用自動化すべき作業」「自動化の効果が望める作業」は、どのようにして切り出せばよいのだろうか? インフラも運用手順も各社各様である以上“唯一の正解”は存在し得ないが、その考え方としては以前取材したガートナー リサーチ 主席アナリスト 長嶋裕里香氏の講演内容が参考になる。同氏は運用自動化を適用するプロセスを洗い出す際の原則として、「ビジネスの重要度に応じた運用管理レベル設定」を指摘している。

 具体的には、全てのシステム、サービスを一様に高品質で管理、提供するのではなく、ビジネスに対する重要度に応じて3〜5段階ほどでシステム、サービスの重要度をレベル分けし、それに応じて運用管理レベルを設定する。例えばシステムに保証する稼働率、監視項目の量、手作業の量などをシステムの重要度に応じて分ける。仮に松竹梅の3段階に分けるとすれば、松クラスのシステム・サービスに人的リソースを集中させ、竹、梅クラスに運用自動化ツールを使って効率化を狙う。

ALT 図4 ビジネスに対するシステム、サービスの重要度に応じて管理レベルを分けて考える(出典:ガートナー 2013年4月/ガートナー ジャパンが2013年4月24〜26日に開催した「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミット 2013」における長嶋裕里香氏の講演「ITオペレーションの重大ミッション 2013」より)

 なお、同氏は比較的スモールスタートがしやすい運用自動化のパターンとして、以下の3つを提案している。

  1. 異常検知の初期対応:監視ツールから上がってきたアラートを受けて自動的にインシデントチケットを発行しプロセスを流す。既知の問題なら初期対応まで自動化する
  2. 変更作業:パッチの適用や設定変更、IDやパスワードの変更、再発行、新規発行などもサービスとして自動実行する
  3. 実行環境の提供:例えば「CPUやOSなど、業務部門から必要なリソースの情報を受けてイメージを展開し、ネットワークやストレージを設定して実行環境として提供する」といった一連のプロビジョニング作業を自動化する

では、プロセスの標準化はどう考え、どう進める?

 一方、プロセスの効率化、標準化についてはどう進めればよいのだろう? この問いに対して、入谷氏は「まずは可視化だが、その上で、どのプロセスにどのくらい時間がかかっているのか、なるべく数量化することが大切」と指摘する。

 「ボトルネックになっているプロセスがあればなぜボトルネックになっているのか、理由を検証する。人の問題なのか? プロセスの問題なのか? 管理対象の数の問題なのか? そこを検証して改善方法を考える。その際は、なるべく人に依存しないプロセスを組んでいく。属人的になって一人に作業が集中してしまうことを避け、誰でも同じようなプロセスで運用できるようなプロセスを作るよう心掛ける」

 やはり以前に同テーマで取材した日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏は、この点について「プログラマー的発想が重要」とアドバイスしている。

 「プログラマーはシステムに行わせる動作をアルゴリズムで考える。その際、彼らがこだわるのは“徹底的に無駄を省くこと”。例えば、Linuxのシェルスクリプトを書くとき、意図する動作を1行のコードで処理させる“ワンライナー”を考えるように、定型的な作業手順を見直し、もっと少ない手順でできないか、突き詰めて考える」(宮原氏)

 「今、手動で行っている作業を、実際にスクリプト化してみるのもよい」という。スクリプトを書くために、作業のロジックと流れを洗い出してみれば、それはそのままプロセスの無駄を発見し、効率化を考えるヒントになる。また“複数のツールを使って、複数の作業を行う”連携作業について、「スクリプトだけによる自動化は難しい」と分かれば、それがオーケストレーターに任せるべき作業であることも分かるというわけだ。

 無論、こうした「自動化すべき作業」や「自動化すべきプロセスと人手で行うべきプロセス」の切り分けには時間も工数もかかる。だが、いずれ取り組まなくては現状は全く変わらない。自社や運用現場を取り巻く環境がスピードを求めている以上、「できるところから」「気付いたところから」というより、運用自動化のコンサルティングなど外部サービスの手を借りてでも、本腰を入れて着手すべきだといえるのではないだろうか。

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