米アップルも参加するOpen Compute Projectが新たな段階にOpen Compute Summit 2015

Open Compute Project Foundationは2015年3月10日(米国時間)、米カリフォルニア州サンノゼでOpen Compute Summit 2015を開幕、米ヒューレット・パッカードが新たなサーバー製品ラインを発表するなど、参加ベンダー/製品、ユースケースの両面で、このプロジェクトの広がりを印象付けた。

» 2015年03月11日 16時53分 公開
[三木 泉,@IT]

 基調講演で、Open Compute Project Foundation(OCP Foundation)プレジデント/チェアマンのフランク・フランコブスキー(Frank Francovsky)氏は、米シスコシステムズや米ジュニパーネットワークス、米ヒューレット・パッカード(HP)、シュナイダー・エレクトリックなど、メインストリームITベンダーが次々に同組織のメンバーとなっていることを示した。米アップルも、かなり前から、静かにOCPの活動をサポートしてきたという。

Open Compute Project Foundationプレジデント/チェアマンのフランク・フランコブスキー(Frank Francovsky)氏

HPがiLOを搭載しないx86サーバーの新製品群を発表

 OCPへの支持の広がりを象徴するのは、HPによる、新たなサーバー製品シリーズ「HP Cloudline」の発表だ。2015年2月には、OCP準拠のベアメタルスイッチを発表した同社が、今度はOCP準拠のサーバー製品群を投入することを明らかにした。

 HPにとって、「HP ProLiant」シリーズが、エンタープライズサーバーの中核製品であることには変わりがない。だが一方で同社は、サービスプロバイダー/HPC/ビッグデータ用のサーバー市場が、2017年には既存のエンタープライズアプリケーション用のサーバー市場を上回ると予測。前者に向けて、CloudlineをProLiantに並ぶサーバーの柱として展開していく。

OCPサーバーの投入は、HPにとってビジネス判断として意味を持つことを強調

 HPエンタープライズグループ シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏は、サービスとしてのアプリケーションを数十分単位で展開しなければならないニーズに応えたいと話した。このため、Foxconnとの提携事業として推進されるCloudlineでは、オープンな設計、密度、拡張性、コスト効率の4つの要素を満たすサーバー製品を提供していくという。

 Cloudlineで注目されるのは、HPのサーバー製品にとって重要な付加価値であるサーバーハードウエア管理メカニズムのiLOやセンサー群、独自ファームウエアを搭載しないという点だ。サポートについても、30日間限定の保証から、フルサポートまで、幅広い選択肢を提供するという。

「クラウド時代のサービスプロバイダーのためのインフラ製品」がCloudlineのタグライン

 OCPから新しいビジネスモデルを生み出す別の試みとしては、Ne.t.BRICという企業の例が言及された。同社はストレージサーバーのスペックだけでなく、BIOSも「オープンソース」として公開した。ストレージソフトウエアのビジネスを展開するため、そのプラットフォームとして、同社設計のストレージサーバーが広まってほしいのだという。

 サーバーに関していえば、米フェイスブックは同社ブログポストで、モジュラー型のマイクロサーバー設計「Yosemite」を明らかにした。標準的な2ソケットサーバー設計ではスペースと消費電力が無駄に感じられるような、スケールアウトニーズに適用することが目的という。

 Yosemiteでは、2U、1/3幅のトレイに、SoC化したCPUを備えるサーバーカードを4枚搭載したものを1システムとしている。1ラックで48システム、192 CPUを収容・稼働できる。CPUとしてはXeon D-1500を採用。また、ネットワークでは米メラノックスのマルチホストネットワークアダプタ1つで、4枚のサーバーカードを接続する設計になっている。

ネットワークスイッチではプログラマビリティの新選択肢

 米フェイスブックは、ネットワークスイッチでは2015年2月、スパインスイッチの「6-pack」をブログで明らかにした。リーフスイッチの「Wedge」については、2014年に発表しているが、その仕様をOCPに提出したところだという。ネットワーク製品ベンダーのアクトンは、OCPのトップオブラック(TOR)スイッチ設計に基づくスイッチ製品を、2015年前半に提供開始するという。

 フェイスブックのエンジニアリング担当バイスプレジデント、ジェイ・パリク(Jay Parikh)氏は、OCPがネットワーク関連で注力していることの1つは、スイッチの活用方法に関する選択肢を広げることだと話した。

 すでに、ネットワークOSをその場で選択し、ほぼ自動的にインストールできるONIE、LinuxベースのネットワークOSについては、それぞれCumulus Networks、Big Switch Networkが提供し、プラグ・アンド・プレイ感覚でのスイッチの利用を可能にしている。だが、もっとカスタマイズしたいユーザーもいる。スイッチのチップを供給ベンダーである米ブロードコムは、OEM供給先以外でも使える開発キット「OpenNSL」を提供する。フェイスブックは、このOpenNSLをベースとして、2014年にWedgeとともに紹介したネットワークOS「FBOSS」のエージェントを提供するという。フェイスブックはまた、スイッチハードウエア管理のためのOpenBMCをOCPに提出するつもりとしている。

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