エンジニアが良いキャリアを築くために必要なのは「革新性」「人脈」「起業家意識」Go AbekawaのGo Global!〜Jim Sullivan編(1/3 ページ)

グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うシリーズ。今回はIT企業を4社立ち上げた経験を持つActifioのJim Sullivan氏に、マネジメントに必要なポイントや、エンジニアが良いキャリアを築くためのアドバイスを伺った。

» 2015年08月28日 05時00分 公開
Go AbekawaのGo Global!

「Go AbekawaのGo Global!」連載目次

 アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩に話を伺うインタビューシリーズ。第4回は、データ仮想化技術を提供する「Actifio(アクティフィオ)」代表取締役のJim Sullivan(ジム・サリバン)氏だ。

 EMC(イーエムシー)の上場を経験し、XIV(エックスアイブイ)、AppIQ(アップアイキュー)、Diligent(デリジェント)、アクティフィオと、ストレージ業界で4社を立ち上げ、技術ドリブンで会社を成長させてきたサリバン氏のマネジメント論やエンジニアのキャリア構築へのアドバイスは、起業や独立を考えるエンジニア読者の参考になるだろう。

開発環境のリソース圧縮に役立つ「コピーデータの仮想化」

Jim Sullivan(ジム・サリバン)氏
Actifio President
ボストン・カレッジ 英語文学士取得
EMC上級副社長を経て、エンジニア仲間とXIVを創業。XIVのIBM買収後は、IBM システムストレージのワールドワイドセールス副社長を3年勤め、AppIQ取締役、デリジェント取締役を経て、2010年にアクティフィオを創業。現在は同社社長であり、かつ世界中のビジネスリーダーの成長を支援する「Young President's Organization」のメンバーでもある。

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 初めに基本的なことからお伺いします。アクティフィオはどのような製品を提供する企業なのですか?

Jim Sullivan氏(ジム・サリバン:以降、サリバン氏) アクティフィオはデータ仮想化技術を提供するソフトウエア企業です。データを仮想化し、企業が求めるSLA(Service Level Agreement:サービス基準)に合致させ、ビジネスで要求されるレベルのデータ管理をサービスとして提供します。

阿部川 「仮想化」というとサーバーというイメージがありますが、アクティフィオは「コピーデータの仮想化」をうたっています。これはどういうものですか?

サリバン氏 企業には、一つのデータに対して多くのコピーデータを作り、所有しなければならないという課題があります。コピーデータの仮想化は、さまざまなデータの中から大元とするべきデータを見つけて、ユーザーの目的や利用したい形式などに合わせてコピーできるようにするものです。データのバックアップ、災害や惨事からのデータの復旧、開発者が開発時に使うデータの作成などに活用されています。

阿部川 「コピーデータの仮想化」というコンセプトは、市場からどのように受け取られていますか?

サリバン氏 現在は世界36カ国でビジネス展開しています。代表的なユーザー事例は、開発者向けの分野です。

 今まで開発者は、開発時に「データのコピーを幾つ取ればいいのか」「それにはどれくらいのコストが掛かるのか」「そのためのインフラをどのように整えるか」などの課題を、抱えていました。

 コピーデータの仮想化を用いれば、必要とする開発者の数だけ仮想データを作り出せます。開発者はそのデータに変更を加えることもでき、それぞれの変更点は大元のデータに反映されるのです。

企業の成長に伴い、社長の役割も変化する

阿部川“Go”久広

阿部川 サリバンさんは現在まで5年間にわたりアクティフィオの社長を務めておられますが、ご自身の一番大切な役割とは何だとお考えですか?

サリバン氏 それはおそらく毎年変わっていくものだと思います。会社の設立当初は、さまざまなレベルの作業を自分で構築したり、実行したりしていました。同時に、チーム全体を俯瞰(ふかん)して、製品開発をサポートしたり、カスタマーサポートを行ったりもしなければならなかったのです。

 その次の段階では、戦略を構築した上で、実際のオペレーションをどうするかを考え、グローバルレベルで計画し、実行に移していきました。

 現在は、グローバル戦略の立案や組織の構築をしながら、同時に、セールス、サービス、ソリューション、開発、マーケティング、ファイナンスなど、全ての部署の社員の可能性ややる気を引き出し、チームの皆が良い仕事やキャリアを遂行していくのをどうすれば助けられるかを、常に考えています。

 素晴らしい社員を雇用して、その人々がしっかり仕事ができるような環境を整えることが、当社の成功のカギですし、私の役割です。

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