WS2003移行で泣かないための基礎知識と仮想化、パッケージ購入、スクラッチ開発のメリット/デメリットWindows Server 2003のサポート切れにどう対応すべきか(前編)(2/2 ページ)

» 2015年08月11日 05時00分 公開
[樫山友一オン・デマンド・ワン]
前のページへ 1|2       

仮想化のメリット/デメリットと移行方法

  • メリット
    • 4つの移行プランの中でも最もコストが安く利用を継続できる
  • デメリット
    • サーバーの修正モジュールが提供されないため、システム全体を他のネットワークから切り離す必要がある(下記図(1))
    • 仮想化のシステムがWindows Server 2003をサポートしなくなった場合、再度移行を考える必要がある(下記図(2))
ネットワークから切り離す場合の構成(1)
ネットワークから切り離す場合の構成(2)

 サポート切れを覚悟して、Windows Server 2003をそのまま利用継続する場合、完全に外部のネットワークから切り離す必要があります。利用するクライアントPCも外部からのデータが入らないような構成にする必要があります。

パッケージへ移行するメリット/デメリットと移行方法

 業務パッケージは、Windows Server 2003の登場時期よりも多機能のものがリリースされています。移行する場合、メリットも多くあります。

  • メリット
    • Windows Server 2003で利用しているアプリケーションよりも、より高機能で業務のカバー範囲の広いパッケージを利用することが可能
  • デメリット
    • Windows Server 2003で利用しているアプリケーションがスクラッチで開発しているアプリケーションの場合、現在の業務をパッケージに合わせるか、パッケージを現在の業務に合うようにカスタマイズする必要がある

 多くの場合、Windows Server 2003で利用しているアプリケーションは、スクラッチで開発したアプリケーションです。そのため、業務に合うように設計・開発がされています。以下のようなケースでは、パッケージに移行するとコストが増大することになります。

  • 他の会社にはないような特殊な業務をサポートするアプリケーションである場合
  • 業務は特殊ではないが、現場の声が大きく、Windows Server 2003で利用していたアプリケーションに画面や操作などを合わせる必要がある場合

 パッケージのカスタマイズは、通常の開発よりもコストが掛かるため、カスタマイズが多くなるとコストの増大幅が大きく、4つの移行方法の中で最もコストが大きくなってしまいます。ポイントは、パッケージに業務を合わせることができるかどうかです。

スクラッチ開発のメリット/デメリットと移行方法

  • メリット
    • 現状のソースコードの品質が悪い場合、メンテナンス(機能追加・変更など)のための効率が上がり、コストが下がる
    • 移行先のアーキテクチャを自由に選択できる(サーバーOSや開発言語など)
  • デメリット
    • 設計書・テストケースなどが現状のシステムと一致していない場合、これらのドキュメントの整備に工数とコストが掛かる
    • ドキュメントの状態によっては全体のコストに占める割合が50%になることもある

 新しくスクラッチで開発をする場合は、現在のアプリケーションを開発したときの費用と同等のコストが掛かります。ドキュメント類の整備に工数が掛からない場合、現在のアプリケーションの開発よりもコストが下がることがありますが、現在のアプリケーションとの比較テストを行う場合は、相殺されてしまいます。

後編は、コード変換ツールを使ったマイグレーションについて

 本稿では、Windows Server 2003のサポート終了に伴う“移行”の概要について、解説しました。すでに、サポートは終了しており、4つの移行方法のうちどれがいいかを検討するのに時間がかかるケースがあるので、早めの検討開始をお勧めします。

 後編では、今回解説できなかったコード変換ツールを使ったマイグレーションについて解説します。

筆者紹介

樫山友一

オン・デマンド・ワン株式会社

ベンチャー企業の立ち上げを数社行い、現オン・デマンド・ワン株式会社代表取締役、米国、GreatMigrations社のgmStduioの日本での総代理店をするなど、海外からの技術導入を積極的に行っている。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。