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» 2014年10月17日 18時55分 公開

分散ストレージCeph/RADOSとは?Ceph/RADOS入門(1)(2/2 ページ)

[佐藤友昭,VA Linux Systemsジャパン]
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機能的特徴と使い分けは?

 OpenStack環境向けストレージとして両OSSはどのように使い分けるのが良いでしょうか。

 ブロックインターフェースはCeph/RADOS、ファイルインターフェースはGlusterが良いという意見もあるようですが、Ceph/RADOSは当初から分散ファイルシステムとして設計されていますし、本稿ではファイルインターフェースも含め全てをCeph/RADOSで賄うことをテーマに考えてみたいと思います。

 Ceph/RADOSのドキュメントには、ファイルシステムインターフェース用途についてはプロダクションシステムで使用することを推奨しないという注意記載(*2)があり、「OpenStack Operations Guide」からも参照されています(*3)。

 実際、最新のCeph/RADOSのファイルシステムインターフェース(CephFS)のハードリンクの実装方法が変更(backtrace属性が追加される代わりに設計当初からのanchor table機構が廃止)されたり、リリースの度にMDSクラスター(multi-mds)周りのバグ修正も取り込まれている状況のようです。

 参考までに、Ceph/RADOSとGlusterの両方を持つレッドハットが公開している資料での両OSSの位置付けを少し見てみると、Inktank買収以前(2013年10月)はOpenStackのストレージとしてCeph/RADOSに対するGlusterの性能優位性をアピールするホワイトペーパー(*4)を提供していますが、最近(2014年8月)のOpenStack関連資料(*5)では、OpenStackインフラ向けにはむしろCeph/RADOSの方を推している印象を筆者は受けています(レッドハット自身による両者の適用方針は関連記事を参照)。

 筆者らは両者の特性を評価する目的でOpenStackでコンピュートサービスを提供するNovaを介してVMを構築、Compute Service(Nova)が使用するファイルシステム(/var/lib/nova/instances)の各種共有方式を評価しています。その際、複数の仮想インスタンスで同時にfioを使ったI/Oベンチマークを行った際の結果にバラつきが非常に小さいという、Ceph/RADOSをGlusterと比較した際の長所ともいえる特徴が見られました。これについては、後日ドキュメントにまとめて公開する予定です。


(Cephが公開している資料より出典

「Erasure Coding」なども意欲的に実装を進めるCeph/RADOS

 Ceph/RADOSはC++言語を中心に開発されており、配布ライセンスはLGPLv2を採用しています。最初の安定リリースは2013年7月のv0.48(コード名:Argonaut)、最新の安定リリースは2014年5月のv0.80(コード名:Firefly)です。

 本稿は最新版の一つ前の安定リリースであるv0.72(コード名:Emperor)に基づいています。

 最新版ではGlusterやSwiftに先駆けてErasure Coding(以下EC)が実装されるなど、意欲的に開発を継続している様子です。なお、Ceph/RADOSでは、当初からECの実装が設計事項に含まれていたことがSage Wail氏の論文から読み取れます。

 Ceph/RADOSドキュメントでは、ECの利用例としてコールドストレージ格納先としての用途やマルチデータセンターでのストレージとしての用途が紹介されています(*6)。またECの実装についてもドキュメントが用意されています(*7)。こうしたドキュメントが充実していることもCeph/RADOSを選択しやすくしている要因であると思われます。


 ここまでで、Ceph/RADOSがそもそもどういったものなのかを紹介してきました。次回は実際のCeph/RADOSの構成や挙動を順に見ていきます。お楽しみに。

筆者プロフィール

佐藤友昭(さとうともあき)

VA Linux Systems Japan株式会社 クラウド基盤エキスパート。

 UNIX系オペレーティングシステムの開発において、ローカルファイルシステム、ネットワークファイルシステム、論理ボリュームマネージャーなどを担当。

 HPC向けネットワークファイルシステム、ディスクアレイ、Flash SSDアレイストレージの開発にも携わるなど、ストレージ開発のスペシャリストとして活躍する。

 また、InfiniBandやiWarp(10GbE)などのRDMAネットワーク向けのファイルシステムプロトコル策定、リファレンス実装の分野におけるOSS開発の実績を持つ。


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