最初はやっぱり「プロトコル」：リトライ！ 触って学ぶTCP/IP（1）（2/4 ページ）

SDNを学ぶ最初の一歩としても

　近年、「SDN（Software Defined Network）」というキーワードが注目されていることをご存じの方も多いでしょう。SDNは、ネットワークの機能にソフトウエアの要素を積極的に取り入れて、より柔軟なネットワークの構成や運用を可能にする技術です。最近では、その実現形の一つである「OpenFlow」が、データセンターや企業ネットワークで使われ始めています（図2）。

図2　OpenFlowのイメージ

　SDNは新しいネットワーク技術ですが、いまのところ、従来のネットワークの概念を大きく逸脱するには至っていません。そのため、SDNについて学びたいと考える人は、SDNそのものについて学ぶ他に、いま普通に使われているネットワークの仕組みも十分に理解しておく必要があります。

　この連載では、これからSDNを学びたいと考えている方々が、その最初の一歩として、ネットワークの仕組みを理解するためにも使っていただけるよう、構成や内容に工夫を凝らしていきます。

学習用Chromeアプリを用意しました

　この連載をスタートするに当たり、コンピューター同士の通信を自分の手で試すことができる、ちょっとしたツールを用意しました。

　これまで、プロトコルを学ぶときには、「telnet」というツールがよく使われてきました。これはサーバーの管理操作などにも用いられるとても有用なツールなのですが、その一方で、プロトコルを学ぶ目的では必ずしも使いやすいとは言えません。

　それに対して、本連載で用意した「プロトコルビュワー」は、簡単な操作で、サーバーに対してリクエストを送ったり、サーバーから受信したデータを表示したりすることができます。この便利ツールを有効に活用して、プロトコルへの理解を深める一助としていただければと思います。

　少し細かい話をすると、このプロトコルビュワーは、「Chromeアプリ」の形式を採用しています。Chromeアプリとは、「Google Chrome」というWebブラウザー（以下、Chrome）の機能を使って動作するアプリのことです。プログラム本体はJavaScriptで記述し、Chromeが持つChrome APIを呼び出しながら、各種の機能を実現します。

　プログラムの主要な処理は、後述するファイル「main.js」の中に記述してあります。筆者自身JavaScriptを書き慣れていないこともあり、ソースプログラムはなるべく一般的な書き方をするよう努め、またコメントも多めに入れておきました。プログラミングに興味がある方は、一度、ソースプログラムをのぞいてみてください。筆者がテストをした限り、大きな不具合はないと思いますが、もし不具合を見つけた際には報告をいただけると助かります。

　なお、作成に当たっては、以下のサイトを参照しました。有用な情報を公開してくださる皆さまに、感謝を申し上げます。