ハッカソン、デバイス、海外展開、人材育成――ゲーム開発で私たちは今何をすべきかGGJ2015 ZENRIN ODAIBA会場&30時間生放送まとめ(1/2 ページ)

2015年1月23〜25日、世界中で同時に行われた48時間にわたるゲーム開発ハッカソンの模様と、ゲーム開発がテーマのトークセッションをいくつかダイジェストでお届けする。

» 2015年02月05日 16時00分 公開
[@IT]

「What Do We Do Now?」をテーマに世界中で48時間のゲーム開発

 2015年1月23〜25日、世界中で同時に行われるゲーム開発のハッカソン「Global Game Jam」(以下、GGJ)が開催された。日本でも北は北海道から南は沖縄まで19会場で多くの開発者/クリエイター/プランナーが参加し、それぞれアイデアにあふれるさまざまなゲームを開発した。

 GGJは、48時間の間に一つのテーマに沿ったゲーム開発を行う。2009年から始まり毎年異なるテーマが設定されるが、今回のテーマは「What Do We Do Now?」。会場によっては帰宅せずに仮眠室や寝袋を使い寝泊まりしてゲーム開発を行う過酷なハッカソンだが、参加者にはリピーターもいるという。日本語サイトによると、昨年は世界72カ国の国と地域で488のハッカソン会場が設置され、2万3198人が参加。4290の作品が制作されたという。

Global Game Jam 2015 Keynotes

 本稿では、数ある会場の中でも「Global Game Jam 2015 ZENRIN ODAIBA」が開催された、東京・お台場にあるコワーキングスペースMONOでのハッカソンの模様を一部リポートする。また、その会場の一角を利用して日本マイクロソフトが企画した30時間ニコニコ生放送番組「Global Game Jam 2015 ZENRIN ODAIBA プログラミング生放送」内でのゲーム開発がテーマのトークセッションをいくつかダイジェストでお届けする。

6グループが参加したZENRIN ODAIBA会場――ほとんどがUnityを使用。今年はHMDを使っているチームはなし

 23日の17時に発表されたテーマを基にハッカソンが開始。昨年からZENRIN ODAIBA会場の運営で協力しているゼンリンの荒井翔己氏によると、「今年のZENRIN ODAIBA会場の参加者は32名。「A」〜「F」の6グループに分かれて開発を行っています。2割が学生で8割が社会人の参加者です。ほとんどが『Unity』を使用して開発しています」という。また昨年は、Oculus Riftがはやりだしたころ開催されたためか、「ヘッドマウントディスプレー(以下、HMD)を使っているチームが多かった」とのことだが、今年は開発風景を見る限り、HMDを使っているチームはいなかった。

GGJ 2015 ZENRIN ODAIBAでの開発風景。1日目はテーマ発表後ゲームのアイデアを練り、一晩空けて朝から実装を始めるチームが多かったという

 そもそも、なぜ地図で有名なゼンリンがGGJに協力しているのだろうか。

ゼンリン 荒井翔己氏(写真は中間発表の司会時)「ゼンリン自身も、2006年から『みんなの地図』シリーズや『みんなのナビ』などPSP用ゲームソフトを開発しています。ゼンリンは以前からゲームに関わっています」

 これについて荒井氏は、番組内のセッションで「ゼンリンは、カーナビ、Google マップ、Yahoo!地図などの地図検索サービスへの地図を提供していることなどで有名かと思いますが、ゲーム開発に活用できる地図データも提供しています。昨年からZENRIN ODAIBA会場の運営を行っているのは、もっとゲーム開発者の方々に、ゼンリンの地図データを面白おかしく使っていただきたいからです」と回答。

 ゲーム開発者向けに地図データを活用してもらいたいということで、ゼンリンは現在のゲーム開発の定番ツールUnityにも対応。ゲーム開発会社のポケット・クエリーズと協力し、UnityのAsset Storeで「Japanese Otaku City」として無償で提供している。作成したきっかけは昨年のGGJでのハッカソン参加者からの声だったとのことだ。

中間発表。開発者たちは「What Do We Do Now?」というテーマをどう解釈したのか

 24日17時からの中間発表では、参加6チームが5分ずつ実装状況をプレゼンテーションした。朝からとなると12時間弱、実装していたことになる。

Aチーム「Apocalypse Gardening」の発表の様子。プレーヤーが水をまいて花を咲かせたり、襲ってくる敵を水で倒したりするシューティングゲーム。プレーヤーが使える水は有限で、水辺で水の補給が必要となる。花に触れるとダメージが回復するが花はすぐに枯れてしまうので、すぐに水をまかねばならない

 Aチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対して「さて、どうしよう」と途方に暮れるニュアンスを感じ取り「とてつもない状況、つまり世紀末に、ガーデニングするゲームにしました」という。参加6チームの中で唯一UnityではなくGame Makerを使っていた。

Bチーム「My Eyeland」の発表の様子。プレー画面が大きな目の中にある横スクロールアクションゲーム。逐次またばきをするため、障害物や敵が見えづらくなることで難易度を上げる

 Bチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対して「今、プレーヤーは何をしているのだろう?」と、プレーヤーを確認する大きな目がゲームの中心に据えられたという。「ハッカソン開始当初、予定していたチームリーダーが来なくて大変でした」

Cチーム「STOP!! どくでんぱ -Noizy Wave Crash-」の発表の様子。ゼンリン提供のお台場の3D都市モデルデータ上で毒電波を銃で撃退するシューティングゲーム

 Cチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対しては、「われわれは何をしているのか」と惑わせるノイズ(毒電波を発するテレビっぽい敵)を倒すゲームにしたという。

Dチーム「Hollow Earth Pixies」の発表の様子。プレーヤーが円の縁だけを移動し、中央に位置するボスを倒すシューティングゲーム。リアルタイムマルチプレーヤー対応でphotonを活用している

 Dチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対しては、「こんな円い穴の中で俺たち(プレーヤー)は何をやっているんだろう」と解釈したとのことだった。

Eチーム「Space Arikui」の発表の様子。タッチインターフェース上の宇宙に散らばった湯球(ゲームの世界ではやっている宇宙温泉の源泉)を指でなぞることで集める音楽アクションゲーム。湯球に触れると音が発生し、BGMと相まって音楽を楽しむことができる

 Eチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対しては、ユーザーが「何をすればいいのか(ゲームが楽しめるのか)?」が直感的に分かるユーサーインターフェースを目指し、音やアリクイが話す形式にするなどチュートリアルにこだわったという。

Fチーム「Fall in UNITY-CHAN」の発表の様子。重力の概念から解放された都市の中でプレーヤーが壁や天井を走って落ちてジャンプする3Dアクションゲーム。最後の人類となったプレーヤーが人類の生活を脅かす未確認生物を倒しながら、チェックポイントを巡ってゴールを目指す

 Fチームはテーマの「What Do We Do Now?」に対しては、ゲーム開発側が質問者となって「こういう世界感のゲームを作りました。ユーザーはどうしますか?」を問うスタンスにしたという。

 プレゼンテーション後は、ニコニコ生放送番組に参加したゲーム開発企業からの激励、自身の経験に基づいたコメントがあったが、これらについては後述の各トークセッションの模様で確認してほしい。

 次ページでは、さまざまなゲーム開発企業などが各のテーマを持ちトークセッションをニコニコ生放送内で展開したので、その模様もいくつかダイジェストで紹介しよう。

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