Windows 10/Visual Studio 2015への期待と課題業務アプリInsider 読者調査レポート(1/2 ページ)

2015年の技術トレンドと業務アプリ開発について2015年3月に実施したアンケートの調査結果を紹介する。

» 2015年04月24日 05時00分 公開
[かわさきしんじInsider.NET編集部]
業務アプリInsider 読者調査レポート
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連載目次

*  本稿では、「アプリケーション」は「アプリ」と略す。


 @ITでは、2015年3月5日(木)〜3月15日(日)の期間、Windowsベースの業務アプリ開発に携る@IT読者を対象に、Web上での自記式アンケートによる読者調査を行った(調査実施機関はアイティメディア株式会社。有効回答数は296件)。

 本稿は、その調査結果をグラフ化し、簡単な説明と考察を付記したものである。

現在の業務アプリ開発状況

 まずは読者が現在、どのような種類の業務アプリの開発に携わっているか、そのアプリがどんなデバイス/OS上で動作しているのか、使われている開発言語が何かについてまとめよう。

開発中の業務アプリの種別

Q. あなたは現在主にどのような種類の業務アプリ開発に関わっていますか? 最も当てはまるものを、一つだけお選びください。

開発中の業務アプリの種別(n=293) 開発中の業務アプリの種別(n=293)

 基幹業務系アプリ(30.0%)を筆頭に、Web系アプリ(11.9%)やフロント業務アプリ(11.3%)、情報系アプリ(9.6%)、定型業務アプリ(6.5%)の開発など、多岐にわたっている。この傾向は(アンケート調査を業務アプリInsiderで行っていることもあり)、数値の変動こそあるものの、これまでと大きく変わっていない。

 では、これらの業務アプリがどのようなデバイス/OS上で使われているかを次に見てみよう。

業務アプリを利用するクライアント端末の種類とOSのバージョン

Q. そのアプリケーションは、どのようなクライアント端末で利用されていますか? 当てはまるものを、いくつでもお選びください。

業務アプリを利用するクライアント端末(n=295) 業務アプリを利用するクライアント端末(n=295)

Q. (上記で「Windows PC」を選択された方におうかがいします)そのアプリケーションを利用しているPCの、Windowsのバージョンに該当するものをいくつでもお選びください。

業務アプリ用PCのWindowsバージョン(n=277) 業務アプリ用PCのWindowsバージョン(n=277)

 上のグラフ「業務アプリを利用するクライアント端末」を見ると、クライアント端末としては「Windows PCが圧倒的」(94.2%)という結果になっている。ビジネス分野におけるWindows PCの優位性は今も健在だ。業務アプリを実行する端末として見たとき、スマートフォン/タブレットが使われている比率は10〜16%前後とまだまだ低いように見える。だが、無視できるほどの数値でもない。この辺りの数値は可能であれば、今後継続して調査してみたい。

 下のグラフ「業務アプリ用PCのWindowsバージョン」は、やはりというべきか、Windows 7が圧倒的に使われていることを示す結果となった(92.4%)。Windows 8/8.1も「失敗作」といわれながらも、それなりに使われている(それぞれ19.9%と31.8%)。その一方で、Windows XPが今でもかなりの割合で使われている(24.2%)ことが調査結果からはよく分かる。これまでの業務アプリ資産が今でもWindows XP上で使われているということだろう。

[コラム] 業務アプリ実行プラットフォームとしてのスマートフォン/タブレット

 ちなみに前回に「現在開発している業務アプリ種別」を調査した結果を見ると、「スマート端末用アプリ」開発に関わっている人の数は4.7%だった。今回、同種の調査を行っていないため、この数値がどうなったかは分からない。が、Windows PCにはまだ遠く及ばないとはいえ、業務アプリの動作プラットフォームとしてスマートフォン/タブレットが軒並み10〜16%前後と前述の「4.7%」より飛躍的に高い数値を示しているのは、(筆者の直感でしかないが)業務アプリの現場にこれらのデバイスの浸透し始めていることを示しているような気がしてならない。

 では、各種スマートデバイスに対しても、コストを掛けることなく、どうやって迅速に業務アプリを供給していくのか。そのためにマイクロソフトはVisual Studio(以下、VS)の最新バージョンであるVS 2015の新機能として、Windows 10用のユニバーサルアプリ開発やクロスプラットフォーム開発を打ち出しているといえる。そして、実際、これらの技術への注目度が高いという結果が得られている(後述)。


開発言語の利用状況

Q. そのアプリケーション開発に使用している言語を、いくつでもお選びください。

開発言語の利用状況(n=294) 開発言語の利用状況(n=294)

 Visual Basic(37.1%。以下、VB)、Java(33.7%)、JavaScript(29.3%)、C#(26.2%)の四つの言語が上位を占める状況はこれまでの調査結果と同様だ。なお、先日公開した特集記事「Visual Basic 14の新機能ベスト10〜もう「VBだから」とは言わせない!」は実のところ、この調査結果とは関係なく企画したものだったのだが、かなりの数の方がご覧になってくれたようである。Insider.NET/業務アプリInsider編集部としては、2015年はC#の記事だけではなく、VBユーザーの方にもご満足いただける記事を企画していくつもりだ。

 もう一つ、筆者が気になったのはWindows XPが現在でも使われているのと同様に、.NET以前のVBが今でも使われている点だ(21.8%)。新規案件としてWindows XP+VB6という選択肢はなくとも、既存のVB6アプリの保守などが今でも行われていると推測される。

現在の業務アプリケーション開発の課題

Q. そのアプリケーションの開発や運用で、あなたが感じている課題があれば、いくつでもお選びください。

現在の業務アプリケーション開発の課題(n=294) 現在の業務アプリケーション開発の課題(n=294)

 「開発期間や開発コストの削減(53.4%)」「エンドユーザーの操作性の向上(45.6%)」「変化に対応した迅速・柔軟な開発(43.2%)」「PC以外のさまざまな端末への対応(32.7%)」が上位に挙げられているのは前回同様だが、「開発期間や開発コストの削減」が前回の39.2%から53.4%へと大きく数値を上げている。コストの削減(と迅速なアプリのリリース)は、従来からの課題ではあるが、その傾向が強まってきているのかもしれない。これを踏まえて、次ページ以降の項目を見ていくと、やはり「どうすればコストを削減できるか」「どうすれば迅速なアプリのリリースが可能になるか」といった点が注目点として挙げられているのが分かる。

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