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» 2015年06月02日 05時00分 公開

山市良のうぃんどうず日記(38):Windows 10の発売日が決定! パッチ適用トラブルの迷宮から抜けられる日は近い? (2/2)

[山市良,テクニカルライター]
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Windows 10でパッチトラブルの迷宮から抜け出せるのか?

 実は、筆者はこの種のトラブルは歓迎です。腕試し、あるいは記事のネタになるからです。しかし、一般ユーザーの方には、少々荷が重いです。CPUの使用率が100%になってしまうと、通常の作業は難しくなります。会社のPCなら、仕事がストップしてしまうでしょう。Windowsが正常に起動しない、あるいはログオンできなくなってしまったという場合は、なすすべがありません。

 7月29日に発売が決まったWindows 10では、「Patch Tuesday」(日本では第二火曜日の翌水曜日)と呼ばれる毎月の定例更新ではなく、随時、セキュリティ更新や機能の追加が行われることになりそうです。一方、企業向けには機能の追加を含まない「Long Term Servicing Branch」という更新方法が提供されるようです。

 新機能の追加は別として、随時セキュリティ更新が提供されるのはゼロデイ攻撃への対策としては効果的でしょう。しかし、更新プログラムの品質に問題があれば、Patch Tuesdayの悪夢が、突然、起こるかもしれないのです。Patch Tuesdayのように時期が決まっていれば、更新プログラムの影響を真っ先に疑うでしょう。これが随時となると、トラブルはますます迷宮に迷い込み、原因を突き止めることが難しくなるかもしれません。

 Windows 10では、企業向けに「Windows Update for Business」という新しいサービスが用意されるそうです。このサービスを利用すると、「配布リング」と呼ばれるグループを使用して、“社内で最初に更新されるデバイスと、後から(品質の問題が解決されてから)更新されるデバイスを指定できる”ようになるそうです。“品質の問題が解決されてから”という表現が、“コンシューマー向けには品質に問題があるかもしれない更新をどんどんリリースしますよ”と聞こえるのは筆者だけでしょうか。

 賢明な企業なら、すでにWSUSやSystem Center、その他のパッチ管理ツールを使用して、範囲を限定して更新プログラムをパイロット展開し、企業の標準PCのハードウエアやアプリに影響がないことを確認した上で、全社展開しているはずです。Windows Update for Businessは、“WSUSのクラウド版”といったものになるのではないでしょうか。つまり、企業のパッチ管理に関しては、Windows Update for Businessが登場しても劇的に変わるというものではないということです。

 Windows 10は2014年10月以来、「Windows Insider」プログラムを通じてプレビュー版が提供されています。このプレビュー版からは、Windows 10のWindows Updateがどうなるのかまだ分かりません。「コントロールパネル」からWindows Updateはなくなり、代わりに「設定」アプリから実行するようになっていますが、現状、インストール対象の更新プログラムを選択する機能はありませんし、インストール方法の選択肢は「自動」と「再起動の日時を指定するように通知する」の二択しかありません(画面6)。問答無用で更新されるのが現在のプレビューです。

画面6 画面6 Windows 10 Insider Previewビルド「10074」のWindows Update機能。いろいろと制限がある。5月20日に配布が開始されたビルド「10122」からは、「アップグレードを延期する」するオプションが追加されたが、このオプションの効果については不明

 この更新には、更新プログラムだけでなく、新しいプレビュービルドへのアップグレードも含まれています。マイクロソフトはこれで更新プロセスのデータを収集しているのでしょうから、更新オプションの選択肢がないのは「プレビューの使用条件」ということもできるでしょう。

 2015年5月上旬に開催されたマイクロソフトのイベント「Ignite」において、“Windows 10はWindowsの最後のバージョン(the last version of Windows)になる”と発表されたようです。この表現が意味するところは、単にWindowsの売り方(当面、アップグレードは無料のようですが)が変わるという話と筆者は読み取りました。

 Windows 10のプレビューにおける新しいビルドの提供方法が、随時行われるようになる新機能の追加に利用されるかもしれません。つまり、Windows 10ではあっても、今よりも頻繁にアップグレードインストールが行われることになるのかもしれないのです。

 最後に、Windows Server 2016のWindows Updateについても触れておきましょう。先日、「Windows Server Technical Preview 2」が公開されましたが、実は、このプレビューにはWindows Updateの機能が実装されていません。自動更新の機能は存在せず、現状、更新はServer Core向けの「Sconfig」ツール(その実体は「%Windir%¥System32¥en-us¥WUA_SearchDownloadInstall.vbs」)を使用して手動更新で行うか、更新プログラムを個別にダウンロードして手動でインストールする方法となります(画面7)。

画面7 画面7 「Windows Server Technical Preview 2」には、Windows Updateの機能が未実装。手動更新は、Server Core向けのツールで代用する形になっている

 Windows Updateが将来どのような姿になるのか、コンセプトは発表されましたが、まだ確定していない部分が多いような気がします。

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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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