祝、Windows 7のWindows 10無償アップグレード! でも、古いPCで動くの?山市良のうぃんどうず日記(26)(2/2 ページ)

» 2015年02月06日 18時00分 公開
[山市良,テクニカルライター]
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「Windows To Go」を使って実機でテストしてみた

 Windows 8からは企業向けの機能として、ローカルハードディスクを使用せずに(マウントせずに)、USBデバイスからWindows環境を起動できる「Windows To Go」が提供されています。この機能を使えば、Windows 10 Technical Previewをインストールせずに、Windows 10 Technical PreviewをさまざまなPCで試してみることができます。

 Windows To Goワークスペースの作成はEnterpriseエディションの機能であり、Windows To Goの使用権はWindowsのソフトウエアアシュアランス(SA)や「Windows Virtual Desktop Access」(VDA)に含まれます。そのため、Windows To Goは一般の個人が利用できる機能ではありません。しかし、Windows 10 Technical Preview for Enterpriseを評価するために、Windows 10 Technical Preview for EnterpriseのWindows To Goワークスペースを作成し、評価することは問題ないでしょう。

 Windows To Goワークスペースの作成ツール「Windows To Goワークスペースの作成」(Pwcreator.exe)を使用するには、Windows 10 Technical Preview for Enterpriseのインストールが必要です(画面7)。また、Windows To Goに対応したUSBデバイスも必要です。これらの環境を準備するのは難しいかもしれませんが、たまたま筆者にはその環境があるので試してみました。Windows 10 Technical Previewの起動に関しては、とりあえず問題ないようです(写真2)。

画面7 画面7 Windows 10 Technical Preview for EnterpriseでWindows To Goワークスペースを作成しているところ。一般的なUSBメモリ(画面で選択中のデバイス)には作成できない。一つ目のデバイスの「Imation IronKey Workspace W300」は、Windows To Go対応デバイスの一つ
写真2 写真2 Windows To Goワークスペースを使用して、筆者の古いPCを起動したところ。起動中のWindows 10 Technical Previewの環境は、全て赤丸で囲んだUSBメモリタイプのデバイスに入っている

グラフィックスカードに問題あり!

 筆者の古いPCが搭載しているグラフィックスカードは、「AMD ATI FireGL V3100」(専用ビデオメモリ128MB)です。このグラフィックスカードは、PCを購入したときから搭載されていた標準のものです。Windows To GoワークスペースでPCを起動したところ、適切なドライバーがインストールされないという問題が発覚しました(画面8)。Windows 7で使用していたメーカー提供のドライバー(Windows Vista用ドライバー)は、Windows 10 Technical Previewではサポートされないとはじかれます。

画面8 画面8 Windows To Goワークスペースを使用して実機で試してみると、グラフィックスカードに互換性問題があることが発覚

 後で分かったことですが、Windows Vista用の古いドライバーはWindows 8でもサポートされず、Windows 8用ドライバーのメーカーからの提供もありません。ちなみに、Windows互換性センターで検索すると、このグラフィックスカードは「互換性あり」と表示されます。

 「Microsoft基本ディスプレイアダプター」による表示のため、グラフィックス機能が制限され、せっかくのマルチモニター環境も認識せず、複数のモニターに同じ画面が表示される状態です。

 実機によるテストの結果、Windows 10にアップグレードするには、グラフィックスカードを新しい製品に交換する必要があることが分かりました。Windows 10へのアップグレードはまだまだ先になりますが、たまたま使用していないグラフィックスカード「ATI Radeon HD4350」(専用ビデオメモリ512MB)が手元にあったので交換し、Windows To Goワークスペース環境で正常に使えるかどうかを確認しました(写真3画面9)。これで、Windows 10が正式リリースされたときには、安心して無償アップグレードできそうです。

写真3 写真3 たまたま手元にあった、使っていないグラフィックスカード「ATI Radeon HD4350」に交換。取り外したのが問題の「ATI FireGL V3100」
画面9 画面9 グラフィックスカード交換後、もう一度、Windows To Goワークスペースで起動して、メーカー提供の最新のドライバーを導入

 ついでに、わが家にあるWindows 8.1で動いているノートPCやタブレットを、Windows To Goワークスペースを使って一通りテストしてみました。ハードウエアの互換性は、どれも問題ないようです。本連載で何度か登場している、ディスク領域に不安があるタブレットPCも大丈夫でした。Windows 10 Technical Previewのタッチ機能をこれで試せます(写真4写真5)。

写真4 写真4 Windows 8.1タブレット(Windows 7からのアップグレード)をWindows To Goワークスペースで起動し、Windows 10 Technical Previewの最新ビルドのタッチ機能を体験
写真5 写真5 Windows Vista時代のUMPC(Ultra-Mobile PC)でも、Windows 10 Technical Previewが動いた。動作は決して快適とは言えないが、1024×600ピクセルの低解像度でもアプリが動くし、二つのアプリのスナップ表示もできた

 このように、Windows 10 Technical PreviewのWindows To Goワークスペースは、現在のPC環境に一切影響を与えることなく、ハードウエアの互換性チェックや新機能を試すのに最適です。難点があるとすれば、Windows To Goワークスペースを作成する物理環境(USBデバイスを認識できる仮想マシン環境でも可)と、Windows To Go対応USBドライブ(USB外付けハードディスクでも可)を準備できるかどうかです。

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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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