「Physical Webの説明とUriBeaconの実装および2.0でバージョンアップされた仕様について」のトラックに登壇したのは、芳和システムデザイン エンベデッドシステム部 鈴木直康氏だ。7月15日にグーグルからPhysical Webの後継規格であるBluetooth Low Energy(BLE)のEddystoneが発表されたことで、当初の発表内容を変更し、新規格とPhysical Webとの比較なども盛り込まれた。
冒頭で鈴木氏は、ビーコンの歴史を振り返った。「IoT(モノのインターネット)はインターネットプロトコルで接続されることが前提だったが、2013年にアップルのiBeaconが登場し、iPhoneのiOS7に標準搭載されたことで、スマートフォンからネット接続する形が一気に広まった。この流れを受けてAndroidでのBLE対応も加速し、2014年春以降のモデルではほとんどがサポートするまでになった」。現在は、店舗に近づくとiBeaconのAdvertising BLEが起動し、商品情報などを受信できるようになっているという。
BLEモジュールはARMやIntel系CPUが内蔵されており、1000円以下で購入できる他、制御のためのプロファイルは多数定義され、互換性も保ちやすく、簡単に制御アプリを開発できることから、思い通りのアプリを開発できるのが特徴だ。
グーグルがPhysical Webを提唱したのは、2014年10月。「goo.gl」「bit.ly」「t.co」などの短縮URLサービスを使ってURI形式にエンコードされたURLをAdvertisingパケットに載せて送信。それを受ける対応機器を、グーグルでは「UriBeacon」と呼ぶ。
「グーグルでは、将来的にはChromeブラウザーやアプリケーションを操作すると、付近のPhysical Webデバイスが送信するWebページなどを取得し、データをブラウザー上に表示したいとしている」
そんな矢先に登場したのが、新規格のEddystoneだ。バッテリレベル、温度、起動からのカウント、起動からの時間を送信する新ビーコンの「Eddystone-TLM」と、UUIDっぽい10バイトのデータを送信する「Eddystone-Uid」が新たに追加された。
「Eddystone-TLMについては、今回のバージョンの温度とバッテリレベルだけではテレメトリとして足りないので、今後はバージョンアップでオプションに湿度や照度、加速度などが追加されるのかと期待している」
また、「Eddystone-UidはアップルのiBeacon対応で作られたビーコンを想定している」と鈴木氏は述べながらも、「16バイトのiBeaconと互換性がないため、共存するシステムを作るときは面倒くさいかも」と述べる。この他、6バイトのユニークなインスタンスIDはiBeaconのMajorMinorに相当。「定義しているだけで、必ず同じ値を送信しろという表記もないので、iBeaconのようにセキュリティコードを埋め込んでもいいのかと思う。使い方は、アプリやシステム開発側で決められる仕様」(鈴木氏)と指摘する。
Physical WebとEddystoneの違いは、AdvertisingパケットのService IDだ。Physical Webでは0xFED8であるのに対し、Eddystoneでは0xFEAAに変更されている。「Physical Webを開発した人は、両方のService IDを取り込めるようにしておけば、両方のURIビーコンを受信してサービス提供できるようになる」(鈴木氏)
新規格の発表を受けて、秀和システムデザインではEddystone-TLM/UID/URL/Physical Web全てに対応した「BLEAD-E」を新発売した。「Service IDの後ろに独自拡張で1サービス追加、Physical WebやURLなどそれぞれ切り替えられるようにした」と話す鈴木氏は、「新規格の検証用などでも気軽に使ってほしい」と述べた。
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