新入社員が必ず知るべき会計用語10選お茶でも飲みながら会計入門(99)

元ITエンジニアで現会計士の吉田延史さんが会計用語や事象を解説する本連載。今回は会社員生活を送る上で知っておくべき会計用語を解説します。

» 2015年04月16日 05時00分 公開

本連載の趣旨については「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。

「お茶でも飲みながら会計入門」

連載目次


 会計用語や会計の流れをイラストと文章で分かりやすく解説する本シリーズ。前回は会計ソフトの体験リポートをお届けしました。今回は新入社員向けに、会計用語を解説します。

1.受注

 得意先から注文を受けることを「受注」と言います。営業の仕事で最も重要な活動で、目標数値が設定されることが多いです。

 部品の供給など毎日注文があるような場合は、電話やFAX、インターネット経由で簡易に注文を受けることもあります。一方、基幹システム構築やマンション建設などのビッグプロジェクトの場合は、受注にかける期間が長く、契約書を取り交わします。


2.売り上げ

 受注した後に、得意先からの要望に応えて代金を回収することです。こちらも目標数値が設定されることが多いです。

 いつを「売り上げ」とするかは、企業ごとにルール(例えば、得意先検収日や工場出荷日など)があり、「仕事が終わった」時点を具体的に定めています。


3.原価

 販売品を仕入れたり作ったりするときに掛かるコストを「原価」と呼びます。売れる品物をできるだけ安い原価で仕入れたり作ったりする活動も、企業にとっては重要です。

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4.経費精算

 得意先を訪問したときの電車賃や、学習用の技術書の購入費などを従業員が立て替え払いすることがあります。会社に立て替え払いの明細を報告して請求することを「経費精算」と言います。


5.損益計算書(略称P/L)

 売り上げから原価や経費などを差し引いて、利益を計算した資料を「損益計算書」と呼びます。

 全ての企業は「損益計算書」を作成し、上場企業は四半期(3カ月ごと)に公表します。「企業の通信簿」とも呼ばれる、社内からも社外からも注目される書類です。


6.決算日

 損益計算書は1年で区切って作成します。1年の区切り目を「決算日」と呼びます。

 大きなプロジェクトの売上予定が決算日近くの場合には、決算日の前か後かによって、損益計算書の売上金額が大きく変わります。そのため、何とか決算日までに売り上げるように指示が飛んで、それに応えるために従業員の残業が増えることがあります。


7.貸借対照表(略称B/S)

 決算日時点での企業の財政状態を示す資料を「貸借対照表」と呼びます。貸借対照表には、資産や負債が種類別にどのくらいあるのかが載っています。

 得意先の財政状態が悪いと、いかにこちらが良い仕事をしても、代金回収できなくなり困ってしまう可能性があります。そこで取引開始前に得意先の貸借対照表を取り寄せて、後で困らないかどうかを検討します。


8.源泉徴収、社会保険料

 会社員が会社から受け取る給与は、額面全額が銀行口座に振り込まれるわけではありません。税金(所得税と住民税)が源泉徴収され、社会保険料が控除された残りが支払われます(支払額のことを「手取り額」と呼びます)。


9.粗利益

 「粗利益」は損益計算書には登場しない利益で、定義も企業ごとに微妙に異なります。売り上げから材料費や外注費など一定の変動費を引いて計算します。


10.簿記

 損益計算書や貸借対照表は簿記という仕組みを使って作成します。簿記では「仕訳」と呼ばれる方法でデータを入力していきます。




 いかがでしたか。本連載「お茶会計」では、これからも皆さんに役立つ会計知識を分かりやすく説明していきます。それではまた。

イラスト:Ayumi


「お茶でも飲みながら会計入門」バックナンバー

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筆者プロフィール

吉田延史(よしだのぶふみ)

吉田延史(よしだのぶふみ)

京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピューターの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。


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